紅龍  RED DRAGON

紋目

文字の大きさ
10 / 11

10

しおりを挟む
 ゲイルはそう言うと、ファウン達に向かって炎を吐く。
 ファウンはレヴィとルナをかばう様に伏せる。
「ティール!」
 ティールが炎に包まれていく。
「ティールが、ティールが……」
 ルナはファウンの服を強く掴む。
「すまない……おまえ達も助けてやれねぇかも知れねぇ……」
 だが、炎はいつまで立っても、他に燃え移る様子が無い。
 炎の勢いが無くなり、そして消えた。
「ファウンあれ……」
 レヴィが、ファウンの後ろを指差す。
 振り向くとティールが背中を向けて、そこに立っていた。
「そんな炎で私は殺せない」
 ティールの赤い髪が、燃えるように逆立ち始め。
 そして、真っ赤なの姿へと変わった。
 ティールはを間を開けずに、間抜けな顔でティールを見ているゲイルに炎を吐き掛け。ゲイルの翼と肩を焼いた。
 ゲイルは人の姿に戻り、気を失っているらしく息はしているようだがピクリとも動かない。
「「ゲイル様!!」」
 素っ裸の情けない格好で二人の男達に担がれる ように、森の中へと消えて行った。
 ディールは振り向くと、長い首をそっと下ろしファウンの視線に合わせる。
「ティールお前……」
 ファウン達は呆然とした様子で、ティールを見ている。
「怖くて言えなかった……。その傷では歩いて戻れそうに無いな、みんな私の背中に乗って」
  三人が背中に乗ると、大きな翼を広げ静かに飛び立つ。

 その屋敷には、レヴィの父親ガネッシュと、その客らしい白髪の老人が着いていた。
  黒いローブの袖から出ている褐色の手は細く萎びれ。
 老人は白いを顎髭を触りながら北の森を見ている。
「ガネッシュ殿、どうやらわしの捜し人はもう見付けてしまったようじゃ」
 懐かしそうに目を細め、こちらに向かって飛んでくる真っ赤な龍を見上げている。
 「ガードナー様あれは紅龍ですか?」
 ガネッシュは驚いた顔をさせ空を見上げている。
 紅龍はガードナー老人の前に、静かに足を下ろした。
「おじいちゃん!? どうしてここに?」
 紅龍の姿のまま、ティールは驚いた顔でガードナーを見ている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

義弟の婚約者が私の婚約者の番でした

五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」 金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。 自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。 視界の先には 私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...