silvery saga

sakaki

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五話後編

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***

リングファットの三大騎士団はそれぞれが異なる任を与えられている。
貴族の集まりであるペガサスは王族の護衛専門なので少しばかり毛色が違うが、フェンリルとケルベロスは似て非なる、“対”とも言える存在であった。
フェンリルは攻撃の部隊。各地へ遠征し、今後リングファットの脅威となりうるであろうあらゆる“敵”を討伐する剣となる。
ケルベロスは防御の部隊。外からやって来る脅威に常に前衛で立ち向かい打ち砕く。リングファットを守る盾である。
この二つの騎士団は、兎に角ことあるごとに比較された。特に騎士団長であるブラムとリュカを宿命のライバルのように語るのは、民衆の楽しみであったのかもしれない。
勿論、実際にはライバルなどという物々しさもなく、共に酒を飲み交わしながら自分達の噂話を笑い種にしていたものだ。
今となってはそれももう、ずっと昔のことのように感じる。


盗賊団のアジトへ向かうため、二人は地形図に倣ってルートを決めた。元々町外れにあったリュカの家からさらに森の奥へ奥へと進んでいく。
「しかし驚いたよなぁ。久々に会ったと思ったら、お前がまさか男の恋人とイチャついてるとはなぁ」
リュカがからかい口調で言う。ブラムはばつの悪い心地がしながらも、“ほっとけ”と言い返した。
リュカは終始この調子で、和やかにユアンのことや騎士時代の思い出話などを話した。緊張感はまるでないように見える。相変わらずだな、とブラムは思った。
リュカはいつも、ここ一番の任務の前にはこうして必要以上に明るく振る舞う。“敵”が強ければ強いほどその傾向がある
ようだ。今回の“敵”を思うと、ブラムは内心で溜息を漏らした。

