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第二章
2-3 捨てる周回。それでも確かに現実で
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別の本を読み漁る。
教会の真実、歴代勇者の軌跡、あらゆる情報を、たくさんの情報を集める。
――――と、そこで何か、爆音のようなものが聞こえた。
「もう来たか......ま、そっか、俺が連れていかれたのはこれくらいの時間だったな」
隠し部屋から出て、図書館を後にした後、すぐ外に出て空を見上げる。
太陽の位置に見覚えがある。ほんの少し前に見た空だったが、二か所程度から煙が立っている。
こっそり様子を見に行くと、すでにクラスメイトが戦闘に入っていたようだ。
「――――ふふ、最初ならこんなにもひよっこなのね」
女のほうはSっ気があるのか、死ぬ寸前で抑え、呻く様子を見て不気味な笑顔を浮かべていた。
そして男のほうは――――
「これで良い、危険の芽は早めに摘むに限る」
彼の足元には、多数の死体が転がっていた。
女の方とは違って、すでに大量の血が流れ落ちた後の肉体はピクリとも動かない。
「そうね、これくらい遊べるのは楽しいわね」
なんていいながら、女は足元にいた女子を蹴り飛ばす。
「がはっ......」
よく見ると、蹴り飛ばされた女子は......そう、女子Bだ。眼鏡が飛ばされて雰囲気が少し違うが、それでも面影があるような気がする。
「何をしている、すぐにとどめを刺せ」
「まぁまぁ、これくらい処分したらこいつらも反抗する気を失うでしょ」
「......その甘さ、後悔しなければいいが」
催促をしていた男も、結局女にはあらがえないのか。強く言うことはなくそのまま空へと飛んでいった。
「誰も連れて行かないんだな......」
俺が空を見上げてそう言ったところで、横から声が聞こえた。
「十時......くん......」
女子B以外は肉体的に死んでしまったか、精神的に死んでしまったか、ともあれ、心身共に無事な人はもはや彼女を残してほかにいなかった。
「どうした?」
「......やっぱり、きっとそうだと思ってた。それなら......」
そう言って、彼女はスキルを使用した。
「『死霊術』」
その瞬間、死体がひとりでに動き出し、散らかった肉が戻っていく。
俺が死んだときと同じような軌道をしている、と思ったが、違うのはそこからだった。
突如、彼らは一気に集合し、大きな肉の塊へと姿を変えた。
ハンバーグが食えなくなる、とか思っている間に、彼らは一気にその姿を変えて、異形へと化した。
足は六本、手は八本、頭は四つ、目は六つ。大きな口が閉じることなく唾液を垂らし続ける。彼――彼女――それの肉体を構成している血も通っているかわからない赤い肉が不気味に胎動する。
あちらこちら、ありえない位置から生えている髪の毛が妖しく揺れ動く。
「キュオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
一番の雄たけびが聞こえる。
「私のスキルは死霊術。その名の通り、死体を操って、場合によっては合成して、下僕にする能力」
「何て外道......」
外道、というのは彼女の行いが外道だ、と責めているのではなく、ただ倫理に反したスキルが存在したものだ、と感嘆しているだけだ。
「きっと生きている誰かが、若しくはこの異形の体に閉じ込めることが出来た人たちのうちの誰かが、タイムリープ系スキル、タイムスリップ系のスキル、何か使って、次の周でこの結末を止められれば――――ま、それはただの願いか」
彼女はどこか遠くを見ながら、そうつぶやいた。
「そういえば――――向こう、もう一か所土煙が立ってた、行く?」
「う、うん......」
さっきまで殺さないぎりぎりを攻められていた彼女だが、体の傷が回復していた。おそらく戦闘判定にされて、撤退した女性によって経験値がもたらされたのだろう。まぁ、ゲーム的思考で何一つ根拠はないけど。
ともあれ、彼女が動けるならばそっちに行くしかない。まだ形を保っている――――生きている人たちがまだいると信じて。
俺は女子Bを連れ、異常な行動をとっている人たちを捨て、もう一方の土煙へと向かった。
「うわあああ!」
土煙が上がっていたのは豪華な装飾が施された門のほうだった。
大量の翼を生やした魔物が、街を取り囲んでいた壁を超え、一気に王城へと攻め込んできていたようだ。
そしてどうやら勇者をはじめとする異世界召喚組がこっちには姿を見せないことから、向こうで異形となったか、それとも壊れてしまった者かで全員らしい。
兵士が串刺しにされているのを見た俺は、こりゃ叶わないと即刻撤退した。
無論、無駄に死ぬ趣味なんてないからな。
