婚約者のために処女を捨てた

やかやか

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前編

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 ある日の昼下がり、私と婚約者のテモは家に居た。私はソファーに座る彼に向かって話しかけた。

「テモはさ、今欲しいものとかないの?」

「どうしたのカーテ?急だね、うーん……なんだろ……」

 テモは、私の婚約者だ。テモとは、5ヶ月前に親の勧めで婚約させられた。

  「婚約させられた」と言うと無理矢理親に婚約させられたように聞こえるかもしれないが、そんな事は無い。

 彼は貧乏伯爵の子息でで、私は男爵令嬢。地位的には彼の方が上だ。しかし、お互いの貧しさにさほど変わりは無い。

 貧しい暮らしはしているが、毎日楽しく過ごしている。そこで毎日お世話になっているテモのために誕生日も近いし、誕生日プレゼントを買う事にした。しかし、テモの欲しいものは全く見当がつかないので、さり気なく聞いてみたのだ。


「あっ!あれが欲しいかな」

「えっなになに?」

「えっとね、ちょと待って」


 そう言ってテモは、ある一枚の写真を机から取り私に見せた。


「これこれ、これが今欲しいんだ」


 その写真に写っているのは、時計だった。文字盤は金色、ベルトは黒を基調としている。


「へー、これが欲しいんだー」

「うん!これを買うのをモチベーションにして仕事頑張ってるんだ!」

「へー、そうなんだ!ところでいくらぐらいするの?この時計」

「えっとね、コレぐらい」

 そして彼は写真の下に書いてある値段に指を指した。確かに少し高い。いやだいぶ高い。

「結構高いね・・・」

「うん。でもこの時計欲しいんだ!!だから僕頑張るよ!!」

「そうだね!」


 その後、私はクローゼットの奥にしまってある貯金を取り出した。貯金箱を確認したら、あまりの少なさに驚いた。これでは財布の中と合わせても、あの時計には遠く及ばない。

 どうにかして、テモにあの時計をプレゼントして喜ばせたい。そのためには、テモより早くお金を貯めなければならない。


「私も仕事するしかないか・・・」


 市場の掲示板を見に行き、仕事の求人を探してみる。しかし賃金が低かったり、条件が厳しかったりとなかなかいいものが見つからない。半分諦めて家に帰ろうとすると、掲示板の裏に一枚張り紙が貼ってあった。


【女性限定!!!条件、面倒な手続き必要なし!
        さぁ、お申し込みはこちらの住所まで↓↓↓】


「なにこれ?!この仕事すれば時計買えるじゃん!」


 私は早速、この仕事の申し込みを済ませる為に、張り紙に書いてあった住所へと向かった。
     その住所の建物の中には、一人の男性が立っていた。

「あの……張り紙見てここに来たんですけど……」

「……………………」

     その男性は私に無言で一枚のメモを渡した。そのメモを開いてみると、仕事の日時と場所が書いてあった。コレで申し込み完了ということでいいのだろうか。

 そして私は仕事の日にメモに書いてあった指定の場所に指定の時間通りに行った。しかしもっと早い時点で気づくべきだった。この仕事が危ない仕事だと。
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