どんどん歩き続け、紙の上では目的地になっている場所へ近付いて行った。
森の最深部。洞窟があるわけでも、アジトらしき家があるわけでもない。あるのはただ木々のみ。それでも身を潜めるにはもってこい・・・なのかもしれない。しかし、如何に姿を隠せようとも、各所からほとばしる殺気は隠しようがないようだ。
(予想通り、か・・・)
こちらに向けられた幾人もの視線。ブラムは覚悟を決め、即座に剣を抜いた。
「お前らが遠征とは珍しいな、ケルベロス」
剣を向けた先はリュカだ。発した言葉はリュカだけでなく自分たちを取り囲んでいる他の面々にも向けている。
「余裕だな。いつから気付いてた?」
リュカは驚く様子もなく、ただつまらなそうに口の端を歪ませた。
「最初から疑ってた。お前が騎士団を辞めるなんて有り得ねぇからな」
ブラムは不敵に笑う。全身の神経を研ぎ澄ませ、リュカがいつ剣を抜くか周りの騎士達がいつ襲いかかってくるかと身構えていた。
「だいたいお前、もうちょいマシな嘘つけよ。何が第三王女に手を出した、だ。第三王女のエミル様は御年8歳。いつからロリコンになったんだ?」 
「あぁ!? そうだっけ!? マジかよ、ミスったなぁ・・・」
呆れながらのブラムの軽口に、リュカもまたへらへらと笑う。じゃれ合いと何ら変わりない口調。けれど互いに皮膚が痛くなるほどの緊張感に包まれていた。
「まぁゴチャゴチャ言ってても仕方ねぇな」
リュカがふーっと長い息をつく。そしてゆっくりと腰に差してある剣へと手を伸ばした。
「ブラムシヴァーズ。我がリングファット王の命だ。貴殿には速やかに御帰還頂きたい」
慇懃無礼に言葉を紡ぎ、瞬時に纏うは近衛騎士団長の風格。これが地獄の番犬ケルベロスの名を賜った男だ。
リュカが剣を抜いたのを皮切りに、完全武装した騎士達が次々と姿を現す。逆らえば腕尽くで。そう言いたいのだろう。
「舐めんなよ。野良犬共が束になったところで、狼に勝てると思ってんのか?」
ブラムが全身から殺気を放つ。
「はっ、飼い慣らされた狼よりも野犬の群れのが強ぇだろうよ」
リュカもそれに応えるように冷たい気迫を負った。
ギラリと互いの剣先が光る。そこから先は、息つく間もなく剣を交えた。切っ先のぶつかり合う音がひたすらに響く。
リュカが敢えて大振りな太刀筋で誘い込み、それを避けたブラムを右から左から他の騎士達が襲いかかる。騎士達の武器は多くがリーチのある槍だ。四方八方からブラムを串刺しにしようと狙って来る。
リュカの剣を受けて力比べになれば、その隙を突いて槍が襲う。周りから片付けようにも、リュカの剣技を避けながらというのはかなり困難だ。
「御帰還をっつー割には、随分手加減がねぇな」
ブラムがニヤリと笑う。
後ろから来る槍を右に避ける。右からの槍を肘で押さえ込みながらリュカの剣を跳ね返し、同じく右側から来た別の槍をしゃがみ込んで避ける。後ろの騎士に蹴りを浴びせ、またすぐにやって来るリュカの剣を受け流した。
「お前を生きて連れ戻すのが俺たちの任務だ」
リュカが剣を握り込むように持ち替えて切っ先を正面に突き出す。それを咄嗟に受けたブラムの剣の真を捉え、鋭い金属音が響いた。まずいと気付いて逸らそうとするが、既に手遅れ。長剣はひび割れ、真っ二つに折れた。そのまま喉元を狙われ、ブラムは大きく後ろに飛び退いた。
「容赦なく急所ばっか狙いやがって、なにが生きて連れ戻すだ」
待ってましたとばかりに襲いかかってきた二本の槍を素手で受け止め投げ飛ばす。鎧を身につけた二人の騎士は鈍い音を立てて宙を舞った。それに怯む様子もなく、リュカの剣が畳み掛けるようにブラムに迫る。奪った槍で応戦し、一太刀、二太刀と避ける間に三人の騎士を蹴って殴って地面に沈めた。
「俺が、本当にお前に戻ってきてほしいと思うか?」
リュカの顔が歪む。文字通り、皮膚や骨格が大きく歪み、形を変えた。鼻先が伸びて、口が裂け、赤々とした歯茎と鋭い牙が覗く。いつの間にか髪が皮膚に同化して、顔や腕が毛むくじゃらになっていた。
グルル、という低い唸り声が四方からも聞こえる。何人かの騎士達もまたリュカと同じような形相に変化していた。
「いつからケルベロスはホンモノの犬集団になったんだ?」
ブラムは顔を引きつらせて言った。
驚いたのはブラムだけではないらしい。人間の姿のままの騎士達は皆青ざめ、腰を抜かす者も、悲鳴を上げる者までいる。同じケルベロス騎士団にいながらも、この事態を知らなかったのだろう。
「お前ら・・・“祝福”を受けたんだな?」
ブラムの問いに、リュカが肯定の意味の笑みを浮かべる。
「俺たちは“祝福”で絶対的な強さを手に入れた。今の俺はお前より強い。フェンリルよりも、俺たちケルベロスが上だ!」
リュカは高らかに笑った。姿を変えた騎士達も、それに同調するように遠吠えをする。
「“祝福”から逃げ出した腰抜けのお前とは違うんだよ!」
リュカの右手が脈打つように肥大化し、持っていた剣が取り込まれていく。
「好き好んで化け物に成り下がる奴の気が知れねぇな」
ブラムは舌打ちをした。
リュカの腕が振り下ろされる。その瞬間、ブラムの瞳は金色へと変わっていた。


***

夕食までには戻るーーーそう言ったブラムのために、ユアンは腕によりをかけて料理を作ることにした。好きに使って構わないと言う程にはリュカの家の食材は豊富なわけではなかったが、それでも創意工夫次第では如何様にも出来る。
ブラムが怪我せずに帰って来てくれることを祈りながら、ユアンは料理に打ち込んだ。連れて行ってもらえなかった以上はこうして大人しく待っているしかないのだ。
なんといっても、元近衛騎士団長が二人も揃い踏みしているのだ。どんな相手と戦うことになっても彼らはきっと大丈夫に違いない。そうやって自分に言い聞かせていた。

「ユアン、これはどうすんだ?」
リギィがすり鉢に入った木の実を抱えて尋ねる。
「こうやってすり潰して下さい。後でこっちに混ぜます」
「わかった!」
軽く手本を見せて説明すると、リギィは元気よく返事をしてからしゃがみ込んだ。慣れない手つきながらも、一生懸命手伝ってくれているのが有り難かった。
一人黙々と小麦粉を捏ねていると、どうにも良くない方に考えが運ぶのだ。単なるマイナス思考なのかもしれないが、嫌な予感にもやもやとしてしまう。
(やっぱり無理を言ってでも連れて行ってもらえば良かったのかな・・・)
ブラムのことが心配で、落ち着かない。何だか妙な胸騒ぎがするような、そんな気がする。

