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【第八章】協定
【第十八話】協定①
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「何のツモリですか?”お義父さん“」
恭司は表情を動かさないまま、口だけを動かして尋ねた。
相変わらず恭司の刀は今にもククルを食い破ろうとしていて、それを邪魔された怒りが声に表れている。
アベルトは2人の様子をマジマジと見ていたが、大きく息を吐き出すと、再び口を開いた。
「クレイアとは、今後協定を結ぶことになった。なので、その者はこれから味方だ。刀を引きなさい」
言っていることが分からなかった。
恭司はもう殺すつもりで家を出たのだ。
なのに1人も殺っていない。
コレでは、目的を達成できない。
「仰ってる意味が分かりかねますね……。この女を殺すこと、事前にアナタも了承されていたはずでは?」
先ほどの家での会議のことを言っている。
あの時、アベルトは確かに了承の意を示した。
時間がないことも共有している。
正体を知られた可能性がある人間は、今すぐにでも始末しておくべきだ。
「事情が変わったのさ。そこの『ククル・ウィスター』にはまだ使い道がある」
「…………」
アベルトにククルのフルネームを教えた覚えはない。
断言はできないが、恭司は少し理解した。
事情は、本当の所、”変わっていない“ということだ。
「分かりました。アナタがそう仰るのであれば、引きましょう」
恭司はそう言って刀を引き、鞘に仕舞った。
ククルの安堵した顔がチラリと見える。
恭司は刀を仕舞ったまま、ククルに背を向けると、何の警戒も無しにアベルトのいる方向へ歩いていった。
アベルトの言葉とは別に、ククルはもう戦えないという判断だ。
恭司は颯爽とアベルトの前に立ち、堂々とした目でその顔を睨み付ける。
「さて……流石にお聞かせいただけますか?何故
、こんな土壇場で『協定』になどなったのか。タイミングがあまりにも良すぎるかと思うのですが」
声には苛立ちが多大に見受けられた。
今回の事前了承についてはつい先ほどのことだったのだ。
それをこんな短時間で覆されれば、そりゃあ文句も言いたくなる。
これまでは色々と理由をつけてはぐらかされてきたが、今回ばかりはそうもいかないだろう。
今までの不可解な対応も含めて、きっちり説明してもらう必要がある。
「……分かった。だが、先に移動を優先させるよ。セキュリティを止めておくのも限界なんだ。トイレも壊れたままだしね」
恭司はそれでハッとなった。
ククルがトイレを出てからそれなりに経っているが、他にまだ誰も来ていない。
トイレの中でも戦闘の音は響いていただろうし、いくら授業中とは言っても不可解だ。
知らぬ所で、アベルトが対応していたのだろう。
そして、
そんな対応が出来ていたということは、この戦闘場所がここになると分かっていたということ。
どこまでも食えない人だと、恭司は改めて思った。
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恭司は表情を動かさないまま、口だけを動かして尋ねた。
相変わらず恭司の刀は今にもククルを食い破ろうとしていて、それを邪魔された怒りが声に表れている。
アベルトは2人の様子をマジマジと見ていたが、大きく息を吐き出すと、再び口を開いた。
「クレイアとは、今後協定を結ぶことになった。なので、その者はこれから味方だ。刀を引きなさい」
言っていることが分からなかった。
恭司はもう殺すつもりで家を出たのだ。
なのに1人も殺っていない。
コレでは、目的を達成できない。
「仰ってる意味が分かりかねますね……。この女を殺すこと、事前にアナタも了承されていたはずでは?」
先ほどの家での会議のことを言っている。
あの時、アベルトは確かに了承の意を示した。
時間がないことも共有している。
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「…………」
アベルトにククルのフルネームを教えた覚えはない。
断言はできないが、恭司は少し理解した。
事情は、本当の所、”変わっていない“ということだ。
「分かりました。アナタがそう仰るのであれば、引きましょう」
恭司はそう言って刀を引き、鞘に仕舞った。
ククルの安堵した顔がチラリと見える。
恭司は刀を仕舞ったまま、ククルに背を向けると、何の警戒も無しにアベルトのいる方向へ歩いていった。
アベルトの言葉とは別に、ククルはもう戦えないという判断だ。
恭司は颯爽とアベルトの前に立ち、堂々とした目でその顔を睨み付ける。
「さて……流石にお聞かせいただけますか?何故
、こんな土壇場で『協定』になどなったのか。タイミングがあまりにも良すぎるかと思うのですが」
声には苛立ちが多大に見受けられた。
今回の事前了承についてはつい先ほどのことだったのだ。
それをこんな短時間で覆されれば、そりゃあ文句も言いたくなる。
これまでは色々と理由をつけてはぐらかされてきたが、今回ばかりはそうもいかないだろう。
今までの不可解な対応も含めて、きっちり説明してもらう必要がある。
「……分かった。だが、先に移動を優先させるよ。セキュリティを止めておくのも限界なんだ。トイレも壊れたままだしね」
恭司はそれでハッとなった。
ククルがトイレを出てからそれなりに経っているが、他にまだ誰も来ていない。
トイレの中でも戦闘の音は響いていただろうし、いくら授業中とは言っても不可解だ。
知らぬ所で、アベルトが対応していたのだろう。
そして、
そんな対応が出来ていたということは、この戦闘場所がここになると分かっていたということ。
どこまでも食えない人だと、恭司は改めて思った。
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