舌先三寸覚えあり 〜おヌル様は異界人。美味しいお菓子のプロ技キラめく甘々生活

蜂蜜ひみつ

文字の大きさ
140 / 175
羽馬渓谷編

第135話 愛されマウント(コニー回想・前編)

しおりを挟む
******(コニー回想)



 エールとハランの名付けを終えたのち、タマ子たち四頭の牧場羽馬には、私からビーダ魔石を与えた。

 ヨコジ魔石のときと違って、今度は翼が七色のマーブル模様に染まり変わってゆく。

「凄い凄い! 綺麗ね、素敵!」
 感嘆の声を上げたり拍手したり、私はその光景を嬉々として堪能した。

 全て終わり、ひと心地ついていると。

「むぷ~むぷ~」

 私の左肩にいるポンポから、なにやら聞いたことない鳴き声が。

 横を見れば、鼻息というか口息を荒げ、ぷくんとまん丸に膨れてぷるぷるしてる。

「あらら? まん丸ちゃんだねえ、ポンポ。なあに? どしたの?」

「むむぬぅ~う」
 潤んだ瞳で私を見上げ、私のほっぺにスタンプを押すみたく、ぽいちょ、と軽く頭突きをしてきた。

 それから、しゅぴんっ。
 すぐ側にいたロクムの頭上に飛び移り、
「むむぬぅ! むむぬぅ!」
 ほら注目して! って感じに手をぱたぱたさせ、私にアピール。

 しっかり私が見てることを確認したのち、後ろを向いて、ぷりぷりお尻を振り出した。  
  
「あはは、お尻もお団子しっぽも、ぷりんぷりんで可愛か~あいいねえ~。うんうん」

 すると……

 みょいんっ、みょいんっ

 ふぅわっ!!
 突如ポンポの背中に。
 ちっこい翼型の突起が現れた!

 びっくりして凝視する私の前を、早速その翼で得意げにぱたぱた飛んで横切り、籠に着地。
 ヨコジ魔石を掴むとまた羽ばたいて、手に乗せて? と私のとこに戻ってきた。

 しゅぽっと、いつものように飛んだほうが断然早いけど、これはこれでなんとも可愛らしい。

 そして。
 「むあむあむあ~」
 私の手のひらの上で、魔石を食べるジェスチャーをする。

 なるほど、ピンときたぞ。
 羽馬と同じように自分も羽も生やせるし、さらには魔石を食べて、色変わりぐらいやって見せるよってわけだな。

 ポンポったら、さては……。
 負けず嫌いな上に、羽馬たちみたく、私にうんと褒めてもらいたいに違いない。

 よっし、ご期待どおりにベタ褒めするよ~。
 任しといて! 頑張れポンポ!

 なんて褒める気満々で、私も観覧に挑んだのだけれども……

 実際目にしたポンポの色変わりは。
 羽馬たちの翼の色変感動なんてもんじゃなく、私にとって、次元違いの驚きと喜びに満ち溢れた体験だった。

 ポンポの翼は小さいので、みるみるうちに瑞々しい虹色に染まっていった。

 私の手のひらの上で、幸福の虹の花が。
 キラキラ輝きながらほころんでいくみたいに。

 そして魔素で満ちたシャボン玉のように、くるくるゆらゆら、虹色が絶えず流れ動いている。
 
 それは、初めて光の湖に、ボートで漕ぎ出したときのことを思い起こさせた。
 湖の底から光の手が私に差し伸べられてる気がして、触ってみたいと思った、あのときの楽しげな空想の虹の玉のダンスにも似て。

