45 / 134
【第三章】閑話休題
【第八話】お風呂事件簿②
しおりを挟む
「おい、ユウカ。もう朝だぞ~、起きろ~」
恭司はユウカの部屋の前に立つと、ドアをコンコンとノックした。
しかし返事が無い。
もう一度少し強めにノックしてみたが、やはり返事は無かった。
「あれ?いないのか……?」
もしかしたら出掛けたのかもしれない。
もうそれなりにいい時間だし、街に遊びに出たのかのかもしれない。
「いや、無い。それは無いな」
我ながらさっきの考えはあまりにも適当だった。
ユウカに限ってそれは無い。
断言できる。
それなら、まだこの部屋で寝ているのだろう。
ユウカは活発な性格の割に中身は天下無双の引き篭もりだから、よっぽどのことでも無い限り外には出ないはずだ。
部屋を開けて確認してもいいが、ユウカも寝顔を勝手に見られるのは嫌だろうし、さすがの恭司も女性の部屋に無断で入るのは気がひける。
もし着替え中だったりしたら最悪だ。
その時は覗き魔としてしばらくの間ずっと変態扱いされるだろうし、気まずさも無駄に倍増する。
恭司は考えた末、結局ここで部屋を開けるのはやめておくことにした。
リスクが大きい割にメリットが小さいのだから、それも当然のことだ。
「ならどうするか……」
ドアを開けられないのであれば、当然振り出しに戻るしかなかった。
ユウカがいない以上、恭司に出来ることはとても限られてしまう。
恭司は無職無趣味の一文無しだから、居候中に出来ることと言えば、仕事か家事くらいだ。
今はその両方ともやることがない。
となれば、
どうせこの後やらなければならないことを先にやっておこうと判断した。
ユウカと話した後、ルーティンでいつもやっている作業を思い返し、恭司はポンと手を叩く。
「風呂だ」
本当なら、風呂はいつもは夜にきっちり時間を取って入っているが、昨日はアベルトとユウカの相手で結局疲れ果てて入らずに寝てしまったのだ。
だったら、
昨日の分まで代わりに今日朝風呂に入っておくべきだろう。
恭司はそう判断すると、着替えを自室に取りに行った後、そのまま風呂場へと向かった。
風呂場は一階にある。
バスタオルも脱衣所に完備されているはずだ。
恭司はドアの前に立つと、何の気無しにドアノブに手をかけ、中に入った。
「え……?」
しかし、
開けてみると、そこには全裸で一糸纏わぬユウカの姿があった。
風呂には既に入った後なのか、その肢体は濡れている。
細くも程よく肉付きの良いユウカの裸体を見て、恭司もさすがに思考が止まった。
これは、良くない展開だ。
「な、ななな何で……ッ!?何で恭司が……ッ!?」
ユウカは完全にパニック状態だった。
バスタオルで体を隠すことも忘れ、アタフタしながら恭司を見ている。
恭司もしばらくユウカの身体に見惚れていたが、ようやく思考も戻ってきた。
思考が戻ったのだから、ここは名誉挽回の策を提示しなければいけない。
計らずしも、匙は既に投げられた後なのだ。
僅か数秒の間に恭司は挽回の一手をいくつか頭の中に思い描き、最善手を一瞬のうちに導き出す。
そして、
その瞬間、音が鳴るくらい手のひらをポンと叩いた。
「一緒に入るか?」
ユウカは答えられないのか、相変わらず裸体を晒したまま、ワナワナと身体を震わせた。
恭司は撤退の準備を整えながら、ゴクリと生唾を飲み込む。
途端、
ユウカは半分涙目で、大きく息を吸い込んだ。
「いくら何でも!!まだ早すぎるよッ!!」
ユウカはそう言って、恭司を脱衣所の外に閉め出す。
恭司は脱衣所のドアの前で、ポリポリと頭をかきながら、とりあえず頭の中で状況を再確認した。
「いや、まだって何だ……」
恭司は怒られる前に、風呂は諦めてリビングに戻ることにした。
