桜稜学園野球部記

神崎洸一

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「ここを勝てば16強、甲子園が見えてくる。そんな三回戦、一塁側に横浜向陽館、三塁側には桜稜学園でプレイボール!」



「よかったな一条、お前の得意な左投手だ」

「ああ、そうだな」

「俺のほうが先に打順回るんだけどね...」

「第一打席三振男のクセにかよ」

「言うな」


(第一打席三振の男から卒業してやる...!)

「一番、センター 長宗我部くん」

「さあ、第一球  投げた」

「ボール!」

(これくらいなら、打てるか...?)



「...まあ」

「当てただけ上々やな」

「ヒット打てな意味無いやろ」



「2番 セカンド、一条くん」

それは、初球だった。外角の球が少し浮いたのである。
一条は例え初球でも、例えボール球でも、得意コースなら迷いなく振り抜くようなバッターである。
そして、鈍い音がバックスクリーンの土台から響く。
余談ではあるが、それが怒濤の攻撃の幕開けとなる。

北は左へ南は場外、中之島はライトへ運び、橋本はバックスクリーンへ。
さらに江島、財前とヒットが続き、長宗我部が二人を返すも
一条は結局センターのファインプレーに阻まれてしまった。敵ながら天晴なプレイングであったとは言っておく。





「1イニング怒濤の7得点!!このまま桜稜のペースとなるか!?」

1回のウラ、明らかに南がノっている、それは南の投球内容でよく分かるだろう。三振三振アンド三振。南は軽く捩じ伏せてきた。



さて、2回の表が始まる

「3番、キャッチャー北くん」

「あんなの見せられて応えねぇヤツはいねぇやろがぁ!」
早くも交代した投手の球を奴は無情かつ豪快に捉えていった。フェンス直撃のツーベース。
二塁セーフの判定は疑惑ものではあるが、二塁打は二塁打だ。

「4番、ピッチャー南くん」 

「さ~あ、やりまっか!」

「ふざけんなよ...」

こうなってしまっては止められる自信はない。相手ピッチャーはあっさりシングルを打たれ、中之島には満塁策なのか敬遠した。
さて、相手方の投手は抑える気で橋本を一瞥した。
しかしながら、橋本将輝は満塁の場面についてはかなり強いのだ。それを知らないんだろう

;さて、残念ながらそれの証明は後回しになってしまった。
橋本は初球を第一打席同じくフルスイングして空振りした。 
相手投手は少しクレバーらしく、ストライクは要らないとばかりにボール球を投げ込んでくる。しかしそれは悪手である。

フォアボール...場の空気を取り残して8点目が入った。

江島はわりとあっさり凡退し、半ば諦めムードの中、8番サード財前のコールが入る。財前はそんな球場を睨むかのように、バッターボックスに入った。

4球目、真ん中近くへのストレート、打球はさして飛びこそしなかったものの、上手く左中間を割った。
更に2点。そして神崎の併殺打でスリーアウトとなった。



2回の裏、左打者続きの4番大高はセカンドのファインプレーで救われるも5番福間に深い位置へのゴロを打たれて内野安打を喰らう。しかしながら、6番曽根畑7番田郷と抑え、結果ピンチは招かぬ好投だった。

「3回の表、早くも第三打席の長宗我部」

(はぁ...怖いなあ、怖いよ)

「大きな当たりですが、これはセンターフライでワンナウト」

「2番セカンド一条くん」

(生憎、俺は左投手は得意なんだよ...!)

「これはどうだ!?入るか?入った!ホームラン!」


⎯⎯⎯さて、一々書くというのも些か面倒なので割愛するが、変わった右投手によって辛うじて抑え、といっても外野フライだけだった上、その間3安打2得点だったが。



14-0の快勝。南の完封、サイクルヒットという快刀乱麻の活躍のお陰である。
中之島は出番なしの鶴岡と今日も今日とてノーヒット神崎の二人を軽く眺め、相手チームを一瞥した。
色々と感じこそすれ、中之島にはどうしようもできない。
まあ、なんだ、お前らの分もやってやるよ そんなことを感じつつ学園行きのバスへ乗り込む背番号3であった
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