不意に玄関から音が聞こえた。
「あ、ブラム達が帰って来たんでしょうか?」
やはり単なる杞憂だったのだとホッとしながら、ユアンはリギィに声をかける。手を洗い、二人を出迎えようとしたところで、リギィがおかしな顔をした。
「なんか血の臭いがする」
「え・・・」
リギィの言葉に青ざめる。
リギィが勢い良く台所を飛び出してしまったので、ユアンも慌てて後を追った。
「リュカ!!」
リギィが叫ぶ。
二人が目の当たりにしたのは、血塗れのリュカだった。命からがら戻ってきたという様子で、荒い息をつきながら縋るように顔を上げた。
(ブラムは・・・?)
ユアンは咄嗟に辺りを見回す。けれどそこにいるのはリュカだけで、開けたままでいる扉の外にもブラムの姿はなさそうだ。
「じっとしていて下さい。すぐに治しますから」
動揺を抑え、リュカの傍らに膝をついて回復魔法を掛ける。
リュカの身体には刃物で切りつけられた痕が幾つもあった。浅い傷もあれば、骨が見えそうなほど深い傷もある。
「ヤバいんだ。早く行かねぇとブラムが・・・」
徐々に傷口が塞がっていく中、リュカが呻くような声で呟いた。
「敵にやられて、俺たちなんとか逃げようとして・・・はぐれちまって・・・。アイツも俺と変わらねぇくらい怪我してるんだ。早く見つけて手当てしてやらねぇと、このままじゃ・・・」
死ぬかもしれない。ガタガタと震えながら、ユアンの腕を掴んで懸命に訴えかける。
ユアンは真っ青になった。思わず魔法が弱まってしまったのに気づき、慌てて魔力を集中させた。
「ブラムを探しに行きたい。匂いを辿れるか?」
傷のほとんどが塞がると、リュカは立ち上がってリギィに言った。
「ユアンちゃんも、ブラムを見つけたらすぐに回復魔法を掛けてやれるように付いてきてくれ」
「分かりました」
「早く行こうぜ!」
ユアンもリギィも断るはずがない。途中になっている料理もそのままに、とにかくブラムを助けたい一心で飛び出した。
この時リュカが密かに見せた冷たい笑みになど気付くはずもない。



いつだったか攫われたユアンを探した時と同じように、リギィは小虎の姿になってブラムの匂いを探した。
初めに通った道筋はリュカも知っているはずだが、その通りに行けば敵と鉢合わせになる可能性があり危険だ。それに、互いを気にする余裕も無く散り散りになって逃げ出したため、ブラムがどの方向に逃げていたかも分からないのだという。
森の奥へ進むにつれて、たくさんの血の臭いが鼻につき、ブラムを探すのを邪魔する。もしかしたらその中にブラムの血の臭いも混ざっているのだろうかと一瞬浮かび、怖くなって首を振った。
リギィの後ろにリュカ、そしてその後ろをユアンが歩いている。二人ともリギィの邪魔になってはいけないという思いがあるのか無言のままだ。もしかしたらユアンの方は不安のあまり言葉を発する余裕すらないのかもしれない。


ブラムの無事を祈りながら歩くユアンの背後を、草陰から音もなく現れた男が狙った。息を潜め、気配も消してユアンの口を塞ぐ。声を出させる暇も与えず、ハンカチに含ませた薬品によって一瞬で眠らせた。ユアンの服の衣擦れの音も、倒れる音も立てさせないようにしながら、男はユアンを抱きかかえる。振り返ったリュカと目配せをしてから、ユアン諸共完全に姿を消すまで、僅か数十秒の間だ。
夢中で匂いを辿り先を行くリギィに気付かせるような隙は与えない。