 ああ、ようやく虹の方様に、じかに触れ合えた心地。
 やっぱり、この仔と虹の方様は深く繋がっているのね。

 そのまんまの私を全肯定する、ポンポと虹の方様の二つの波動が。

『ダイスキ・ダイスキ』
『見守っている、自由に生きよ』

 手のひらから、不思議と伝わってくる。

 相変わらず、なにひとつ真実など分かっちゃいないけど。
 全部私の気のせいかもしれないけど。

 翼がじんわり虹色に変化していくように、私の中で確信に変わっていく。

 虹の方様と私の繋がりも、ちゃんとある。

 ポンポをつうじて触って実感できる安心感。

 この思いは、妄想じゃなくて正解なんだ。
 勝手な思い込みでも、もう、それでいいや。

 なんのために、一体ナニモノで……と、彼らについて答えを求めるのはナンセンス。
 
 ポンポの愛情と虹の方様の祝福に、私の心も幸せな虹色にすっかり染まり、輝いた気分。

「ポンポ、すごいね。見せてくれてありがとね。感動して私……泣いちゃいそうよ。
誇らしくって、素晴らしい、私の可愛い相棒。いつまでも仲良く一緒にいようね、好き好きをありがとう。私も大好きだよ。いとしいポンポ」

 ぷるぷるボディーに頬擦りをする。
 ポンポも嬉しげに私の名を呼び、頬擦り仕返してくれた。
 
 しばらくするとポンポが顔を離して、パッとロクムを振り返る。
 すぐさまこっちに向き直り、上目遣いで私を見つめ、『撫でて』言わんばかりに、すりんすりん。
 それを繰り返すこと数回。

「うわあ、こいつロクムに愛されマウントとってんのか」

「なんだか僕は、こいつとは気が合う気が若干する……」

「おらの勝手な想像だが。ポンポ様はロクムに、『翼の色変えぐらいで調子こぐなよ』と見せづげだんでねが? それとロクムよりも多ぐの魔石食いだがったんじゃねえがな」
 
 ふふ、やっぱ、コレそうだよねえ。
 クロエもヤキモチ妬いてたっけ……。

 兄が赤ちゃんを実家に連れて来たとき、抱っこさせてもらって、しきりと『可愛い』を連発しながら、よちよちあやし。
 お嫁さんに戻して、私がフリーになった途端。

『赤ちゃんの側に猫は来ちゃダメだ』って兄に追い払われ、タンスの陰に隠れてたクロエ。
 こっそり見てたのか、瞬時にすっ飛んで出てきて、私にニャーニャー抱っこをせがみまくりの、スネ擦り。

「はいはい、分かった分かった。抱っこね」
 みょいーんとバンザイするように私に抱き上げられ、腕の中のポジションをゲットすると。

 チラチラ何度も赤ちゃんを振り向いては、『紫お姉ちゃんは私の!』って言わんばかりに、頭をすりすり。
 まるでライバルに見せつけてるみたいで、なんともいじらしかったなあ。

 でも、あのときの赤ちゃんもそうだけど。
 ロクムもお嫁さんがいる立派な独り立ちした生き物だから。
 私のことなんて、独り占めしたいとか、別に奪いたくもないと思うよ。

「ポンポったらヤキモチ焼いちゃったの? ふふ、可愛いなあ。大好き!」

 むぎゅっとしたら一瞬ひょうたんみたいな形になっちゃって、ふおぅ焦った~。

 あれ? 元に戻らずさらに細長く伸び上がり、私の耳たぶら辺をもにょもにょ弄りだぞ?

 なにしてんだろう? 

 声をかけようとした矢先、いつものころんとしたフォルムにポンポが戻った。

 そしてエタンに向かって、ぴしゅっと指差しをした。






【次回予告 第136話 悪い子、メッ!(コニー回想・後編)】

𖤣𖥧𖥣𖡡𖥧𖤣

[物語のおさらいをご希望の方へ]

*コニーが他のおヌル様よりちょっと特別感があり、ポンポと虹の方様の関係、ポンポとコニーが深く通じ合う理由…100話の後に載せた番外編『久遠の微睡』

*光の手に触ってみたい…79話、最初のほう。

*虹の玉のダンスの空想…80話、髪を解いたあと、下のほう。
 
 
 
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

処理中です...