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第1話 アリスは退学する
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その日は、ボクことアリス・パリカールにとって最悪の日だった。
世界四大大国の一つであるクーデルカ王国の首都付近に構える【ワルジール魔法学校】において、何故か急遽校長先生が変わったからだ。
その新たな校長……、フリスク・ワルジールは今までの教育を否定し、初期魔力で優劣を決めるという暴挙に出たのだ。
その際に展開されたという【制約結界】。
これにより、ボクは当初低いとされていた初期魔力にまで落とされたのだ。
「あははは、あんた初期魔力が低かったのね」
「まさか無能がこの学校に入ってたなんてね」
「早くここから出て行って欲しいもんだ」
それから、ボクの学校生活は最悪の流れとなった。
初期魔力が高い生徒からいじめを受けたのだ。
時にはトイレに行かせてもらえず、漏らされた事もあり、寮に引きこもった事もざらだ。
いい友人もいたが、この時点で【ワルジール魔法学校】は、フリスクの掲げる初期魔力至上主義に染まっており、ボクのいじめによる被害も奴らによってもみ消された。
ここで、ボクは学校を退学する事を決意した。
奴らの目論見通りになってしまうのは癪だが、トイレの邪魔をされて漏らされるよりは遥かにマシだった。
「アリスちゃん、こっちの準備も終わったよ」
「ありがとう。 ごめんね、まさかミーナもここを退学する事になるなんて」
「私だけじゃなく、彼氏のジャック君も自分で決めた事だから。 あの聖魔女と言われたアリスちゃんのお母さんからの通報すらもみ消したのがきっかけだね」
寮で一緒だったミーナ・ファーウェイも彼女の彼氏のジャック君も、ボクと一緒にこの魔法学校を退学する。
どうもミーナがこっそりボクのお母さんに通達していたらしく、お母さんからクレームを入れたようだが、もみ消されたようだ。
それがミーナとジャック君の退学を決意した理由だった。
「そういや、ジャック君の実家は帽子屋さんだったね」
「うん。 聖魔女のイリスさんのお気に入りの店らしいよ」
「お母さんの……、そっか」
ジャック君も退学を決意したのは、彼の実家の帽子屋さんがお母さんのお気に入りのお店だったからだ。
彼の実家が売っている帽子は、お母さんだけでなく、魔法使いに人気なのだ。
「ジャック君がここに来たら、裏口から出よう」
「そうだね。 退学届けはあっさり受理されたしね」
「向こうも清々してるでしょうね。 気にくわないけど、ここで壊れるよりはマシだよ、アリスちゃん」
なお、退学届けはまとめてミーナが提出し、受理された。
とはいえ、やはり向こうは清々しているみたいだね……。
「あ、ノックの音だ」
「どうぞー」
そんな話をミーナとしていると、ノックの音が聞こえた。
ドアを開けさせると、そこには穏やかそうな男子が入って来た。
「悪い、待たせた」
「ううん、私達も準備が終わった所だよ、ジャック君」
そう。
彼こそミーナの彼氏のジャック・エヴァンス君なのだ。
一応、フリスクの下での検査では初期魔力が高い方だったのだが、ボクの仕打ちに怒りを感じて両親に相談して退学を決意した男子だ。
「じゃあ、裏口へ行こうか」
「そうだね。 アリスちゃんを守るようにこっそりと出よう」
「うん。 あいつらの顔は見たくないしね」
ジャック君が合流したので、ボク達はこっそりと裏口からここ【ワルジール魔法学校】を出る事にした。
さて、そこからどうしようかな……。
世界四大大国の一つであるクーデルカ王国の首都付近に構える【ワルジール魔法学校】において、何故か急遽校長先生が変わったからだ。
その新たな校長……、フリスク・ワルジールは今までの教育を否定し、初期魔力で優劣を決めるという暴挙に出たのだ。
その際に展開されたという【制約結界】。
これにより、ボクは当初低いとされていた初期魔力にまで落とされたのだ。
「あははは、あんた初期魔力が低かったのね」
「まさか無能がこの学校に入ってたなんてね」
「早くここから出て行って欲しいもんだ」
それから、ボクの学校生活は最悪の流れとなった。
初期魔力が高い生徒からいじめを受けたのだ。
時にはトイレに行かせてもらえず、漏らされた事もあり、寮に引きこもった事もざらだ。
いい友人もいたが、この時点で【ワルジール魔法学校】は、フリスクの掲げる初期魔力至上主義に染まっており、ボクのいじめによる被害も奴らによってもみ消された。
ここで、ボクは学校を退学する事を決意した。
奴らの目論見通りになってしまうのは癪だが、トイレの邪魔をされて漏らされるよりは遥かにマシだった。
「アリスちゃん、こっちの準備も終わったよ」
「ありがとう。 ごめんね、まさかミーナもここを退学する事になるなんて」
「私だけじゃなく、彼氏のジャック君も自分で決めた事だから。 あの聖魔女と言われたアリスちゃんのお母さんからの通報すらもみ消したのがきっかけだね」
寮で一緒だったミーナ・ファーウェイも彼女の彼氏のジャック君も、ボクと一緒にこの魔法学校を退学する。
どうもミーナがこっそりボクのお母さんに通達していたらしく、お母さんからクレームを入れたようだが、もみ消されたようだ。
それがミーナとジャック君の退学を決意した理由だった。
「そういや、ジャック君の実家は帽子屋さんだったね」
「うん。 聖魔女のイリスさんのお気に入りの店らしいよ」
「お母さんの……、そっか」
ジャック君も退学を決意したのは、彼の実家の帽子屋さんがお母さんのお気に入りのお店だったからだ。
彼の実家が売っている帽子は、お母さんだけでなく、魔法使いに人気なのだ。
「ジャック君がここに来たら、裏口から出よう」
「そうだね。 退学届けはあっさり受理されたしね」
「向こうも清々してるでしょうね。 気にくわないけど、ここで壊れるよりはマシだよ、アリスちゃん」
なお、退学届けはまとめてミーナが提出し、受理された。
とはいえ、やはり向こうは清々しているみたいだね……。
「あ、ノックの音だ」
「どうぞー」
そんな話をミーナとしていると、ノックの音が聞こえた。
ドアを開けさせると、そこには穏やかそうな男子が入って来た。
「悪い、待たせた」
「ううん、私達も準備が終わった所だよ、ジャック君」
そう。
彼こそミーナの彼氏のジャック・エヴァンス君なのだ。
一応、フリスクの下での検査では初期魔力が高い方だったのだが、ボクの仕打ちに怒りを感じて両親に相談して退学を決意した男子だ。
「じゃあ、裏口へ行こうか」
「そうだね。 アリスちゃんを守るようにこっそりと出よう」
「うん。 あいつらの顔は見たくないしね」
ジャック君が合流したので、ボク達はこっそりと裏口からここ【ワルジール魔法学校】を出る事にした。
さて、そこからどうしようかな……。
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