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喜楽 0 双子の再会
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男を掴んだまま、アサギをその場に残し、昂は星々が輝く夜空の中へ消える。
「じゃっ、帰りますか」
大きく息をつくと、アサギは家の方に向かって歩き始めた。
「じいさん、帰ったぜ」
昴が帰り台所に入ったとき、龍鬼は落ち着き無く部屋の中を、うろうろと歩き回っていた。
龍鬼は昂の側まで近寄ると、手に持っていた小刀で、縛られている男の右手を少し傷つけ、血を器に入れる。
「昴、すまんが指の止血をしておいてくれ」
そそくさと、龍鬼は部屋を出ていこうとする。
「じいさん、こいつもう用済みだろ! 何で止血なんかしなきゃなんないんだよ!」
腹を立てる昂の方を、龍鬼が睨み付けるように振り向く。
「だめじゃ、わしらに用が無くとも狙われた本人が、そ奴に用があるらしい」
龍鬼はそれだけを言うと、部屋を出て行ってし まった。
昴は舌打ちをすると男を床に座らせ、指の手当をする。
手当が終わると、座らせた状態のまま男を柱括り付けた。昴は乱暴に椅子を引き腰掛けると、背凭れに肘を乗せ頬杖を付き男を見下ろす。
黙ったまま近付いてきた九を昴は何も言わずに膝に伸せると、九は眠そうに目を擦り始めた。
「昂兄、ただいま」
部屋に入って来たアサギが、訝しげに男を見下ろし昴の方を見た。
「じいさんが、ダメなんだとさ、すまねぇけど九を寝かせてきてくれ」
昂から九を受け取り抱えると、九はアサギの首にしがみつく。
「そんじゃ、ちょっと寝かせてくる。昂兄、俺の上着いつまで噛ませとくんだ? いい加減変えてくれよ……亅
アサギが九を抱き直すと部屋を出て行くと、昂は面倒臭そうに立ち上がり、どこからか手拭いを持ってきて噛ませ直す。
「居心地悪いけど、我慢してくれよ」
昴はしゃがむと笑いながら、男の顔を真っ正面から見る。
立ち上がると又椅子に座り直した。捕まえた時からそうだが、男の表情が変わる様子はない、殆ど反応がないのだ。溜息を付くと昂は、窓から見える夜空を見上げた。
「じゃっ、帰りますか」
大きく息をつくと、アサギは家の方に向かって歩き始めた。
「じいさん、帰ったぜ」
昴が帰り台所に入ったとき、龍鬼は落ち着き無く部屋の中を、うろうろと歩き回っていた。
龍鬼は昂の側まで近寄ると、手に持っていた小刀で、縛られている男の右手を少し傷つけ、血を器に入れる。
「昴、すまんが指の止血をしておいてくれ」
そそくさと、龍鬼は部屋を出ていこうとする。
「じいさん、こいつもう用済みだろ! 何で止血なんかしなきゃなんないんだよ!」
腹を立てる昂の方を、龍鬼が睨み付けるように振り向く。
「だめじゃ、わしらに用が無くとも狙われた本人が、そ奴に用があるらしい」
龍鬼はそれだけを言うと、部屋を出て行ってし まった。
昴は舌打ちをすると男を床に座らせ、指の手当をする。
手当が終わると、座らせた状態のまま男を柱括り付けた。昴は乱暴に椅子を引き腰掛けると、背凭れに肘を乗せ頬杖を付き男を見下ろす。
黙ったまま近付いてきた九を昴は何も言わずに膝に伸せると、九は眠そうに目を擦り始めた。
「昂兄、ただいま」
部屋に入って来たアサギが、訝しげに男を見下ろし昴の方を見た。
「じいさんが、ダメなんだとさ、すまねぇけど九を寝かせてきてくれ」
昂から九を受け取り抱えると、九はアサギの首にしがみつく。
「そんじゃ、ちょっと寝かせてくる。昂兄、俺の上着いつまで噛ませとくんだ? いい加減変えてくれよ……亅
アサギが九を抱き直すと部屋を出て行くと、昂は面倒臭そうに立ち上がり、どこからか手拭いを持ってきて噛ませ直す。
「居心地悪いけど、我慢してくれよ」
昴はしゃがむと笑いながら、男の顔を真っ正面から見る。
立ち上がると又椅子に座り直した。捕まえた時からそうだが、男の表情が変わる様子はない、殆ど反応がないのだ。溜息を付くと昂は、窓から見える夜空を見上げた。
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