舌先三寸覚えあり 〜おヌル様は異界人。美味しいお菓子のプロ技キラめく甘々生活

蜂蜜ひみつ

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ヌルッとスタート編

第26話 染み渡る

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 なるほどねぇ。
 そんなら私が使ってるような……。

「ん? コニー? さっきからなに書いてんの?」

「ああこれ? 私が地球で使ってる金属フィルター。円錐形じゃなくてなんて言うんだ? この形。ちょっと台形に潰して切ったっていうの?
厚みはすごく薄くて細かい網目状になってて、私が持ってるのはステンレスに鍍金ときんされてるやつ。金は酸化しにくく金属イオンを発生しない、うんたらかんたら。ははは、私よく分かってないや。
こういう金属フィルターだと、紙とか布とか敷かなくても、淹れれるよ」

「え? 何それ。もうちょっと詳しく教えて」

 2人ともずいって覗き込み、急いでクレールはカウンターに置きっぱなした自分の紙とペンを取りに立った。
 追加で網目のアップと台形ドリッパーの絵も描き足した。

「これが真上から見た図でこれが真下から見た図。黒いのはね、〈プラスチック〉で出来てたよ。何で〈プラスチック〉かは意味わかんない、多分軽量化の為かも?
けど存在理由は分かる。網の金属が薄くてべにゃっとするから、強度を保たすはりの様なもんだよきっと。
その形に合わせてドリッパーも底が円錐じゃなくてこう。陶器製や〈プラスチック〉系やガラス製、いろいろあったよ。
底抜け穴は製造会社によって、1つとか3つとか。私はお湯抜けが速くて3つ穴が好き。そんで下に落ちやすい様に筋が中についてんの。
網目はよく見ると格子こうしじゃなくて縦長方形の穴が互い違いになってできてる」

 クレールが私の絵を見て網目の形状について質問してきた。

「ううん。長丸じゃなくて角が丸みを帯びた長方形。急いで描いたからざつ過ぎてごめん」

「この絵、僕に貸してって言ったら困る?」

「こんなんで良ければ。どーぞどーぞ。てゆうか必要ならあげるよ?」

 嬉しそうにするクレールちょっと可愛いかもって思っちゃった。

「コニーは絵も案外上手いんだな」

 そお? なんて澄まし顔からのドヤ顔にて、手先はわりと器用なんだ~、とエタンに答える私。

 ああ! そだ! こっちの字のことだ。

「クレールの字も見てもいい? 私読めるかな? ドキドキする……」

 彼からメモを書き付けた紙を手渡してもらって見たら……

 何と! 読めたよ!
 なんて書いてあるか意味わかるよ!

「凄い……。虹の方様、私への侵入が半端ない。
読めるよ、なんて書いてあるか完璧に」

「マジか。相当虹の方様に侵入されたんだな……」

「あのさ……。実はこっち来た最初からずっと気になっていたことがあるんだけど……。
私ね、ほんとド近眼なんだよね。眼鏡がないと眼鏡が探せない的な」

 ぽつりぽつりと話を続ける。

「地球で卵白被った段階で眼鏡がぶち飛んだんだけどね。
そんで目にちょっと卵白入って、うへぇってなって拭おうとした瞬間、ズドンって頭上や顔面が重くなったの。それが虹の方様に切り替わった瞬間かももしんない。
だから目に確実に侵入してると思う」

 ちなみに両耳穴もだけど。

 ふ~

「ここからが本題で……。
前に説明した通り、一格闘終えて目を開けたらこの世界に居た訳なんだけど。
もうそん時は不思議と眼鏡なしでも充分見える視力になってたんだよね」

……

「もしかしてこれも虹の方様のお力?」

 クレールとエタンが2人で顔を見合わせる。
 最初に口を開いたのはエタンだった。

「……報告忘れてたが、クレールと見つけたというルセット以降、あの場所を隈なく探したんだが、眼鏡をはじめ他はなにもなかった」

「そっか。眼鏡も帽子もあっちのままか。やっぱり重くなる前にすっ飛んでった物だからか。」

「コニー……。過去10人のおヌル様と比べて、もしかしたらコニーは段違いに侵入されてると思って間違いないと思う。
深く眠っていたのは、過度の心身の疲労によるものだろうと、呼吸や脈拍の確認をしながら様子を見てたんだけど……。
もしかしたら丸二日間起きなかったのは、身体に虹の方様との親和性を染み渡せる為というか、馴染むまでに時間が掛かった可能性もあり得るかも知れない……」

 うつむいて、つぶやくようにクレールが言い足した。

「はぁ……一体どっから話をしたら良いんだろうか……」

 ちょっと、なに! 染み渡らせるって。
 ほんと、それマジで怖い。
 キモい。
 ヤバい。

 こっちが100万回ぐらい溜息つきたいわ!!



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コニーが描いてクレールに渡した、コーヒー道具の説明走り描き。



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