追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー

ノリオ

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【第八章】協定

【第十八話】協定③

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「まぁ、とは言えその時の状況を詳しく説明する必要はあるだろう。君の要望通り、一から事の次第を伝えた方が良さそうだ」


アベルトは気を取り直したかのように話し出した。

まるで本当にクレイアに対して憤っているかのような仕草で、その声には真剣味が漂っている。

硬派な見た目とは裏腹に演技派なのだろう。

恭司には白々しく見えた。


「あの時、君が家を出た後、そのすぐ後にクレイアから使いの者が現れたんだ。ほぼ入れ違いのようだったから、タイミングを見計っていたんだろうね。政府側の人間である私の前に自ら現れるなど、相変わらず大胆な連中だ」

「…………」

「現れた男は『シン』と名乗った。その男は、『ククル・ウィスター』という女性が学校にいること、ククルさんの情報が既にクレイア本部に入ってきていること、そして……『自分たちが君のことを三谷恭司だと確信している』ということを告げてきたんだ」

「…………」

「私も、流石に荒唐無稽だと怒ろうとしたんだがね……。彼からこんな物を渡されて、どうしようもなくなったというわけさ」


アベルトはそう言うと、ポケットから小型のマイクのような物をいくつかパラパラと机に置いた。

置かれたそれは、恭司にも見覚えがある。

今日、ユウカの家で見つけた盗聴機だ。

アレはやはり、クレイアによるものだったということなのだろう。

普段のユウカとの会話が思い起こされる。

確かに、あの会話が聞かれていたとすれば、かなり致命的だ。

だが、


(それが本当なら、教室でククルと揉めた時にはククルは既に知っていたことになる。さらに、クレイアがそれを今まで世間に言わなかったことも不可解だ。それに……)


次々と思い浮かぶ疑問。

納得するには状況的に違和感が多すぎる。

しかし、

そんな恭司の様子を他所に、アベルトはさらに説明を続けた。


「その盗聴機には君たちの会話が録音されていた。私も迂闊だったよ……。もっと家のセキュリティを強化しておくんだった」

「…………」


アベルトは今日、森のセキュリティに異常があったから来たと言っていた。

森なんて広範囲なフィールドの侵入者は捉えられるのに、家の中の侵入者は捉えられなかったというのか。

まぁ、今日来ていたのはクレイアの中でも下っ端だったようだし、家の中には上位者が行ったということであれば、コレも無いことは無い……のかもしれないが……。

やはり、綺麗に納得することは難しそうだった。
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