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【第七章】シベリザード連合国
【第四十九話】準備 ③
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「コイツらは一応呼んではいたのですが、本当に役立たずで…………とても使い道があるようには……」
「1体だけならな。『ハーピー』に『スライム』を抱えさせろ」
「え…………?」
ドライダスは相変わらず怪訝な表情だったが、恭司に言われてやらせてみると、その意図にはすぐに気づいたようだった。
それほど大した話ではないのだ。
『酸を吐く』ことしか出来ない鈍重な魔物も、『飛んで』超音波を出すことしか出来ない魔物も、一緒になれば『空から酸を落とせる』魔物になる。
それも1体ならすぐさま撃破されてしまうだろうが、"沢山"いれば────。
「そ、空から"酸性雨"を引き起こす魔物になる…………」
理屈としては非常にシンプルで単純なものだが、ドライダスは目から鱗でも落ちるかのような思いだった。
『スライム』の最大の弱点はその"愚鈍さ"であり、『ハーピー』の弱点はその"攻撃力の低さ"だったのだ。
それが、ただ単にハーピーがスライムを持って飛ぶだけで、簡単に弱点が克服される。
「まぁ、それでも同じように空を飛ぶ奴や、強力な遠距離技を持つ相手にはまるで及ばないだろうけどな。ヒューマンの街を襲撃するには十分な能力だ」
「な、なるほど……」
「なら、この調子で次に行くぞ。コイツらみたいに俺の知ってる魔物なら良いが、知らない奴もそこそこいる。そういう奴らは解説してくれ」
「ハ…………ッ!!承知致しましたッ!!」
そうして────。
恭司はドライダスと共に様々な魔族たちを回っていった。
取り急ぎは下位の魔物たちからだ。
直接戦闘に役立たない奴らから優先的に、恭司は様々な工夫で戦力を強化していく。
魔族の最大の弱点は、その強烈な『個』の意識なのだ。
それこそヒューマンのように『協力』して『連携』させるだけで、特殊能力を持つ魔族なら簡単に強くなる。
「お見それしました…………」
「まぁ、こればかりは生まれ育った文化の違いだ。ただ、全員が全員そうはいかねぇからな。次は『白兵戦』だ」
恭司はそう言って、次の一団へと向かった。
『ゴブリン』から『オーク』…………『ミノタウロス』などの、いわゆる"歩兵"を担う魔族たちだ。
彼らに期待するのは逆に純粋な戦闘力だが、そこにも手を加えていくことにする。
………………が、
「相変わらずまとまりがないな……」
恭司は集められた魔族たちを見て、ため息を吐き出した。
ある意味では壮観な光景だ。
統制は何一つとして取れてはいないが、10万近い魔族軍のそのほとんどがここに集められている。
『歩兵』を担う彼らは、いわばこの魔族軍のメインとしての役割だ。
戦闘力が主軸になるその一団は魔族カーストの中でも上位の者が多く集まっており、戦闘力が高い分、気性も荒い奴が多い。
「おいおい、何だいきなりッ!!これからヒューマンどもの所へ突っ込むんじゃなかったのかよッ!?」
「"アレ"はもう無いのかァッ!?さっさと出してくれよ、魔王様よぉッ!?」
「せっかくこうして協力してやってんだッ!!ちょっとくらいご褒美があってもいいよなァッ!?」
恭司が姿を現すと、半ば野次に近いような言葉も飛んできた。
ここにいる全員が恭司の強さを知っているわけではないのだ。
あの結集の場にいなかった者もいるし、さっきの戦いでも後方にいた魔族は何も分からないままここへ連れて来られている。
とはいえ、またいつものように殺気で脅すのも味気ないものだ。
いっそのこと本当に"ボコボコ"にしてやった方が、魔族たちも思い知ることだろう。
恭司は刀を鞘に"収めたまま"、魔族たちに向けて楽しそうに口を開く。
「1体だけならな。『ハーピー』に『スライム』を抱えさせろ」
「え…………?」
ドライダスは相変わらず怪訝な表情だったが、恭司に言われてやらせてみると、その意図にはすぐに気づいたようだった。
それほど大した話ではないのだ。
『酸を吐く』ことしか出来ない鈍重な魔物も、『飛んで』超音波を出すことしか出来ない魔物も、一緒になれば『空から酸を落とせる』魔物になる。
それも1体ならすぐさま撃破されてしまうだろうが、"沢山"いれば────。
「そ、空から"酸性雨"を引き起こす魔物になる…………」
理屈としては非常にシンプルで単純なものだが、ドライダスは目から鱗でも落ちるかのような思いだった。
『スライム』の最大の弱点はその"愚鈍さ"であり、『ハーピー』の弱点はその"攻撃力の低さ"だったのだ。
それが、ただ単にハーピーがスライムを持って飛ぶだけで、簡単に弱点が克服される。
「まぁ、それでも同じように空を飛ぶ奴や、強力な遠距離技を持つ相手にはまるで及ばないだろうけどな。ヒューマンの街を襲撃するには十分な能力だ」
「な、なるほど……」
「なら、この調子で次に行くぞ。コイツらみたいに俺の知ってる魔物なら良いが、知らない奴もそこそこいる。そういう奴らは解説してくれ」
「ハ…………ッ!!承知致しましたッ!!」
そうして────。
恭司はドライダスと共に様々な魔族たちを回っていった。
取り急ぎは下位の魔物たちからだ。
直接戦闘に役立たない奴らから優先的に、恭司は様々な工夫で戦力を強化していく。
魔族の最大の弱点は、その強烈な『個』の意識なのだ。
それこそヒューマンのように『協力』して『連携』させるだけで、特殊能力を持つ魔族なら簡単に強くなる。
「お見それしました…………」
「まぁ、こればかりは生まれ育った文化の違いだ。ただ、全員が全員そうはいかねぇからな。次は『白兵戦』だ」
恭司はそう言って、次の一団へと向かった。
『ゴブリン』から『オーク』…………『ミノタウロス』などの、いわゆる"歩兵"を担う魔族たちだ。
彼らに期待するのは逆に純粋な戦闘力だが、そこにも手を加えていくことにする。
………………が、
「相変わらずまとまりがないな……」
恭司は集められた魔族たちを見て、ため息を吐き出した。
ある意味では壮観な光景だ。
統制は何一つとして取れてはいないが、10万近い魔族軍のそのほとんどがここに集められている。
『歩兵』を担う彼らは、いわばこの魔族軍のメインとしての役割だ。
戦闘力が主軸になるその一団は魔族カーストの中でも上位の者が多く集まっており、戦闘力が高い分、気性も荒い奴が多い。
「おいおい、何だいきなりッ!!これからヒューマンどもの所へ突っ込むんじゃなかったのかよッ!?」
「"アレ"はもう無いのかァッ!?さっさと出してくれよ、魔王様よぉッ!?」
「せっかくこうして協力してやってんだッ!!ちょっとくらいご褒美があってもいいよなァッ!?」
恭司が姿を現すと、半ば野次に近いような言葉も飛んできた。
ここにいる全員が恭司の強さを知っているわけではないのだ。
あの結集の場にいなかった者もいるし、さっきの戦いでも後方にいた魔族は何も分からないままここへ連れて来られている。
とはいえ、またいつものように殺気で脅すのも味気ないものだ。
いっそのこと本当に"ボコボコ"にしてやった方が、魔族たちも思い知ることだろう。
恭司は刀を鞘に"収めたまま"、魔族たちに向けて楽しそうに口を開く。
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