魔導戦記マギ・トルーパー

イズミント(エセフォルネウス)

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第2部 激戦編

第55話 ゼネア襲撃の後で

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「機関部分の修理状況は?」

「もうしばらく時間が掛かりそうです。 修理班曰く、思った以上に動力部の損傷が激しいようで」

「機体は雛型だったけど、武器は完成度が高かったとか?」

「だろうね。 武器も雛型だけど魔力で補ったんだろう。 腹が立つけどね」

 クラウド艦長がオペレーターの人に機関部の修理状況を聞いてみたが、修理班によると時間がかかりそうだという。
 ゼネアが放った武器の種類が何なのかは分からず終いだが、雛型であっても武器なら魔力で補えるという発想にリーゼも悔しそうにしていた。

「機関部の修理が終わるまで俺達はどうすれば?」

「ジョージ中尉の部隊やリュート小隊はここに残って首都の防衛になる。 他のフィーアクロイツ共和国の連合軍部隊と共に。 アルム小隊と魔法少女部隊は少しの間ヒルデガルドに乗り込んで貰いたい」

「三番艦にですか?」

「そうだ。 さっきのモーシャスの件を踏まえると帝国と魔王軍の二つの勢力と戦う事になる。 本来は会談が終わってからすぐに他の国に向かって帝国軍と魔王軍と対峙する予定だったが、ゼネアと言う女の襲撃で予定が狂わされたからな」

 ゼネアが一人とはいえ、襲撃して予定を狂わせたというあたりは認めたくはないが奴は天才なのだろう。
 だからこそ、一気に屠りたかったのだが、二度も逃げられた。
 その悔しさに身体を震わせると、アルムが肩を添えて来た。

「ルキア、あまり自分を責めるな。 ゼネアは厄介な女だと理解してるが、次のチャンスをものにするといい」

「そうね。 今度こそあの女は屠るわ」

「そうだね。 今は切り替えるべきだろうね」

 リーゼもそう言って、アルムの発言に同意する。
 これからの事を考えて頭を切り替えないとね。

「それに、帝国の今後の動きが気になる。 噂ではルキア嬢のアパタイトを確実にモノにするためにある準備をしているという」

「ある準備……ですか?」

「ああ、会談の時にその話を聞いたのだ」

(もしや……?)

 さらにクラウド艦長から帝国軍の動きにまつわる不可解な噂を耳にしたそうだ。
 私とアルムは、それを聞いて先ほどアパ子から聞かされた500年前の【勇者召喚術】というのが頭に浮かぶ。

「さらにキスクに追放された第一皇子一派にはヒルデガルドに乗って貰う事にした。 ロゼッタ魔法国に保護してもらう方針で、先ほどフィーネ女王からも許可を貰った」

「ならヒルデガルドはロゼッタ魔法国に向かうと」

「そうだ。 色々あるが会談でその方がいいと話が纏まった。 だが、さっき言ったようにフィールラスクスは動けないのでな」

「なるほど」

 現在、フィーアクロイツ中央政府に保護されている第一皇子一派だが、ロゼッタ魔法国に保護される運びとなった。
 おそらく辺境の者達の反発が思った以上に強かった事が理由だろう。
 それを帝国や魔王軍に利用されたわけだし。
 しかし、ゼネアのせいでフィールラスクスは動けないので、私達が少しの間三番艦に乗ることになったのだ。

「分かりました。 準備が出来次第三番艦に乗り込みます」

「済まないな。 動力部の修理が終わったら合流するからそれまではヒルデガルドを頼むぞ」

「了解です」

「あと、アリシア嬢だが艦を降り、フィーアクロイツ共和国の首都に残ることになった。 やはり優しい彼女には重すぎたのだろう」

「そうですか……」

「まぁ、仕方がないですね、こればかりは」

 そしてアリシアに関してだが、ジョージ中尉の部隊員から報告が入ったのか、艦を降りてフィーアクロイツの首都に留まる事を選んだようだ。
 この世界……【マナトピア】に飛ばされた魔女の中で、最初にリタイアした者となる。
 今後、どうなるかは分からないが、こればかりはどうしようもないだろう。
 リーゼもそこには同意していた。

「では、俺達はこれで」

「ああ、頼むぞ」

 こうして私達はクラウド艦長とのしばしの別れをすることになった。
 アリシアの事も気になるが、今は目の前の事に集中するしかない。
 魔法少女部隊と合流し、そのまま機体と共に三番艦のヒルデガルドに乗り込んだのだった。
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