まさかのヒロイン!? 本当に私でいいんですか?

つつ

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Ⅳ 日本人は空気を読める子、だよね

41. 手は差し伸べられて

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「ミュリエル、大丈夫か」
「事前課題を知らされていなかったって、一体どうしてそんなことに」

 生徒たちが散らばると同時にセーファス様とベイル様が来てくれた。

 事前課題がいつ伝えられたかはわからないが、おそらくそのとき教室に、私もレイラ様もいなかったのだろう。
 クラスメイトたちはわざわざ親しくもない私に教える義理はないと思ったのだろうし、レイラ様にならと思っていても、私に伝わることを嫌った人たちは、レイラ様にも内緒にしてしまえと思ったに違いない。
 さっきのレイラ様の発言からもわかるように、レイラ様は事前課題など必要ないくらい優秀な生徒だから、提出していなくても問題ないと判断したのだろう。

「意図的だったにしろ、そうでなかったにしろ、ひど過ぎるだろう。ここは学び舎だというのに」
「ご心配おかけします、セーファス様、ベイル様。でも、大丈夫です。レイラ様のおかげでなんとか授業受けられるみたいですし――」
「ミュリエル様! 必ずや、私たちに課題を伝えなかった人たち見返しましょう! 私、本気でやりますから、しばらく話しかけないでくださいましね!」

 会話の途中、レイラ様がものすごい剣幕でそう宣言し、そのまま機敏な動きで材料を取りに行ってしまう。

「え、あ、レ、レイラ様!?」

 置いてきぼりをくらって動揺する。レイラ様に簡単な音の構成を教えてもらおうと思っていたのに。
 うー、だからといってセーファス様たちに聞くのはちょっと……ね。

 すでに普段の授業の様子を見ているレイラ様ならともかく、攻略対象である二人には余計な疑念を抱かせたくなかった。家族たちの反応をみるに、ミュリエルは神秘の構成はしっかりと覚えていたようだし、学問全般優秀だったようなのだ。ここで私のダメダメさ加減を二人に知られるのはちょっとまずい気がしていた。


「あ、あの!」

 男子生徒の声がして振り向く。すると、大机一つ分くらい離れた場所に五、六人の男子生徒が緊張した面持ちで立っていた。

「ベ、ベベベベルネーゼ侯爵令嬢! わ、わわ私たちは、あなたのみ、味方、です、から!!!」
「わ、私も!」
「私もだ! 困ったら何でも言ってくれ――あ、く、ください」

 そろいもそろって顔を真っ赤にしていて、驚きも束の間、なんだか私まで照れてしまう。
 きっと同情なのだろうけれど、それでも味方だと言ってもらえたことが嬉しかった。教師やクラスメイトたちのちょっとした嫌がらせくらい耐えて見せようとそう思える。

「ええと、その、ありがとうございます」
「「「はい!」」」
「頑張ってください」
「応援しています」

 そして、脱兎のごとく離れていく。その様子から、よほど勇気を振り絞って声をかけてくれたのだろうとわかる。同時に、どうしてそうまでして私に声をかけてくれたのか、少し不思議だった。


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