追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー

ノリオ

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【第七章】本性

【第十六話】緊急会議⑦

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「あー、あと、『イベント』の方も頼むよ。『仕事』はきちんと果たすようにね」


そして、

アベルトは思い出したようにそう付け加えた。

恭司は頷く。


「……『ボルディス』の長男の件ですね」


アベルトから直々に指示された、ボルディス家長男の暗殺。

警護の厚い日常ではなく、2対2となるイベント内での遂行を目的とした、『ビジネス』の話だ。


「あぁ、そうだ。さっき少し話した通り、イベントには順位変動の特典を仕込む予定だが、目的の順位を得るまでボルディスとは当たらないようにしておく。まぁ、こちらは優勝とまではいかないが、ベスト8くらいには入ってくれ」

「ベスト8……ですか?」

「あぁ、そうだ。なるべく不自然じゃない程度に雑魚を割り当てるようにしておくから、決してしくじらないようにね」

「…………」


半ば強引ではあるが、一応行動指針は立った。

やるべきことはコレで明確になったと言える。

だが、

大会まではあと半年残っているものの、肝心のイベントまではあと1ヶ月しか残っていなかった。

今日初めて学校という存在を知った中、校内の仕組みはおろか世間の常識すら覚束ない中で、もう次の仕事だ。

準備期間が短すぎる。

恭司はまだ貴族という人間たちは勿論、肝心の『ボルディス』についてすら分かっていないのだ。

このままでは対策の取りようがない。

毎度のことながらアベルトに聞いてもあまり教えてはくれないだろう。

自分で動く必要がある。


「ご期待に添えるよう全力を尽くします」


恭司はそう言って再度頭を下げながら、この1ヶ月でやらなければならないことを1つ1つリストアップしていった。


「さて……それでは行くとするよ。本当に忙しいんだ。外の死体も、なるべく早く対処しなければならないからね」


アベルトはそう言って立ち上がった。

今日は手に何も持っていないが、そもそも予定になかったということなのだろう。

サッと立ち上がり、早足で玄関の方に向かう。


「対処ってどうするの?」


すると、

ユウカから声がかかった。

なんせ死体は家の前にあるのだ。

当然、気にはなる。


「もちろん、部下に任せるつもりだ。だが、念のため対処時には私もいるようにするから、安心するといい」


ユウカは胸を撫で下ろした。

アベルトの部下とはいえ、あまり他人と絡むのを好まないユウカだ。

話さなくていいというのは有り難かった。


「分かっていると思うが、三谷君は姿を見せないようにね。バレることはないだろうが、なるべく知られないに越したことはない」

「承知致しました」


恭司もまた頷く。

元々変に絡むつもりも無いし、何の問題もない。

何なら、これから出かけてしばらく戻らないくらいだ。

表の対応の件も含め、恭司は深々と頭を下げた。
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