追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー

ノリオ

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【第五章】恭司の過去

【第十一話】王族狩り:序章 ⑥

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「皆、忙しいのによく集まってくれたな。座ってくれ」


ホスト席でいち早く座ったシェルが、隊長たちに命を下す。

シェルからの言葉を聞いて、この国でも高い地位にいる彼らは速やかに指示に従った。

ここにいるほとんどが新任の隊長たちであるという事実も勿論あるが、シェルを前にして生意気な態度をとれる人間などこの国には存在しない。

シェルはそれほどに、力と実績を示してきた。

お飾りの皇太子などではないのだ。

例えここにいる全員が謀反を起こし、この場で一斉に襲い掛かったとしても、シェルには全くかなわないだろう。

傷の一つすら負わせることは難しいかもしれない。

それに、

民衆だってきっとシェルの味方をする。

朝からこれだけ取り乱していようと、

1年もの間ずっと王族狩りを捕まえられていない事実があろうと、

シェルが今まで民衆に示してきた信頼性は覆せない。

権力だってそうだ。

立場も身分も実績もある彼に発言できるのは、この国ではバルキー・ローズくらいしかいない。

そう考えると、この会議の必要性も微妙な所だ。

結局はシェルかバルキーの一存で全て決定し、彼らも抗わないのだから、必要無いと言えば無いのかもしれない。

だが、

シェルはこういった会議の場を大切にしていた。

シェルとバルキーの一存で決まるということは、彼ら二人の発言はこの大国では何よりも最優先事項として認識される。

だからこそ、

シェルはなるべく多くの客観的事実とデータ、声を欲するのだ。

チンプンカンプンな指示を出せば、その指示一つでこの国は一気に崩壊しかねない。

普段はそれをやんわりさせるために彼らを間に挟んでいるのだが、今回はシェル自ら動き出した。

今日シェルの発言する内容は、兵士と間を挟まない最高レベルの超最優先事項となる。

隊長たちも緊張しようものだ。


「今日集まってもらったのは他でもない。例の『王族狩り』への対抗策を打ち出すために、諸君らの意見を聞きたくて集まってもらったのだ。各自、情報やデータは集まっているな?」


シェルの発言に、隊長たちは一様に頷いた。

これはシェルが先立って出していたオファーだ。

ここにきて今から調べるじゃ格好がつかない。

隊長たちも、ここで下手な報告をするわけにはいかないためしっかりと調べてきた。

シェルはその様子に満足そうな表情を浮かべ、まずはその報告を聞くことにする。

最初は現在の被害総数からだ。


「王族狩りによって殺害された役職者数は全体で20名に及びます。ただ、王族狩りはご存知の通り、目撃者も含め、周囲の人間を悉く巻き添えにするという異常性を持っており、民衆や警護に付いていた兵士まで合わせると、その数は1000名以上といった結論になりました。死体が見つかっていない者も多くいるため、名簿と照らし合わせたデータになります」


王族狩りの最も厄介な点がこれだった。

今まで、狩られた王族たちも無防備に一人出歩いていたわけではない。

そのほとんどが、ボディーガードをしっかり引き連れた状態で殺害されている。

数もさながら、練度も高い兵士たちだ。

時が経つほどその数も練度も高くしていたが、その甲斐虚しく、完全完璧に全員殺されてきた。

さらには、

王族狩りは標的やそのボディーガードだけに留まらず、その現場を目撃したと見られそうな位置にいた人間も全て皆殺しにするという異常な体質も持っている。

現場近くの家の住人や、たまたま近くにいた通行人など、一般人に対しても全く容赦が無い。

標的一人に対し、その一帯を全て血の海に変えてしまうのだ。

およそ人間の仕業とは思えない残虐性だ。
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