まさかのヒロイン!? 本当に私でいいんですか?

つつ

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Ⅺ 青い鳥はすぐそこに

159. 懐かしくて懐かしい日々?

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 村はずれの森には所々霜が降り、冬の名残りを残していた。
 帰ってきてすぐ耕し始めた家の裏の畑もまだまだ固く、冷たく、使えそうになかった。しばらくは領主様のところでもらったり村で買ったりした保存食でやり過ごすしかないだろう――などと考えながらドアを開け、換気をする。それから。

「ひゃっ、冷たっ」

 戸口近くに汲み置きしていた水で顔を洗うと、凍りそうなほど冷たかった。
 半分寝ぼけている自分が悪いとはいえ、心臓に悪い。もうすぐ春なんだから、そろそろこんな冷たくなくてもいいでしょ、とくだらない悪態をついた。


 今回の、入れ替わりにまつわる事件の顛末は、奥様からの手紙で知らされた。

 まず、リングドル王国の国民には、伯爵家の令嬢と現当主の弟が、己が欲のために神を冒涜し、他者を害した、と公表された。ただし、詳しい罪状は明かされていない。

 それから、二人には重い刑罰が下された。
 メリッサさんに命じられたのは指定修道院での奉仕。犯罪者を隔離し、労働に従事させるための修道院で、生涯出ることは叶わない。
 また叔父のウィガーラには、北部の永続開拓が命じられた。凍てつく大地を耕し続ける上に自給自足という二重苦だ。
 いずれも更生は視野に入れられていなかった。二人は命ある限り、働き続けることになるという。

 また、今回の件は家の不祥事とも見なされ、ドビオン伯爵家自体にも厳罰が下された。領地は没収。加えて多額の賠償金が請求されている。
 ただ、爵位は男爵にまで落ちるものの、ドビオン家という家名はそのまま残されることになった。

 気になるベイル様の婚約については、アディーラ公爵がその日のうちに破棄したそうだ。
 これに関しては事情が事情だけに、同情はあれども非難する人はおらず、表面上は問題になっていない。それが一番の心配だったのでほっとした。

 それから驚いたことに、国外追放した(ことになっている)マリについても、国に戻ってきても捕えることはないとの宣言がなされたという。
 奥様や侯爵様からは、今回の裁判では私のことには触れられないだろうと言われていたので驚きだった。何でもセーファス様自らが進言し、そう宣言することになったのだという。
 驚愕だ。我を忘れるほど怒り狂っていたのにと思うと、とても信じられなかった。



「さて。まだ播種はできないよね。今日も神秘の修理かな」

 畑のチェックを終え、家の中へと戻った。
 室内は、神秘の器具によって部屋の半分近くが占領されている。このほとんどが修理待ちのものだ。いずれもご領主様から依頼されたものだった。

 リングドル王国からの帰り道、私はご領主様のお屋敷に立ち寄った。
 冬の寒さが厳しい時期だったこともあり、ご領主様のご厚意でしばらく滞在させてもらうことになったのだけれど。
 ただでお世話になるのは心苦しい。ということで、神秘の器具の修理を申し出た。初めのうちはよかった。一個、二個と順調に修理を終える。けれど、「ぼっちゃま」は一体どれほどばら撒いたのか。直しても直しても終わりは見えなかった。

 ご領主様いわく修理に手が回らず、手つかずのまま、しまいこんでしまっていたからだそうだ。
 絶対に違うと思う。これは絶対に、総数の問題だと思う。
 とはいえ、フェーニランド領のあるこの国は小国で、修理技師の数が少ないのは確かだった。加えて一つの修理にかなりの時間がかかるのが普通であるから、手をつけられなかったというのも理解できる。

 春が近づき、村に帰ることを決めたあとも、これをこのまま残してはいけないと思った。ご領主様も同じ考えだったのだろう。私に、すべての修理を依頼した。もちろん全部は持って行けないので、ひとまずは半分ほどだけれど。その都合で馬車(と御者)を借りられたのは幸いだった。ちょっと得した気分だ。

 ご領主様の依頼は、私にとっても渡りに船だった。村での収入をどうしようかとまだ決められていなかったから。といっても、稼いだお金は九割九分ベルネーゼ侯爵家への返済にあててほしいと伝えてあるため、しばらくの間手元には、微々たる金額した入ってこないけれど。

 とにかく、そんな経緯で以前同様の生活をしている。神秘の器具を直したり、畑を耕したり、村に行ったり――。

「……はしてないか。あれ? ホント? 本当に最近、村に行ってないっけ?」

 ここに戻ってきてから何度村に行っただろう。帰ってきた翌日に、食料の買い出しに行ったことは覚えている。けれど。

 すっと血の気が引いた。
 慌てて上着を引っ掴み、家を飛び出す。

 村に戻ってきてから、すでに十日ほどがたっていた。
 この村の人たちはみんな心配性で、私があまりにも長く顔を出さないと、村人たちが押し寄せてくるのだ。もう九日も村に行っていない。これは今日にも押し寄せてくるところだったのではないだろうか。
 いや、バッソさんが一度家まで種を届けにきてくれている。だからきっと大丈夫――。

 
 
---------
 
そろそろストックが切れてしまいそうですm(__)m
夏バテのせいです(←言い訳)
自分の中ではもう少しで完結なのですが、文章にするとまだだいぶあって……。
すみません、またペースが落ちるかもしれませんが、どうぞ最後までお付き合いください。

 
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