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消えたニコライ
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「少しここで待ってろ!動くんじゃないぞ、いいな?」
広場の噴水まで来たところでぐるりと周りを見渡したニコライは、そう言うとどこかへ消えて行った。
前にもあったようなシチュエーションだ。
「何でライが機嫌悪いんだよ」
ニコライからしたら「それはこちらの台詞」である。
しかし歩き疲れていたフィオラは、丁度いいとばかりに大人しく噴水のへりに腰を掛けた。
「レイ、さっき私のこと笑ってただろ」
『何のことですか?気の所為でしょう』
飄々とした表情で隣に佇むレイをひと睨みして、フィオラは息を吐いた。
「お城も人が多かったけど……ここも多いな」
『そりゃ、お祭りですからね』
フィオラは人ごみに慣れていない。今日一日で、いきなり大勢の人たちに触れたことで想像以上に疲れていた。
ぼーっ、と人の流れを見るともなしに見ていると、通り過ぎる人たちに逆に見られていることに気付いた。
それはもう、吟味されているような、あまり気分が良いとはいえない視線。
「何だよ、人のことをジロジロと見やがって……」
『フィオラ。それは、あなたが周りをジロジロ見ているからですよ。凄い棚の上げようですね……』
「ジロジロなんて見てないだろ」
フィオラは、むっとして口を尖らせた。 ジロジロは見ていない。ぼーっ、としていただけ。
その時、人が近付いて来る気配がした。 ニコライだと思い、フィオラは慌てて口を閉じて振り返る。
「お嬢さん、お隣いいですか?」
「えっ、誰?」
違った。
フィオラに声を掛けて来たのは、白いシャツにチノパンといういたって普通の装いの男だった。
胸ポケットに挿してある白い花はお洒落のつもりなのだろうがこの装いには不釣り合いで、妙に浮いている。
「ちょっと待て!俺が先に声を掛けようとしたんだぞ?!」
「さっき、ヤリモクの男をふってたのを見てたよ。それ正解。俺にしときな」
まるでチノパン男が合図だったかのように、次々と知らない男が声を掛けて来る。
フィオラが口を開く暇もなく、気付けばフィオラの周りの人口密度は高まっていた。
「えっ、えっ?」
何が起きているのだろう。 色々と話し掛けられているのだか、あまりに突然のことで頭の中の情報処理が追い付かない。
フィオラは目を回していた。
『フィオラ、モテモテですねぇ~』
「な、何なんだよ、こいつらは……」
最終的に三人の男たちが、フィオラをそっちのけで言い争いを始めている。
レイはフィオラを横目で一瞥すると、訳知り顔でふんふんと頷いた。
『これは……きっと、あれですね……』
「あれって、何だよ?知ってるなら、もったいぶってないで早く言えよ」
『フィオラにハナがないからですね』
「……ぶっ飛ばすぞ」
フィオラに華がない。
そんなことは端から知っている。そんなフィオラになぜ人が寄って来るのかが知りたいのだ。
「じゃあ、お嬢さんは俺とダンスを踊るってことで!」
「ふざっけんな!俺が先に声を掛けたんだぞ?!」
ぶつぶつと独り言を言うフィオラのことは気にならないらしく、一番チャラそうな男がフィオラの手を取ろうとするのをチノパン男が制して胸ぐらを掴んだ。そこへ第三の男が割って入る。
「お二人はお馬鹿さんですか。誰が先に声を掛けたかなんて関係ありませんよ。お嬢さんが決める事です。素敵なお嬢さんには、それなりの男でないといけませんよね?」
比較的紳士っぽい三人目の男が二人を引き離してフィオラに微笑みかけた。 殴り合いに発展しなかったのは良かったが、自分が選ばれると疑いもしないのか図々しくも手を差し伸べて来る。 どうやらこの男たちはフィオラとダンスを踊りたいがために騒いでいるらしい。
「いや、ダンスって……無理だろ」
広場の噴水まで来たところでぐるりと周りを見渡したニコライは、そう言うとどこかへ消えて行った。
前にもあったようなシチュエーションだ。
「何でライが機嫌悪いんだよ」
ニコライからしたら「それはこちらの台詞」である。
しかし歩き疲れていたフィオラは、丁度いいとばかりに大人しく噴水のへりに腰を掛けた。
「レイ、さっき私のこと笑ってただろ」
『何のことですか?気の所為でしょう』
飄々とした表情で隣に佇むレイをひと睨みして、フィオラは息を吐いた。
「お城も人が多かったけど……ここも多いな」
『そりゃ、お祭りですからね』
フィオラは人ごみに慣れていない。今日一日で、いきなり大勢の人たちに触れたことで想像以上に疲れていた。
ぼーっ、と人の流れを見るともなしに見ていると、通り過ぎる人たちに逆に見られていることに気付いた。
それはもう、吟味されているような、あまり気分が良いとはいえない視線。
「何だよ、人のことをジロジロと見やがって……」
『フィオラ。それは、あなたが周りをジロジロ見ているからですよ。凄い棚の上げようですね……』
「ジロジロなんて見てないだろ」
フィオラは、むっとして口を尖らせた。 ジロジロは見ていない。ぼーっ、としていただけ。
その時、人が近付いて来る気配がした。 ニコライだと思い、フィオラは慌てて口を閉じて振り返る。
「お嬢さん、お隣いいですか?」
「えっ、誰?」
違った。
フィオラに声を掛けて来たのは、白いシャツにチノパンといういたって普通の装いの男だった。
胸ポケットに挿してある白い花はお洒落のつもりなのだろうがこの装いには不釣り合いで、妙に浮いている。
「ちょっと待て!俺が先に声を掛けようとしたんだぞ?!」
「さっき、ヤリモクの男をふってたのを見てたよ。それ正解。俺にしときな」
まるでチノパン男が合図だったかのように、次々と知らない男が声を掛けて来る。
フィオラが口を開く暇もなく、気付けばフィオラの周りの人口密度は高まっていた。
「えっ、えっ?」
何が起きているのだろう。 色々と話し掛けられているのだか、あまりに突然のことで頭の中の情報処理が追い付かない。
フィオラは目を回していた。
『フィオラ、モテモテですねぇ~』
「な、何なんだよ、こいつらは……」
最終的に三人の男たちが、フィオラをそっちのけで言い争いを始めている。
レイはフィオラを横目で一瞥すると、訳知り顔でふんふんと頷いた。
『これは……きっと、あれですね……』
「あれって、何だよ?知ってるなら、もったいぶってないで早く言えよ」
『フィオラにハナがないからですね』
「……ぶっ飛ばすぞ」
フィオラに華がない。
そんなことは端から知っている。そんなフィオラになぜ人が寄って来るのかが知りたいのだ。
「じゃあ、お嬢さんは俺とダンスを踊るってことで!」
「ふざっけんな!俺が先に声を掛けたんだぞ?!」
ぶつぶつと独り言を言うフィオラのことは気にならないらしく、一番チャラそうな男がフィオラの手を取ろうとするのをチノパン男が制して胸ぐらを掴んだ。そこへ第三の男が割って入る。
「お二人はお馬鹿さんですか。誰が先に声を掛けたかなんて関係ありませんよ。お嬢さんが決める事です。素敵なお嬢さんには、それなりの男でないといけませんよね?」
比較的紳士っぽい三人目の男が二人を引き離してフィオラに微笑みかけた。 殴り合いに発展しなかったのは良かったが、自分が選ばれると疑いもしないのか図々しくも手を差し伸べて来る。 どうやらこの男たちはフィオラとダンスを踊りたいがために騒いでいるらしい。
「いや、ダンスって……無理だろ」
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