どんどん濃くなる血の臭いにむせ返りそうになりながら、リギィは茂みの中へと進んだ。ブラムの匂いの方向に間違いは無い。だがすぐに行き止まりとなった。そこは崖の上だ。これ以上先に道はない。ブラムの匂いはぷっつりと途切れてしまった。
「あれ・・・ユアンは?」
ブラムの匂いが追えなくなってしまったことを伝えようと、リギィが人の姿に戻って振り返る。ついてきていたはずのユアンがいない。それに、リュカの表情がなんだか今までと違う気がする。
「お、おい、リュカ! ユアンがいないってば!」
リギィは焦り、リュカに駆け寄る。リュカは慌てる様子無く、ゆっくりと口角を上げた。
「ライオンってさ、自分の子を谷底に突き落とすって言うよな」
「え? いきなり何言って・・・」
リュカの突然の言葉に目を見開く。リュカの視線の冷たさに総毛立った。
一歩、二歩とリュカがリギィに近付いてくる。気圧されて後ずさると、崖がすぐ背後に迫っていた。
リギィがまさかと思ったのと同時に、リュカは笑った。
「小虎でもイケるんじゃねぇの?」
ドン、と力強く押される。咄嗟にリュカを掴もうとしたが、あと数センチ足りずに宙を掻いただけだった。
スローモーションになったようにゆっくりと、リギィは崖の下へと落ちて行く。
「俺の勝ちだ。ブラム」
リュカは高らかに笑った。


***


頭が酷く痛かった。強い力で押さえつけられているような、窮屈で鈍い痛みだ。
息をする度に体内に入ってくる薬草の匂い。それを嗅ぐと、途端にもやもやとした闇が自分の中に浸食してくるような心地になる。
これは今までにも何度も感じたことのある感覚。出来ることならば二度と感じたくなかった感覚。
あの人の元へ帰って来たのだという感覚。