どうやらそれは女子Bも同じようで、すぐに身を隠す。
教会の真実、歴代勇者の軌跡、あらゆる情報を、たくさんの情報を集める。
――――と、そこで何か、爆音のようなものが聞こえた。
「もう来たか......ま、そっか、俺が連れていかれたのはこれくらいの時間だったな」
隠し部屋から出て、図書館を後にした後、すぐ外に出て空を見上げる。
太陽の位置に見覚えがある。ほんの少し前に見た空だったが、二か所程度から煙が立っている。
こっそり様子を見に行くと、すでにクラスメイトが戦闘に入っていたようだ。
「――――ふふ、最初ならこんなにもひよっこなのね」
女のほうはSっ気があるのか、死ぬ寸前で抑え、呻く様子を見て不気味な笑顔を浮かべていた。
そして男のほうは――――
「これで良い、危険の芽は早めに摘むに限る」
彼の足元には、多数の死体が転がっていた。
女の方とは違って、すでに大量の血が流れ落ちた後の肉体はピクリとも動かない。
「そうね、これくらい遊べるのは楽しいわね」
なんていいながら、女は足元にいた女子を蹴り飛ばす。
「がはっ......」
よく見ると、蹴り飛ばされた女子は......そう、女子Bだ。眼鏡が飛ばされて雰囲気が少し違うが、それでも面影があるような気がする。
「何をしている、すぐにとどめを刺せ」
「まぁまぁ、これくらい処分したらこいつらも反抗する気を失うでしょ」
「......その甘さ、後悔しなければいいが」
催促をしていた男も、結局女にはあらがえないのか。強く言うことはなくそのまま空へと飛んでいった。
「誰も連れて行かないんだな......」
俺が空を見上げてそう言ったところで、横から声が聞こえた。
「十時......くん......」
女子B以外は肉体的に死んでしまったか、精神的に死んでしまったか、ともあれ、心身共に無事な人はもはや彼女を残してほかにいなかった。
「どうした?」
「......やっぱり、きっとそうだと思ってた。それなら......」
そう言って、彼女はスキルを使用した。
「『死霊術』」
その瞬間、死体がひとりでに動き出し、散らかった肉が戻っていく。
俺が死んだときと同じような軌道をしている、と思ったが、違うのはそこからだった。
突如、彼らは一気に集合し、大きな肉の塊へと姿を変えた。
ハンバーグが食えなくなる、とか思っている間に、彼らは一気にその姿を変えて、異形へと化した。
足は六本、手は八本、頭は四つ、目は六つ。大きな口が閉じることなく唾液を垂らし続ける。彼――彼女――それの肉体を構成している血も通っているかわからない赤い肉が不気味に胎動する。
あちらこちら、ありえない位置から生えている髪の毛が妖しく揺れ動く。
「キュオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
一番の雄たけびが聞こえる。
「私のスキルは死霊術。その名の通り、死体を操って、場合によっては合成して、下僕にする能力」
「何て外道......」
外道、というのは彼女の行いが外道だ、と責めているのではなく、ただ倫理に反したスキルが存在したものだ、と感嘆しているだけだ。
「きっと生きている誰かが、若しくはこの異形の体に閉じ込めることが出来た人たちのうちの誰かが、タイムリープ系スキル、タイムスリップ系のスキル、何か使って、次の周でこの結末を止められれば――――ま、それはただの願いか」
彼女はどこか遠くを見ながら、そうつぶやいた。
「そういえば――――向こう、もう一か所土煙が立ってた、行く?」
「う、うん......」
さっきまで殺さないぎりぎりを攻められていた彼女だが、体の傷が回復していた。おそらく戦闘判定にされて、撤退した女性によって経験値がもたらされたのだろう。まぁ、ゲーム的思考で何一つ根拠はないけど。
ともあれ、彼女が動けるならばそっちに行くしかない。まだ形を保っている――――生きている人たちがまだいると信じて。
俺は女子Bを連れ、異常な行動をとっている人たちを捨て、もう一方の土煙へと向かった。
「うわあああ!」
土煙が上がっていたのは豪華な装飾が施された門のほうだった。
大量の翼を生やした魔物が、街を取り囲んでいた壁を超え、一気に王城へと攻め込んできていたようだ。
そしてどうやら勇者をはじめとする異世界召喚組がこっちには姿を見せないことから、向こうで異形となったか、それとも壊れてしまった者かで全員らしい。
兵士が串刺しにされているのを見た俺は、こりゃ叶わないと即刻撤退した。
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どうやらそれは女子Bも同じようで、すぐに身を隠す。
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