追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー

ノリオ

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【第四章】学園生活

【第十話】謎の転校生⑦

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「ありがとうございます、先生。『参考』になりました」


そして、

周りで拍手が喧しく鳴り響く中、当のククルは小さい声でそれだけを言って座った。

まるで興味を失って白けたかのように、これ以上何かを言うつもりはなさそうだ。

恭司としては『参考』という言葉に少しばかりの違和感を感じないでもなかったが、ククルはそもそも見た目の時点で変わっている生徒だ。

ある意味で逆に気にはならなかった。

それに、

このクラス総出の茶番のような光景に白けているのは恭司も同じだ。

これがこの先のクラスメイトなのかと思うと憂鬱な気分が晴れない。

家に帰ったら盛大に文句を吐き出そうと、深く心に誓った。


「さて、それでは他に誰か質問はあるかな?何でも気兼ねなく質問するといい」


そんな中、

本人の同意など勿論なく、クリスはクラスメイト一同に向けて再び問い掛けた。

拍手で妙にテンションは上がっているようだったが、ククルの他に手を上げる生徒はいない。

ククル自身も今はつまらなさそうな顔をして座っているだけだった。

トラストも用事が済んだからか、いつの間にか教室から出て行っている。

ようやく事が落ち着きかけてきたわけだ。

職員室に行った所から今に至るまで、ずいぶん長かったような気がする。

あとは席決めだけとなったわけだが、肝心のユウカの方に目を向けると、

ユウカは驚きに目を見開き、何も言えずに固まっていた。


(いや反応が純粋すぎるだろう)


思わず内心でツッコミを入れる。

ユウカが何故そんな顔をしているのかは想像に難くなかったが、さすがに驚き過ぎだ。

どれだけ信用なかったのか……。


「さて、それなら質問もないようだし、そろそろギルス君の席決めといこうか。ユウカ・バーレンさんのご親戚ということだし、彼女の隣で構わないかな?」


そんな中、

恭司の内心のことなど勿論関係なく、クリスは話を次に進めた。

その話し方に侮蔑や恐れは感じられない。

恭司……ギルスとユウカが血縁者だと知っても通常通りのペースを崩さなかったということだ。

恭司は内心で意外に感じつつも、すぐに頷く。


「問題ありません」


迷う必要も無い問いだった。

なんせユウカの隣というのは恭司にとって渡りに船な話だ。

元々の第一希望である以上、特に拒む必要もない。


「そうか。なら、後ろで放置されている机を使いなさい。それをユウカ・バーレンさんの横につけるといい。他の皆はスペースを空けてやってくれ」


クリスはクラスメイトの全員に向かって話す。

すると、

クラスメイトたちは即座に立ち上がり、机を動かし始めた。

元々空いている場所でもないものだからクラス中の人間が一斉に動く事態だが、その動きに遅滞はほとんど見受けられない。

恭司がユウカの隣にいくのは彼らにとっても都合の良いことらしい。

全員が一斉に動いたのだから作業はほんの短時間で完了し、ユウカの横にキッチリ1人分のスペースが設けられた。


「さて、それでは転校生君の紹介も済んだところで、授業に戻ろうか。ギルス君は隣の席の人から見せてもらってくれ」


クリスはそう言って授業を始める。

隣の席の人というのは勿論ユウカのことだ。

授業は歴史学のようで、恭司はユウカの教科書を一緒に見せてもらわなければならない。

しかし、

ユウカの方を見ると、ユウカはまだ驚いた状態のままだった。
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