silvery saga

sakaki

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番外編:添い寝

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街に辿り着いたのが夜になっていたこともあり、空いていた部屋は1つだけ。ツインルームだった。
宿屋の主人から布団を運び込んでくれるという申し出もあったのだが、リギィが眠る時に虎の姿になればソファで事足りるからと辞退した。
そう、リギィがソファで眠ると言っていたのに・・・
「結局ベッド陣取りやがったな、コイツ」
ベッドの上で大の字になっているリギィを見やり、ブラムが苦々しく呟く。
夕食を済ませて満腹になったリギィは、虎の姿に変わることも忘れてベッドにダイブ。すぐさま熟睡してしまったのだ。
「歩き通しでしたし、きっと疲れてたんですね」
ユアンが布団をかけつつ、リギィの髪を撫でてやる。
その優しい微笑みと手つきにほんの少し苛立ちを覚えつつ、ブラムは煙草の火をもみ消した。
「お前こっちのベッド使えよ。俺はソファで寝るし」
ベッドの上に無造作に置かれていた荷物を床に下ろして皺になったシーツを軽く均す。
ユアンはきょとんとして言った。
「え? ベッドで一緒に寝ればいいじゃないですか」
「一緒にって・・・」
そのあまりに無防備な言い草にブラムは絶句。
だがユアンは、そんなブラムの戸惑いなど気に留める様子もなく、さっさとベッドに入ってしまった。
きちんと枕を並べ、片側を空けてニッコリ笑顔で手まねきする。
「ほら、ブラムも寝ましょう」
「・・・・へいへい」
大きなイビキを掻いているリギィを一瞥してから、観念したブラムもベッドに向かった。
明かりを消してベッドに入ると、狭いシングルベッドではすぐにユアンと肩がぶつかる。
トイパル座のアジトでも一つのベッドで眠ったが、あの時はキングサイズのベッドで、しかもレナとラウルも一緒だった。
こうして二人で枕を並べて夜を過ごすのは初めてのことだ。
(ま、どうせユアンはいつも通りのほほんなわけですが・・・)
いつもながら意識するだけ無意味なのだと心の中で溜息を付く。
妙な気分になる前にさっさと寝てしまおうと布団を被るが、背中を向ける前にユアンがブラムの頬に手を伸ばした。
「おやすみなさい、ブラム」
頬から耳、首筋にかけて髪を梳くようにして撫でる。
「そういや、“おやすみの挨拶”まだだったな」
ユアンの与えてくれる柔らかな感触に目を細め、ブラムは悪戯っぽく言った。
「・・・う、うん」
小さく頷いたユアンは、暗い中でも頬を染めているのが分かる。
狭いベッドの中では、ほんの少し顔の向きを変えるだけで簡単に唇が触れ合った。
(なんか・・いつもとシチュエーションが違うってだけで相当・・・クる)
ぎこちなく唇を離し、至近距離でユアンを見つめる。
「ブラム・・・? 」
ユアンは不思議そうに首を傾げた。
「どうか・・したんですか?」
言葉が発せられるその度に、唇に息がかかる。たったそれだけのことが、殊更に欲望に火をつけた。
「ごめん。ちょっとだけ・・・」
掠れた声で呟き、ゆっくりとユアンに覆い被さる。
「ブラム?・・・んっ・・」
戸惑うユアンの唇を聊か性急に塞ぐ。
僅かに開いていた唇の隙間をぬって舌先を差し入れると、ユアンは怯えたように身体を震わせた。無抵抗なユアンの舌を絡め取り、幾度となく擽る。
熱い口内を犯しながら、指先を頬へ、耳へ、首筋へと這わせた。
「・・ゃ・・ブラム、リギィが・・っ・・・起きたら・・」
荒い息を漏らし、潤んだ瞳が抗議する。
「どうせ朝まで起きねーよ」
ブラムは自分を押し返そうとするユアンの手を掴み、その手の甲に口付けた。
「それに、起きたところで寝ぼけてんだろ」
「そんな・・っ・・ぁ・・」
指の間を舌で辿ると、ユアンは声を詰まらせる。
緩んだ抵抗に気を良くし、再び唇を塞いだ。
「・・っ・・ん・・・」
ブラムの舌が口内を蹂躙する度、ユアンの甘やかな声が漏れる。
ギリギリのところで保っている理性が徐々に剥ぎ取られていくような心地がした。
「ユアン・・」
「・・ぁ・・」
耳元に口付け、耳殻をなぞる様に舌を這わせる。
そうしながらも、抵抗がなくなり抑える必要のなくなった手で、今度はユアンの身体に触れた。
薄い寝巻の生地越しに、その細い腰や胸元を撫でる。ブラムの手が這い回る度に、ユアンは切なそうな息を漏らし、身を震わせた。
(・・・ヤバいな・・抑え効かねぇ・・)
思わず息を飲み、寝巻の裾に手を差し入れる。
ユアンは全身を強張らせたが、嫌がる素振りもなくただギュッと目を閉じているだけだ。
声を堪えているのか、手で口を押えている姿がまた一層扇情的に見えた。
「・・っ・・・」
服を捲り上げ、滑らかな肌の感触を存分に味わう。
初めて触れるユアンの柔肌は癖になりそうなほど触り心地が良い。
「・・んっ・・ぁ・・」
胸元に手のひらを滑らせると、指先にツンとした突起が触れる。ユアンは一際身体をビクつかせた。
「ココ、感じんの?」
「や・・っ・・ん・・」
ユアンの反応を楽しみながら、軽く摘まんだり押し潰すようにして愛撫する。
羞恥のためか、それとも初めて味わう快感への戸惑いのためか、ユアンの瞳から涙が零れた。
ブラムはユアンの涙を唇で拭い、それから首筋に顔を埋める。舌先で首筋から鎖骨までを辿り、胸元に啄ばむようにして跡を残した。
そして散々弄られて尖りきっている先端を今度は舌で絡め取る。
唾液を含ませた舌で擽り、片側は先ほどと同じく指先で弄んだ。
「あっ・・ぁ・・や・っ・・ダメ・・」
ユアンは背を仰け反らせ、泣きそうな声を上げる。身を捩らせてブラムの与える感触から逃れようとした。
「ブラム・・それ、ぃ・・や・・声が・・」
荒い息をつきながら、“声が抑えられない”と必死に訴える。
示し合わせたようにリギィのイビキが一際大きく響き渡り、ブラムの残り一握りになっていた理性がじわじわと戻って来た。
(やべぇ・・完全に暴走してた・・・)
深い溜息をつき、改めてユアンを見つめる。
ユアンは未だ瞳を潤ませたまま、何処か不安そうにブラムを見ていた。
「悪ぃ。もう、ちゃんと我慢する・・・」
捲っていた服を元に戻し、ユアンの髪を撫でる。そして、額に口付けた。
「おやすみ、ユアン」
バツの悪そうに呟く。
「・・・おやすみなさい」
ユアンも俯きがちになりながら頷いた。
適度な距離を保って並び、布団を被る。
(・・・・って、寝れる気しねぇよ・・)
目を閉じてはみるが、一度高まってしまった身体の火照りはそう簡単には消えてはくれない。
何度も寝返りを打つ気配がするあたり、ユアンも同じ心境ではないだろうか。

この日は二人して眠れぬ夜を過ごした。
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