恭司はユウカの部屋の前に立つと、ドアをコンコンとノックした。
しかし返事が無い。
もう一度少し強めにノックしてみたが、やはり返事は無かった。
「あれ?いないのか……?」
もしかしたら出掛けたのかもしれない。
もうそれなりにいい時間だし、街に遊びに出たのかのかもしれない。
「いや、無い。それは無いな」
我ながらさっきの考えはあまりにも適当だった。
ユウカに限ってそれは無い。
断言できる。
それなら、まだこの部屋で寝ているのだろう。
ユウカは活発な性格の割に中身は天下無双の引き篭もりだから、よっぽどのことでも無い限り外には出ないはずだ。
部屋を開けて確認してもいいが、ユウカも寝顔を勝手に見られるのは嫌だろうし、さすがの恭司も女性の部屋に無断で入るのは気がひける。
もし着替え中だったりしたら最悪だ。
その時は覗き魔としてしばらくの間ずっと変態扱いされるだろうし、気まずさも無駄に倍増する。
恭司は考えた末、結局ここで部屋を開けるのはやめておくことにした。
リスクが大きい割にメリットが小さいのだから、それも当然のことだ。
「ならどうするか……」
ドアを開けられないのであれば、当然振り出しに戻るしかなかった。
ユウカがいない以上、恭司に出来ることはとても限られてしまう。
恭司は無職無趣味の一文無しだから、居候中に出来ることと言えば、仕事か家事くらいだ。
今はその両方ともやることがない。
となれば、
どうせこの後やらなければならないことを先にやっておこうと判断した。
ユウカと話した後、ルーティンでいつもやっている作業を思い返し、恭司はポンと手を叩く。
「風呂だ」
本当なら、風呂はいつもは夜にきっちり時間を取って入っているが、昨日はアベルトとユウカの相手で結局疲れ果てて入らずに寝てしまったのだ。
だったら、
昨日の分まで代わりに今日朝風呂に入っておくべきだろう。
恭司はそう判断すると、着替えを自室に取りに行った後、そのまま風呂場へと向かった。
風呂場は一階にある。
バスタオルも脱衣所に完備されているはずだ。
恭司はドアの前に立つと、何の気無しにドアノブに手をかけ、中に入った。
「え……?」
しかし、
開けてみると、そこには全裸で一糸纏わぬユウカの姿があった。
風呂には既に入った後なのか、その肢体は濡れている。
細くも程よく肉付きの良いユウカの裸体を見て、恭司もさすがに思考が止まった。
これは、良くない展開だ。
「な、ななな何で……ッ!?何で恭司が……ッ!?」
ユウカは完全にパニック状態だった。
バスタオルで体を隠すことも忘れ、アタフタしながら恭司を見ている。
恭司もしばらくユウカの身体に見惚れていたが、ようやく思考も戻ってきた。
思考が戻ったのだから、ここは名誉挽回の策を提示しなければいけない。
計らずしも、匙は既に投げられた後なのだ。
僅か数秒の間に恭司は挽回の一手をいくつか頭の中に思い描き、最善手を一瞬のうちに導き出す。
そして、
その瞬間、音が鳴るくらい手のひらをポンと叩いた。
「一緒に入るか?」
ユウカは答えられないのか、相変わらず裸体を晒したまま、ワナワナと身体を震わせた。
恭司は撤退の準備を整えながら、ゴクリと生唾を飲み込む。
途端、
ユウカは半分涙目で、大きく息を吸い込んだ。
「いくら何でも!!まだ早すぎるよッ!!」
ユウカはそう言って、恭司を脱衣所の外に閉め出す。
恭司は脱衣所のドアの前で、ポリポリと頭をかきながら、とりあえず頭の中で状況を再確認した。
「いや、まだって何だ……」
恭司は怒られる前に、風呂は諦めてリビングに戻ることにした。
0
あなたにおすすめの小説
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる