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いつもの。
近距離の2人
しおりを挟む俺とムロは移動教室の為に廊下を歩いていた。
数メートル先の教室から誰かが飛び出てきた。
あぁ、またかと思う。
3クラス隣の教室では日常的にいじめがあった。俺らの学年では有名でいじめっ子が学校近くの病院の医者の息子だった。要は権力でその実態を何度もねじ伏せてきたためにこんな白昼堂々いじめを行っても誰も何も出来なかった。
いじめを学校側が問い詰める度に多額の寄付金でなかった事にする。
いじめ自体がなくならなくても学校からするといい儲け話という事で本人にはお咎めなしだった。
よく出来た世の中だと思う。
金が全てという事だ。
いじめられっ子はいかにもいじめられそうな地味な子であんだけ追いかけ回されたってやられっぱなし。
狩られるやつは最初から狩られる側の人間で狩る奴は一生勝ち続けるということ。分かりやすいヒエラルキーだ。
等の俺はこうやって可哀想だなと思うばかりで見物人。だって、どうにも出来ないからどうすることも無い。
「おいっ!ゴミ!」
廊下にそんな声が響いた。
逃げるいじめられっ子。追ういじめっ子。
その先で、階段を登ってきたあいつとぶつかった。
「あっ。」
思わず声が漏れてしまった。
あいつは一瞬よろけたが手すりに掴まって体勢をなおした。
「ごっ、、、ごめっ、、、、。」
「ごめんね、大丈夫?君、怪我してるよ。」
誰もが注目していたその中であいつは雰囲気にそぐわないゆるっとした声で問いかけた。
「ゴミ、逃げてんじゃねーよ。」
あいつの目の前にいじめっ子が立った。
いじめっ子はいじめられっ子の襟を後ろから鷲掴みした。
「あっ、やめっ、、、、、。」
引っ張られるいじめられっ子。
俺はいじめられっ子は別としてあいつに被害が行かないようにと助けようと足早に歩き出した。
「やめなよ。嫌がってるよ?それに、ゴミって、、、、。君、少しおかしいんじゃない?」
あいつは表情1つ変えないで襟を掴んでいた手を掴んだ。
やべっ、、、何してんだよ
あいつに正義感なんてなくて
でも同じくらい恐怖心もなくて
こういう時見て見ぬふりするくせに余計なところだけ首を突っ込む。
うるせぇぇえ!
怒声が響いた。
首をすぼめるいじめられっ子。
あいつはまだ表情を変えない。
「君の方がよっぽど五月蝿いよ。人の嫌がる事をしなきゃいいんじゃないの?君、同級生だよね?こんな子供じみたことして、恥ずかしいよ?」
どうやったかは知らない。
けれど、いじめられっ子はあいつが掴んだ腕をいててててててっと言いながら引っ込めた。
このやろう、そう言って殴りかかろうとしていた。
俺の今の距離じゃ全然届かない。
やべぇ!
いくら人間離れしたあいつでも男に殴りかかられたらどうすることも出来ない。
そう思ってたのに
「殴ってもいいけど、私の父親弁護士だよ?これだけの目撃者がいて君、どうするつもり?それに、、、、。」
ドゴッ
いじめられっ子は倒れた。
あいつの蹴りで。
「君は理由のない暴力でも、私には理由がある。次君がこんな事してるの見かけたらもうこの学校にはいられなくするから。」
何事も無かったかのようにあいつは移動教室先に向かった。
なるほど、
ははっ
これがヒエラルキー。
男でも女でも力でもない。
そう、金が全て。権力こそ全て。
ほんと、、、、
あいつって完璧なのな。
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