奴隷落ちを免れた令嬢は生きるために奮闘する。~いつかまた、アネモネの咲く丘で会いましょう〜

珠音

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髪飾り

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「それが良いのか?」 

「え?」 

 フィオラは顔を上げた。 
 いつの間にか側に戻って来ていたニコライがフィオラの視線の先にあった髪飾りを手に取っている。 
 白いふわふわの羽根をまとめて丸めたような髪飾り。何となくミーシャの髪飾りっぽいなぁと思って見てはいたけど、別に欲しいわけではなかった。 

「じゃ、これも一緒で」 

「えっ、いいよ、別に……」 

 ニコライは手揉みをしている店主にお金を渡し、遠慮するフィオラの頭に髪飾りをつけた。 

「ぁ、ありがと……」 

 フィオラは照れながらも手を伸ばして髪飾りを確認する。ふわふわしていて手触りが気持ちいい。 
 そんなフィオラの様子にニコライも満足そうに微笑む。 

「せっかくだから……丘にも行ってみるか。まだ明るいから空いてるだろうし」 

 宝飾店を出ると、ニコライはそう言って歩き出した。 

「えっ、まだ歩くの?」 

 すっかり帰る気でいたフィオラは、がっかりしつつも、さっさと先を行くニコライの後を追う。
 ニコライの隣に並び、彼の顔を伺うように見上げた。ニコライは何故か緊張した面持ちで前を見据えている。
 フィオラは不思議に思いながらも同じように無言のまま歩いた。 
 無言のまましばらく歩くと目的地らしい丘が見えて来た。
 しかし、空いてるだろうと言っていた割には人が多い。 丘というだけあって見晴らしの良さそうな小山。整備されているのか芝生になっていて寝転んだら気持ち良さそうだ。 

 しかし…… 

「人、多くないか?」 

 決して小さな丘ではないのに、どこを見ても人がいた。それもカップルで。どちらにしても、これでは寝転べない。 

「まあ、祭りだからな。これでも夜に比べたら少ないぞ」 

「祭りだと丘に上るのか?」 

「ん、まあ……詳しくはミーシャにでも聞いてくれ」 

 何故かニコライは不機嫌そうにそっぽを向いた。 

「またミーシャか!」 

 ミーシャに聞くことが増えたじゃないか。と、ぶつくさ言いながらも、折角ここまで来たのなら頂上まで行かない手はない。そもそもどこが頂上かもよく分からないが、フィオラはせっせと一番高くなっている所まで上った。 

「へー。見晴らし良いじゃん」 

 振り返れば、街が一望できるくらいには見晴らしは良かった。 

『ほほう。今はこの丘が「約束の丘」なのですね』 

 隣で感慨深そうにレイが言う。 

「約束の丘って、何?」 

『約束をする丘です』 

 そんなことは理解出来る。聞いているのは、その内容だ。 
 フィオラは、ぷーっ、と頬を膨らませた。 

『そうですか……』 

 そんなフィオラを気にすることなく、レイは遠い目をして何やら呟く。 
 レイの懐かしそうな物を見る視線を辿ると、その先には王城があった。 








    
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