「ねぇ、ユアン。私の可愛いユアン」
呼びかけられて、目を開ける。目の前には、鏡のように自分と同じ姿があった。真っ暗な空間の中、まるで浮かび上がるかのようにそれだけがハッキリと見える。
「やっと起きたのね、ユアン」
優しく微笑みかける、自分の顔。ただ一つ、声だけは顕著に違う。目の前の自分は女性らしい高い声をしている。
当たり前だ。目の前にいるのは自分じゃない。
「ロザリア・・・」
掠れた声で姉の名を呼ぶ。姿を分けた双子の姉、ロザリア。
「ヒドい子ね。どうしていなくなったりしたの? 」
ユアンの頬を両手で包み込むようにして顔を覗き込んでくる。銀色の双眸に映っているのは今度こそ自分の姿だ。
なんて表情をしてるんだろう。怯えきった子供のようじゃないか。
「ねぇ、ユアン」
聖女の呼び名に相応しい穏やかな声でロザリアが言う。だが刹那にそれは崩れていった。
「逃げられると思ったの? 許されると思ったの? こんな姿の私を置き去りにして」
ロザリアの指先に力が籠もるにつれ、ユアンと瓜二つであったはずの顔が歪み始める。陶器のようだった肌は熱に溶けた硝子のようにゆっくりと垂れていく。顔だけではない。指先も、体中の皮膚という皮膚がドロドロと溶けているのだ。粘着性のある泥に似た液体が、骨格にぶら下がるようにして人の形を為している。
「私のユアン。私と違って綺麗なユアン。逃がさない。逃がさない。逃がさない。逃がさない。逃がさない」
鬼気迫るロザリアの声が脳に直接語りかけてくる。
怖い。
そう感じた瞬間に、暗闇が晴れた。
見えるのは、先ほどまで歩いていた森の中の景色だ。
「お目覚めかい? ユアンちゃん」
「リュカ・・・さん」
声を掛けられ起き上がると、そこにはリュカと見知らぬ男達が立っていた。
「僕は・・・眠って・・・?」
未だ震えの止まらない手を握り締め、混乱している自分を落ち着かせようとする。そして気付いた。両手に手枷がはめられていることに。
「一体何のつもりですか? 」
リュカを睨み、問いかける。リュカはただニヤニヤと笑っている。
冷静さを取り戻すにつれ、思い出した。突然背後から誰かに襲われ、薬を嗅がされたのだ。
(油断・・・してた)
ユアンは悔いる。
リュカは敵だ。なぜ気付けなかったのか。
ブラムの友人だから。もう城を離れていると言っていたから。そんな上辺だけで信用をしてしまうなど、あまりにも浅はかだった。
「リギィはどこです? ブラムが怪我をしたというのは嘘ですか?」
矢継ぎ早に尋ねても、リュカは何も答えない。代わりに一人の男が近寄ってきた。長身で藍色のローブに身を包んでいるその男には覚えがあった。
「エルシム神祇官・・・? 」
城で、教会で、何度も顔を合わせた相手だ。あの晩・・・レイリアスの街が跡形もなく消し飛んだあの時にも、この男はいたはずだ。
(・・・ロザリア・・)
無意識に自分の頬に触れ、つい先程まで目の前にあったロザリアの姿を思い返す。
鼻につく薬草の匂いは、エルシムから香り立っているものだ。神祇を取り仕切る際に用いる抹香の匂いが染み付いているのか、それともユアンにロザリアの幻影を見せるために敢えてその匂いを纏ってきたのかは分からないが。
「お迎えが遅くなり、申し訳ありません。レイリアスの一件で、私も少々堪えましてね。魔力が回復するのに手間取りました。ロザリア様共々、ね」
エルシムは跪き、ユアンを覗き込むようにしながら言った。
彼の黒い瞳に見据えられると、背筋が冷たくなったような心地がする。これはこの男に初めて会った時からずっと変わらない。
「彼がフェンリルの近衛騎士団長殿を連れ帰る任を受けたというので、私も同行させていただいたんですよ。貴方と近衛騎士団長殿が行動を共にしているという情報は既に得ていましたからね」
リュカを示しながら、目を細めて僅かに頬笑む。
騎士団を辞めたというのはやはり方便だったということだ。初めからリュカはブラムを連れ戻すために近付いてきた。リギィが金を盗まれたところから既に罠だったのだ。
シスターハンナ以来、教会からの追っ手がなかったことに油断していた。よもやまさか、城と教会の双方を繋ぐ存在である神祇官自らが出向くなどとは考えもしなかった。
「ロザリア様には、貴方が何処にいようともすぐに居場所がお分かりになるのです。対なる双子たる所以ですね。実に素晴らしい」
エルシムが恍惚として語る。その言葉に、ユアンは指先を隠すようにして俯いた。手の震えが止まらない。どんなに離れていても、何処に逃げて隠れたとしても、必ずロザリアはユアンを見つける。それは確たる事実だ。決して逃げられはしない。
「ブラムは・・・」
息が詰まりそうになりながら、ユアンはなんとか声を発した。
「ブラムとリギィは何処ですか? 無事、なんですよね?」
顔を上げ、リュカに向かって問いかける。希望すら込めた問いだった。
リュカは首を横に振った。
「さぁ? ブラムも小虎ちゃんも、死んでるか生きてるか五分五分・・・いや、生きてる可能性は50パーもねぇかもな」
楽しげに笑う。
ユアンの頭は真っ白になった。瞬時に掌に魔力を込め、リュカに閃光を放つ。リュカの身体は吹き飛び、同時にユアンの手首にはめられていた枷は粉々になった。
「魔封じの枷を物ともしないとは。流石、ロザリア様の片割れでいらっしゃる」
エルシムが手を叩いて賞賛する。ユアンはエルシムを睨んだ。血が滲むほど強く握り締めた手に再び魔力を込める。
火花を纏うユアンの手を苦笑交じりに一瞥し、エルシムはまた目を細めて微笑んだ。
「私は貴方様と争う気はありません。それにご安心を。近衛騎士団長殿も獣人族の少年も生きています」
そう言って両手で円を描くようにかざす。するとエルシムの手の間に水が現れ、徐々に鏡のように形作られていった。
「ブラム! リギィ!」
水鏡に映ったものを見て、ユアンは思わず叫んだ。そこにはブラムとリギィの姿が映されていた。エルシムの言葉通り、二人とも確かに生きている。生きているが・・・
「こんな・・ひどい・・・」
一見して、無数の怪我を負っているのが分かる。リギィを背負って歩くブラムにいつもの力強さはまるでなく、歩いているのが不思議なくらいだ。深い傷痕からは歩く度に血が流れ、道筋が朱に染まっている。
(早く行かなきゃ・・・)
ユアンは焦る。このままではブラムは血を流しすぎて危険だ。リギィだって、辛うじて目を開けてはいるものの今にも気を失いそうだ。
「近衛騎士団長殿はお強いですね。たったお一人でケルベロス騎士団とやり合ったんですよ」
エルシムの漆黒の瞳がユアンを映す。
「多勢に無勢は勿論ですが、“彼ら”を相手にして生き長らえるとは、正直感心しています」
エルシムの言葉を受けるようにして、倒れていたリュカがゆっくりと起き上がった。上半身が獣の姿へ変わっている。
リュカは祝福を受けたのだろう。ロザリアとエルシムの手によって。
「彼らを助けに行きたいですか? ユアン様」
エルシムの不敵な笑みと共に、水鏡は閉じられた。


