まさかのヒロイン!? 本当に私でいいんですか?

つつ

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Ⅺ 青い鳥はすぐそこに

165. 神秘の修理、完了?

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 四日目の午後。ようやく預かった神秘器具の修理が終わった。

「ウィル」

 すでに暖炉の前に立っていたウィルに声をかける。ウィルはちょっと驚いたように振り返った。

「あの、お待たせ、しました」
「直った…のか……」
「う、うん。どうぞ」

 差し出せば、ウィルは呆然とした様子で受け取った。それから視線を落として、じっと見つめる。




「ええと、その、確認してもらえる?」

 完全に動きを止め、固まってしまったウィルに、遠慮がちに声をかけた。
 はっとしたようにこちらを見たウィルの顔には、複雑そうな表情が浮かんでいて、喜んでくれるだろうと思っていた私は密かに落胆する。

「ああ、すまない。今、確認する」

 ウィルは軽く深呼吸してから、箱に神秘を流した。それから恐る恐ると言った様子で箱を傾ける。

  ザン ザザーン

 家の中に波の音が広がった。ウィルはそれを何度か繰り返したあと、まっすぐと私に目を向ける。

「……ありがとう」

 ウィルは極上の笑みを浮かべた。とても大切なものを取り戻したかのような慈しみに満ちた笑みを。
 その笑みに胸を打ち抜かれた。息が止まりそうになり、目が離せなくなる。

 そして、泣きそうになった。
 どうして自分の作った不出来な神秘器具をそんなにも大事そうに抱えるのか。どうしてそんな笑みを浮かべるのか。どうして――。

 ウィル、あなたは誰? 偽者のミュリエルと、どういう関係だったの?

「――リア」
「あ……うん、よかった。ちゃんと直ったみたいで」
「いや、違うんだ」
「え? まだどこかおかしかった……?」
「そうではない。そうではなくてだな、その、聞いてほしい」
「う、うん」

 どことなくウィルから緊張が伝わってきて、私もまた緊張してしまう。

「リア、私はリアを治したい。今度は私に治させてくれないか? リアの神秘を」

 今度こそ息が止まった。

 ――私の神秘。

 神殿で壊され、封じられてしまった体内の神秘の回路。神秘が見える人が見ればひと目で犯罪者とわかる、罪びとの証。

 村に戻ってからは隠していなかった。今さらだし、村人たちを信用していたから。
 ウィルと顔合わせをしたときには、もうそんなことは忘れていた。

 ウィルとリアの関係は、同じ村の、新しい友人という程度のものだ。
 この明らかな罪びとの明かしを見て、治したいと言って貰えるほどの信頼関係はまだできていなかった。

 だとするなら、この申し出は、ミュリエルだったころの私との関係から生まれたもの。けれど、あの時の私はミュリエルとして生きていた。中身のマリを気にしてくれる人など――そうレイラ様や奥様を除いてはいないはずなのだ。

 こんなのはおかしい。ありえない。
 それに――。

「君の修理の仕方を見て、学ばせてもらった。治せると思う。いや――必ず、治して見せる。だから」
「わた、私は、このままでいい、の」

 私は急いで答えた。
 そう。もし本気でウィルが私の神秘を治したいと思っているのだとしても、私はそれを受け入れるわけにはいかなかった。

「なぜ?」
「これは、私に与えられた罰だから」

 私はうつむいた。これは罰であり、戒めでもある。私はこの罰を与えられてよかったとさえ思っていた。

 
 










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少々、キリが悪いので明日も更新します。
 
 
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