82 / 134
【第六章】クレイア
【第十二話】実技訓練⑤
しおりを挟む
「ちなみに、実技訓練はランキングを上げるいいチャンスになるよ。『実技』って名の通り、この授業では先生主導でマッチング決めて公認のランキング決定が執り行われるの。初っ端からラッキーだね」
「いや、いきなり過ぎて付いていけねぇよ……。数学とか国語とか、もっと普通の授業挟んでからでもいいと思わないか?」
「歴史があったじゃない」
「あんなトラウマメイキングの時間のどこが普通なんだ」
普通じゃないと感じるのは全校で恭司だけだろうが、ユウカはツッコまなかった。
授業の始まりまで数分を切っている。
そろそろ着替えないといけない。
「てか、俺まだ体操服ねぇんだけど……」
恭司はそこで体操服をまだ持っていないことに気がついた。
支給されるのか買わなければならないのか、それすら知らない。
「あー、体操服は特に指定の物とかないからねー。完全に個人の自由に任されてるの」
「つまり買っておかなきゃならなかったんだな?」
先日の街での買い物を思い出す。
出来ればそれも言っておいてほしかった……。
「まぁ、ぶっちゃけ指定が無い分、そのまんまでもいけると思うよ。これが体操服ですって言い張っちゃえばいいんだよ」
「いや制服は指定なんだからバレバレだろ……」
とはいえ、参加するにはそれしかないのが現状だった。
普通に考えれば参加せずに見学するのが妥当なのだろうが、参加するしないはともかく大会までもう半年しかない。
大会参加の最終決定はアベルトが行うものの、その時になってそもそも参加自体出来なかったというのは避けたい事態だ。
参加するしないの判断をアベルトが正当に下すためにも、「40位以内」という前提条件はせめてクリアしておかなければならない。
つまり、
ランキングを上げられるチャンスはなるべく有効に活用するべきだ。
(それに、クラスメイトたちの実力を確認するいい機会にもなるか……)
恭司は改めてクラスメイトたちを見回す。
手に持っている武器はそれぞれ個性的なものが多く、各自こだわりがあるようだった。
剣や槍、弓など、種類も豊富だ。
家柄なのか実力なのか、高価そうなものも数多く見受けられる。
いかにも武芸科らしい光景だが、恭司はそこで、とあることに気がついた。
「俺、武器も持ってきてねぇ……」
武芸科としてあるまじきことだが、自分の武器について完全に失念していた。
学校に行ったことがないは言い訳かもしれないが、今ここに至るまで全く気づけなかった。
経験が無かったとしても、武芸科である以上、こういう授業があることは事前に想定出来たはずだ。
覚悟が足らなかったと、そう自覚せざるを得ない。
恭司は自分の不甲斐なさと申し訳なさの入り混じった表情で、ユウカを見る。
こうなってしまってはもうユウカに借りるしかない。
しかし、
そんなユウカは腕を組んで仁王立ちしたまま、手ぶらで威風堂々と言い放った。
「大丈夫!!借りられるよ!!」
「お前もか」
ユウカも忘れていた。
仕方がないので恭司は先生に言って2人分の木刀を借りることにした。
ユウカ曰く、武芸科のある学校なのだから武器くらいレンタルできるはずということだ。
まぁ、そもそも武芸科に通う生徒が武器を忘れることなど早々ないとは思うのだが……。
兎にも角にも恭司は先生のもとへと向かう。
先生は格技場のど真ん中で集合の笛を鳴らす直前だったが、恭司が転校生ということもあってそう邪険にされることもなかった。
日焼けした肌にムキムキの体でいかにも体育教師という見た目だったが、意外と中身はちゃんとした優しい性格の先生のようだ。
だからこそ、
恭司の姿を見て普通に聞かれた。
「体操服は?」
「これが体操服です」
引かれた。
やはり無理があったらしい。
恭司は木刀を2本持ってユウカのもとに戻ると、ユウカは親指を立ててニカッと笑う。
「ナイスファイトッ!!」
「やかましいわ」
そうして、恭司は制服のまま、借りた木刀で授業に参加することとなった。
ユウカはその間に着替えていたのか、既に体操着姿となっている。
どこにでもありそうな普通のジャージ姿だ。
相変わらずファッションにはまるで興味がないらしい。
似合っているが納得出来ない。
そして、
そんな中、面倒事を片付けた先生は改めて笛を吹き、生徒たちを集合させた。
授業開始の合図だ。
ようやく2時間目の『実技訓練』が始まる。
