騙し々、幸せの量子力学

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染み込む低温

悲哀のワルツと不協和音の夏。

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 夏樹が忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい。忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい忌々しい。
 苛つく。貧乏揺すりを我慢する。
 けーちゃんが居なくなって、私達は深く悲しんでいる。泣いてしまうほどに。当たり前だ、友達が行方不明になったら心配で心配でたまらないだろう。悲哀の感情に支配されるだろう。涙が自然と流れるだろう。だけどあいつは違った。けーちゃんが居なくなって、一番悲しむはずの、いや一番悲しまなくてはいけないはずの夏樹が、涙の一つも流していない。あいつはけーちゃんのことなどなにも思っていないのだろうか。きっとそうだ。何一つ自分の人生には関係ないと白を切っている態度だった。あいつはいつもそうだ。スカしてて。むかつく奴。けーちゃんの恋心だって知らん振りして蔑ろにしていた。いつも仲が良い二人だったからこそ何も言わなかったが、あいつはもう駄目だ、人としてのモラルが死んでいる。何を持って人間とするんだあんなやつ。死んでしまえ。私が殺してやっても良い。畜生。ゴミクズの掃き溜めみたいなやつの為に何故こんなに苛つかなければならない。畜生。
 悲しみの矛が怒りの矛に変わり、対象も夏樹へと変わる。あいつは今日、教室を抜け出した。サボっているのだろう。あんなやつ、けーちゃんのことを前にしてサボってるようなやつはクラスに要らない。
 憎しみが加速していく。望月楓の中に、憎悪の嵐が渦巻いている。ドロドロして、肉色で、腐った腐臭を放つ汚い感情。全てを溶かしてしまうほどの酸が楓の心を溶かしドロドロにしていく。それを自覚しながら楓は一つの案を考える。
 今日の一件で夏樹のクラス内での評判は悪くなったはず。なら、夏樹を皆で少し弄ってやるくらいなら、賛成が多いかもしれない。そうだ、ちょっとした悪戯をしてやろう。天罰だし、私達の鬱憤を晴らす事もできる。後々、けーちゃんのためにもなるし、けーちゃんもそれを望んでるはず。そうだ、やってやろう。
楓は、休み時間。いつものグループ内で、不敵な笑みを浮かべた。
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