***

勢いのあるシャワーが、ドロドロに染み付いた汚れを流してくれる。熱めの湯は傷だらけであるはずの体に染みることもなくただ心地よい。
当然だ。傷など一つとして残っていない。
小さな擦り傷は勿論、槍で突かれたところも、剣で切りつけられたところも跡形無く消えている。
大量の血を失ったはずだが、貧血を感じることもない。
ユアンの回復魔法の効果はそれほどまでに絶大なのだ。
(ここまでくると、“治る”っつーより“戻る”っつー感じだな)
肉を抉られて肋骨が見えかけていた脇腹を擦る。
傷の名残の無い体は、回復したというよりも再生したという方が相応しいように思えた。
人の身体を元通りに再生する。破れた皮膚も、抉れた肉も、折れた骨も、流れ出た血さえも。回復魔法とは、一体どれ程の怪我までなら戻すことができるのだろうか。
ブラムは下だけ衣服を身につけると、タオルを頭に被せて風呂場を出た。
ガシガシと乱雑に髪を拭きながら部屋に戻ると、ベッドに腰掛けたユアンが小虎姿のリギィを膝に乗せていた。
崖から落ちた時、リギィは咄嗟の判断で虎の姿となって着地したらしい。とはいえ無理な高さであったことは明らかで、ブラムが見つけた時のリギィは、立ち上がる事は勿論、這って動く事すら出来ない有様だった。恐らく、両手両足の骨が粉々になっていたのだろう。
今はただユアンの膝の上で、撫でられる度に幸せそうに手足をピクピクと動かしている。幸せそうで何よりだ。
「怪我治ったクセにいつまでもユアンに擦りついてじゃねーよ」
ブラムがリギィの尻尾を乱暴に掴んで放り投げる。
「べ、別に、ユアンの太股にスリスリしてたわけじゃねぇし!」
リギィは起き上がるのと同時に人間の姿に戻り、真っ赤になって反論した。いや、反論というより白状か。
「忠犬の俺を差し置いてユアンの太股独り占めかぁ~? 随分いい度胸だなぁ、おい」
「ひょんなほほひへふぁいっへふぁ~」
リギィの頬を思い切り引っ張る。弾力があるのでゴムのようによく伸びた。面白い顔だ。
「僕がリギィにブラッシングしてあげるって言ったんですよ」
ユアンはリギィの変顔に笑いながらブラムを宥めた。確かに手には猫の毛・・・基、虎の毛のたくさん付いた櫛を持っている。
「すっげー気持ちよかった! ありがと、ユアン」
「どういたしまして」
ゴロゴロと喉を鳴らさんばかりに満面の笑みのリギィを、ユアンが優しく撫でてやる。リギィの尻尾はその喜びを表すようにパタパタと世話しなく動いている。
飼い主と愛猫のような構図に、ブラムは妙な焦りを感じた。
「んだよ、猫科贔屓かー?」
子供のように拗ねて見せる。二人の間に割って入るようにしてユアンを抱き寄せ、肩に顎を乗せた。
「ブラムも、早く服着ないと風邪引いちゃいますよ?」
ブラムの大人げなさに苦笑しながら、頭に被せたままのタオルで髪を拭いてくれる。自分とはまるで違うユアンの優しい手つきが心地いい。頭を撫でて貰っている気分だ。
「お前も風呂行ってくれば? 疲れてるだろ」
暫くされるがままに拭いて貰った後で、今度はブラムがユアンの髪を撫でた。
回復魔法を掛け続けた所為なのか、ユアンの表情はどこか疲弊しているようにも見える。
魔法を使えないブラムにはよく分からないが、怪我の度合いによって魔力を多く使ったりするのだろうか。だとしたら、またユアンに負担を掛けてしまったということだ。ユアンを守るのがブラムの役目だというのに、これでは逆だ。
「大丈夫ですよ」
ブラムの思いを汲み取ったのか、ユアンはふわりと微笑んだ。
「じゃあ僕はお風呂に入ってきますから、出て来るまでにちゃんと服着てないとダメですよ」
両手でブラムの頬を包み込むようにして、真っ直ぐに視線を合わせる。まるで小さい子供に言い聞かせるようだ。
(なんか・・・妙に甘やかしてくれるよな)
ユアンの背中を見送りながら、ブラムは首を捻った。
ユアンはリギィに対してもブラムに対しても・・・というか基本的に誰に対しても優しい。だが今日のユアンは特に甘い。いつもに比べ、自分から積極的にリギィやブラムに触れて来ているような気もする。
(やっぱ、何かあったんだよな・・・)
ブラムはタオルを握り締めて思案する。
ブラムともリギィとも離れている間のことはユアンからまだ何も聞いていない。
リュカがブラムを襲ったことは単なる私怨だろうが、その後でリギィとユアンを連れ出したのは別に理由があるはずだ。
リギィを崖下に突き落としたのは、リギィを殺すためというよりはユアンから遠ざけておくためだろう。そして、ブラムがリギィを見付けるところまで見越していたに違いない。
自らも負傷した身体で、動けない状態のリギィを抱えていれば、如何にブラムといえどユアンを助けに行くことが不可能だからだ。
恐らく、本当の狙いはユアンだったのだろう。
(“祝福”・・・)
獣と化したケルベロス騎士団を思い返す。“祝福”を受けさせたのは、あの男に違いない。美しい聖母画の飾られた廊下の先、禍々しい魔方陣で埋め尽くされたあの部屋の主。大司教ロザリアと地位を同じくする男。
リングファット城の神祇官エルシム。
(畜生、十分有り得る話じゃねぇか・・・)
考え過ぎだ、こじつけだと片付けてしまいたいが、そう考えれば上手く繋がる。大司教ロザリアの身代わりであるユアンを欲しているのは教会だけではないのだ。
エルシムがリュカを使ってユアンを教会に連れ戻そうとしたのだとしたら・・・。
やって来た敵はリュカだけだと、そう侮ったブラムが浅はかだった。
(ユアン・・・俺たちと離れてる間、お前に何があったんだ・・?)
瀕死状態だったブラムとリギィの元へやって来たユアンは、ただただ真っ青な顔をしていた。泣きそうな顔で回復魔法をかけてくれるその姿を見ながら、ブラムはユアンが怪我一つしてない事に安堵した。
だが、よくよく考えればそれこそが不自然なのではないのか。
リギィの話では、ユアンはいつの間にか消えていたという。攫われたのか、自らの足で何処かへ行っていたのかは分からない。
ユアンに怪我を治して貰ってからは、3人はリュカの家へ戻った。ケルベロス騎士団が待ち構えているかと思ったが、そこはもぬけの殻でつい先ほどまで人が暮らしていたとは思えない程に気配が消えていた。
リュカの荷物も、作りかけだった料理もない。あったのは三人の荷物と、リュカが盗んで使い込んだはずのブラム達の金だった。
(俺を生かしたまま見逃して、しかも御親切にも金まで返してくれてって・・・明らかにおかしいだろ)
ブラムは苛立ちに任せてタオルを放り投げた。
「なにすんだよー! 早く着ろよ、ユアンに言われただろ」
タオルが顔面にクリーンヒットしたらしいリギィがお返しとばかりにブラムの服を投げつける。大怪我で死にかけていたと思えないほど元気だ。そして脳天気だ。
「うっせーな。考え事してんだよ。ついでに煙草も取れ、ムッツリ小虎」
素直に服を着つつも、尊大に言い放ってリギィの顔を蹴飛ばす。
「むっつり!? だれがだよ!!」
リギィはブラムの言葉に真っ赤になった。
「ユアンの太股にスリスリべたべたして涎垂らして喜んでただろーが、エロ小虎」
「ちげーし!! そんなことしてねーもん!! よだれなんか垂らしてねーし! そんなにスリスリもしてねーし!! ただ膝枕でブラッシングして貰っただけだもん!!」
わざと誇張して指摘すると、リギィはジタバタしながら猛反論する。
(こういう、いつも通りな感じでいられりゃあいいんだけどな)
ブラムは密かに溜息を漏らした。