「いや、いきなり過ぎて付いていけねぇよ……。数学とか国語とか、もっと普通の授業挟んでからでもいいと思わないか?」
「歴史があったじゃない」
「あんなトラウマメイキングの時間のどこが普通なんだ」
普通じゃないと感じるのは全校で恭司だけだろうが、ユウカはツッコまなかった。
授業の始まりまで数分を切っている。
そろそろ着替えないといけない。
「てか、俺まだ体操服ねぇんだけど……」
恭司はそこで体操服をまだ持っていないことに気がついた。
支給されるのか買わなければならないのか、それすら知らない。
「あー、体操服は特に指定の物とかないからねー。完全に個人の自由に任されてるの」
「つまり買っておかなきゃならなかったんだな?」
先日の街での買い物を思い出す。
出来ればそれも言っておいてほしかった……。
「まぁ、ぶっちゃけ指定が無い分、そのまんまでもいけると思うよ。これが体操服ですって言い張っちゃえばいいんだよ」
「いや制服は指定なんだからバレバレだろ……」
とはいえ、参加するにはそれしかないのが現状だった。
普通に考えれば参加せずに見学するのが妥当なのだろうが、参加するしないはともかく大会までもう半年しかない。
大会参加の最終決定はアベルトが行うものの、その時になってそもそも参加自体出来なかったというのは避けたい事態だ。
参加するしないの判断をアベルトが正当に下すためにも、「40位以内」という前提条件はせめてクリアしておかなければならない。
つまり、
ランキングを上げられるチャンスはなるべく有効に活用するべきだ。
(それに、クラスメイトたちの実力を確認するいい機会にもなるか……)
恭司は改めてクラスメイトたちを見回す。
手に持っている武器はそれぞれ個性的なものが多く、各自こだわりがあるようだった。
剣や槍、弓など、種類も豊富だ。
家柄なのか実力なのか、高価そうなものも数多く見受けられる。
いかにも武芸科らしい光景だが、恭司はそこで、とあることに気がついた。
「俺、武器も持ってきてねぇ……」
武芸科としてあるまじきことだが、自分の武器について完全に失念していた。
学校に行ったことがないは言い訳かもしれないが、今ここに至るまで全く気づけなかった。
経験が無かったとしても、武芸科である以上、こういう授業があることは事前に想定出来たはずだ。
覚悟が足らなかったと、そう自覚せざるを得ない。
恭司は自分の不甲斐なさと申し訳なさの入り混じった表情で、ユウカを見る。
こうなってしまってはもうユウカに借りるしかない。
しかし、
そんなユウカは腕を組んで仁王立ちしたまま、手ぶらで威風堂々と言い放った。
「大丈夫!!借りられるよ!!」
「お前もか」
ユウカも忘れていた。
仕方がないので恭司は先生に言って2人分の木刀を借りることにした。
ユウカ曰く、武芸科のある学校なのだから武器くらいレンタルできるはずということだ。
まぁ、そもそも武芸科に通う生徒が武器を忘れることなど早々ないとは思うのだが……。
兎にも角にも恭司は先生のもとへと向かう。
先生は格技場のど真ん中で集合の笛を鳴らす直前だったが、恭司が転校生ということもあってそう邪険にされることもなかった。
日焼けした肌にムキムキの体でいかにも体育教師という見た目だったが、意外と中身はちゃんとした優しい性格の先生のようだ。
だからこそ、
恭司の姿を見て普通に聞かれた。
「体操服は?」
「これが体操服です」
引かれた。
やはり無理があったらしい。
恭司は木刀を2本持ってユウカのもとに戻ると、ユウカは親指を立ててニカッと笑う。
「ナイスファイトッ!!」
「やかましいわ」
そうして、恭司は制服のまま、借りた木刀で授業に参加することとなった。
ユウカはその間に着替えていたのか、既に体操着姿となっている。
どこにでもありそうな普通のジャージ姿だ。
相変わらずファッションにはまるで興味がないらしい。
似合っているが納得出来ない。
そして、
そんな中、面倒事を片付けた先生は改めて笛を吹き、生徒たちを集合させた。
授業開始の合図だ。
ようやく2時間目の『実技訓練』が始まる。
0
あなたにおすすめの小説
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。
棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる