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ヌルッとスタート編
第25話 ようやっと
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3人で2階に上がるなりクレールによって
「外から帰ったままの服で、布団に寝っ転がろうとすんなよな」
速攻釘を刺されたエタンは
「チッ、バレたか」
ひょっと首をすくめて椅子に座った。
「仕事帰りだもんね、お疲れ様」
そう私が声をかけるとクレールは
「そうじゃなくても毎度上に来るなり、すぐ僕の寝台に寝転ぶんだよコイツ」
揶揄うように笑いながら、正方形に区切られた壁の棚に向かい、仕分けされ整然と並べられた沢山の中から一つ。
LPレコードサイズほどの銀色の額に入ったものを抜き取った。
わぁ、綺麗……
白い余白を残した正方形の中に、曼荼羅のように美しく幾何学的な図案が、所狭しと緻密に描かれている。
「これが魔道具回路。蛍様曰く〈半導体チップ〉のようなものだって。言い方合ってる?
理論の構築から、魔素を流しながら描き上げて、実際色んな物に施行・付与するところまで、全部僕の仕事。
原盤は国によって厳重に保管されていて、これは複製品の一つ。
強化回路は昔からあるものだけど、現状一番消費魔力を減らすことができる最新版は僕のこれだね。
これ自体にも強化と保護、盗難防止策がかけられてるよ。
さあ、この上に水差しを乗せて」
銀色の枠に両手の人差し指と中指を添え、彼は目を瞑って口を閉じたままゆっくり呼吸を整えること10秒弱。
回路がクレールの瞳の色とそっくりな鮮緑の光を放った。
「はい。完成」
水差しの裏を確認してエタンに手渡し、回路を棚に戻しに行った。
「ほらコニー見てみ。アイツの出力した魔素の若草色で凝縮された回路が写し取られてんだろう? これが赤くなったら魔力の注ぎ時ってこと」
「今回は5年ものの付与回路使った。さあ下に行こう」
そう言ってクレールは、すぅっと自然に私へ手を差し伸べた。
あ、はい。
お手ですね、ありがとうございます、慣れましたワン。
下に降り、早速ヤカンにコーヒーポットの余熱分の水を更に足して、火を付けた。
豆挽きはエタンにお任せ。
リネフィルター(麻布)を出してもらう。
そして流しにボウルみたいなのも用意してもらった。
ほら、器具を温めたお湯を簡単に捨てるわけにはいかないでしょ。
「お湯沸いた。はーい、お待たせしました。じゃあいっくよ~!
まずは縦長紅茶ポットにお湯を入れます。
そこからドリッパーを乗せた水差しにお湯を注ぐ。そう、3つとも温めてんの。
布はあらかじめ濡らしたりしないからまだ敷かない。
ドリッパーを一旦外して、水差しのお湯を3人のカップに配って。
ドリッパーまた乗せます。
ここで布敷いて豆入れて。
うん、これでよし。
縦長紅茶ポットにまたお湯を入れて、超ゆっくりコーヒー豆の真ん中に、すこーし注ぐ。
クレール、30秒数えてくれる?
その間に説明するから。
これ、蒸らしって状態ね。
ほら、膨らんで来た。
新鮮な良い豆の証拠だよ、古いと膨らまないの。
………29、30。
ん、ありがと。
次もゆっくり、真ん中へ。
ちゃぷちゃぷにならない量だけ、少しずつだよ。
3人分で湯量多いから4回分けイメージで。
渦巻きみたいにくるくるして、端っこ、布に直接お湯かけないように。
ふう~陶器の紅茶ポット重たいなぁ~。
はい! 線まで来たらサッと退かす。
お湯落ち切るまで待たないの。時間が経つにつれ雑味が出てくるからね」
さてと……喋ってる間に、カップを温めてたお湯を流しのボールに空けて……
「淹れたてコーヒーを配るよ。
一人分づつ一度によそらないで、3人分の味が均等になるようこうして何回かに分けながら回し注いで……
完成!
長らくお待たせしました。
コーヒー持ってソファー行こ~。」
つ、疲れた……。
ボーッとしてたら「いただきます」と、クレールに音頭を取られた。
適応力ありありだね!
「ぷは~。どうかな?」
「……マジか……。何だこれ。全然味が違うじゃねーか。いつもの豆と同じとは思えないな」
「本当に。スッキリしてエグみがなくて、なんか奥行が広がった味ってゆうか。とにかく美味しい」
「やったね! お褒めのお言葉ありがとう。違い出たの分かった?
ふぃ~。ひとまずプロの面目躍如を果たしたぜぃ。
ねぇ、こっちには紙で出来た濾過紙は無いの?」
「初代大統領のアメリカのおヌル様の時は使ってたらしいが、リサイクル推進大臣のドイツのおヌル様のによって廃止されたらしいぜ。」
「へえ、そうなんだ。知らなかった。お前の方が僕よりおヌル様について詳しいことがあるのはちょっと癪だな」
「はは! まーな。布洗うの面倒くせーから何とかならんか? ってちょっと調べたことがあって。それで知った」
「外から帰ったままの服で、布団に寝っ転がろうとすんなよな」
速攻釘を刺されたエタンは
「チッ、バレたか」
ひょっと首をすくめて椅子に座った。
「仕事帰りだもんね、お疲れ様」
そう私が声をかけるとクレールは
「そうじゃなくても毎度上に来るなり、すぐ僕の寝台に寝転ぶんだよコイツ」
揶揄うように笑いながら、正方形に区切られた壁の棚に向かい、仕分けされ整然と並べられた沢山の中から一つ。
LPレコードサイズほどの銀色の額に入ったものを抜き取った。
わぁ、綺麗……
白い余白を残した正方形の中に、曼荼羅のように美しく幾何学的な図案が、所狭しと緻密に描かれている。
「これが魔道具回路。蛍様曰く〈半導体チップ〉のようなものだって。言い方合ってる?
理論の構築から、魔素を流しながら描き上げて、実際色んな物に施行・付与するところまで、全部僕の仕事。
原盤は国によって厳重に保管されていて、これは複製品の一つ。
強化回路は昔からあるものだけど、現状一番消費魔力を減らすことができる最新版は僕のこれだね。
これ自体にも強化と保護、盗難防止策がかけられてるよ。
さあ、この上に水差しを乗せて」
銀色の枠に両手の人差し指と中指を添え、彼は目を瞑って口を閉じたままゆっくり呼吸を整えること10秒弱。
回路がクレールの瞳の色とそっくりな鮮緑の光を放った。
「はい。完成」
水差しの裏を確認してエタンに手渡し、回路を棚に戻しに行った。
「ほらコニー見てみ。アイツの出力した魔素の若草色で凝縮された回路が写し取られてんだろう? これが赤くなったら魔力の注ぎ時ってこと」
「今回は5年ものの付与回路使った。さあ下に行こう」
そう言ってクレールは、すぅっと自然に私へ手を差し伸べた。
あ、はい。
お手ですね、ありがとうございます、慣れましたワン。
下に降り、早速ヤカンにコーヒーポットの余熱分の水を更に足して、火を付けた。
豆挽きはエタンにお任せ。
リネフィルター(麻布)を出してもらう。
そして流しにボウルみたいなのも用意してもらった。
ほら、器具を温めたお湯を簡単に捨てるわけにはいかないでしょ。
「お湯沸いた。はーい、お待たせしました。じゃあいっくよ~!
まずは縦長紅茶ポットにお湯を入れます。
そこからドリッパーを乗せた水差しにお湯を注ぐ。そう、3つとも温めてんの。
布はあらかじめ濡らしたりしないからまだ敷かない。
ドリッパーを一旦外して、水差しのお湯を3人のカップに配って。
ドリッパーまた乗せます。
ここで布敷いて豆入れて。
うん、これでよし。
縦長紅茶ポットにまたお湯を入れて、超ゆっくりコーヒー豆の真ん中に、すこーし注ぐ。
クレール、30秒数えてくれる?
その間に説明するから。
これ、蒸らしって状態ね。
ほら、膨らんで来た。
新鮮な良い豆の証拠だよ、古いと膨らまないの。
………29、30。
ん、ありがと。
次もゆっくり、真ん中へ。
ちゃぷちゃぷにならない量だけ、少しずつだよ。
3人分で湯量多いから4回分けイメージで。
渦巻きみたいにくるくるして、端っこ、布に直接お湯かけないように。
ふう~陶器の紅茶ポット重たいなぁ~。
はい! 線まで来たらサッと退かす。
お湯落ち切るまで待たないの。時間が経つにつれ雑味が出てくるからね」
さてと……喋ってる間に、カップを温めてたお湯を流しのボールに空けて……
「淹れたてコーヒーを配るよ。
一人分づつ一度によそらないで、3人分の味が均等になるようこうして何回かに分けながら回し注いで……
完成!
長らくお待たせしました。
コーヒー持ってソファー行こ~。」
つ、疲れた……。
ボーッとしてたら「いただきます」と、クレールに音頭を取られた。
適応力ありありだね!
「ぷは~。どうかな?」
「……マジか……。何だこれ。全然味が違うじゃねーか。いつもの豆と同じとは思えないな」
「本当に。スッキリしてエグみがなくて、なんか奥行が広がった味ってゆうか。とにかく美味しい」
「やったね! お褒めのお言葉ありがとう。違い出たの分かった?
ふぃ~。ひとまずプロの面目躍如を果たしたぜぃ。
ねぇ、こっちには紙で出来た濾過紙は無いの?」
「初代大統領のアメリカのおヌル様の時は使ってたらしいが、リサイクル推進大臣のドイツのおヌル様のによって廃止されたらしいぜ。」
「へえ、そうなんだ。知らなかった。お前の方が僕よりおヌル様について詳しいことがあるのはちょっと癪だな」
「はは! まーな。布洗うの面倒くせーから何とかならんか? ってちょっと調べたことがあって。それで知った」
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