***

夜が更けても、ブラムは眠らずにいた。
ベッドで横になってはいるが、目を閉じることもせずに目の前の壁を見ていた。そしてぼんやりと考える。これからのことを。
床で転げているらしいリギィの鼾以外は、比較的静かな夜だった。
「ブラム」
か細い声が呼ぶ。ユアンも起きていたらしい。
「・・・もう、寝てますか?」
「起きてるよ」
少し躊躇いがちに尋ねられ、ブラムは寝返りをうってユアンの方を向く。ユアンはベッドから身体を起こしてこちらを見ていた。
「あの・・・そっちに行っても、いいですか?」
「・・・あぁ」
ブラムが短く答えると、ユアンはホッとしたような顔になった。いつもは専らブラムがユアンのベッドに忍び込むため、ユアンからこんな申し出をしてくるのは初めてのことだ。
暗い部屋の中でも、窓からの月明かりに照らされたユアンの銀色の髪は輝いて見える。綺麗だ、と無意識に思った。あまりに綺麗で、そのまま儚く消えてしまうような気がした。
勿論そんなはずはなく、ユアンの体温はすぐ傍にやって来たのだが。
「これはいらねぇかな」
ユアンが抱えてきた枕を奪い、壁側へ放る。そして不思議そうにしているユアンに悪戯めかして言った。
「ユアンの枕はここにあんだろ。抱き枕も兼務してるぜ?」
ユアンを抱き寄せ、横になる。そのまま腕枕をしてやると、ユアンは擽ったそうに微笑んだ。
「腕、痺れちゃいますよ?」
「全然ヘーキ」
互いの息がかかるほどの距離で、内緒話をするように囁き合う。
いつもなら、このまま甘いキスをする。恥ずかしがるユアンにじゃれるようなキスをして、それから段々と唇の触れあう時間を長くして、深い口づけに変えていく。
けれど今は、ブラムにはそれが出来なかった。言いようのない不安がブラムを迷わせる。今ユアンにキスをしたら、そのまま力尽くにでも全てを奪ってしまいそうだ。
「ブラムの匂い・・・」
ユアンがブラムの胸元に顔を埋め、かみ締めるように呟いた。
「煙草臭い?」
柔らかい銀髪を撫で、冗談めかして尋ねる。
「少しだけ」
ユアンはくすくすと笑った。
「でも、すごく好きなんです。ブラムの匂い」
そう言って目を閉じる。長い睫毛が微かに震えている。
「こうしてると・・・安心する」
ユアンの吐息と共に発せられる声。ブラムに全てを委ねて甘えているようで、何故か切なそうにも見える。
ブラムは何も言わず、ただユアンを抱き締めた。ユアンの呼吸に合わせるようにゆっくりとその髪を撫でる。
暫し沈黙が続き、不意にユアンの身体が小さく震えていることに気付いた。ユアンは泣いていた。
「ずっと、ブラムとこうしていられたら良いのに」
声を詰まらせながら、ただ一つの望みを口にする。泣いているのは、それが叶わない望みだからだ。
「・・・教会に、戻るのか?」
ブラムは静かな声で問う。
それがブラム達と離れていた間に出したユアンの結論なのか、と。
ユアンは頷いた。
銀色の瞳から大粒の涙が幾度となく流れ、ブラムの腕に零れる。
「・・・ごめ・・なさい・・・」
「謝るなよ」
ユアンの消え去りそうな声に、ブラムは首を振った。
怯えた表情、震える声、止まらない涙。教会に戻ることが、ユアンにとってどれ程辛い決断なのかが否応なしに伝わってくる。
ユアンを守り切れなかった不甲斐ない自分に、どうしようもない苛立ちを覚えた。
抱き締めていたユアンの身体を離し、涙に濡れた頬に触れる。手のひらで拭った後、今度は目尻に口づけて流れてくる涙を啄んだ。
ユアンはされるがままに瞳を閉じている。
目尻から涙の線に沿ってこめかみまで舌を這わせながら、ゆっくりとユアンに覆い被さるような体勢になった。
こめかみから耳にかけて何度もキスを落とし、首筋を鼻先で擽る。そして軽く歯を立てた。
「ブラム・・・?」
ユアンが痛みに身を捩る。
薄く歯形の残ったその箇所を舌でなぞり、痕を重ねるように吸い付いてからブラムはようやく顔を上げた。
「何処にも行けねぇように、滅茶苦茶に抱き壊してやりたい」
狂気にも似た感情を押し殺して、泣きそうなほどの切なさを噛み殺して呟く。
ユアンの瞳から、また一つ大きな涙が零れた。
「・・・壊して」
頷きながら、ブラムの頬に手を添える。
泣いている癖に微笑んで、ブラムの名を呼んだ。
「ブラム」
そして、懇願する。
「抱いてください」
「ユアン・・・」
ブラムはユアンに口付けた。貪るように激しく、乱暴なキスだった。



ユアンがブラム達の元を離れたのは、翌朝のことだった。
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