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しおりを挟む九歳のレイナルドがどうしてこんなにも気難しい性格となってしまったのか……それは彼の容姿に原因があった。
王家の人間は、艶やかな金髪と碧眼が特徴の見目麗しい外見をしている。レイナルドの父も、兄チャールズも、遠戚から嫁いできた母も同様だ。だが、レイナルドだけは違う。この国でも珍しい黒髪と赤い瞳の、悪目立ちする外見だ。目つきも人相も悪いため、あらぬ誤解を受けやすい外見でもあった。
幸い、王妃の不貞を疑われるようなことは無かった。と言うのも、レイナルドの曽祖父に当たる先々代の国王とレイナルドが瓜二つの風貌だったためだ。先々代の国王は素晴らしい手腕で長く続いていた周辺諸国との諍いを収めた、賢王と呼ばれる人だ。
国王も王妃もレイナルドを冷遇することは決してしなかった。自分だけが家族と見た目が違うことに落ち込むレイナルドへ何度だって愛を伝えた。
「レイナルドは御祖父様とそっくりだから、きっと賢い子になる」
そう言って数えきれないほど抱き締めた。
「お母さまはね、レイナルドの髪も瞳も……全部大好きなの。とっても、とってもね」
毎日そう微笑んで額に口付けた。
これほど家族に愛されたレイナルドだが、王宮の中というのは数えきれないほどの目がある。どれほど国王夫妻が心を尽くしても、悪意の視線と言葉がレイナルドの心を蝕んだ。
「いくら先々代と似ていると言ったって……本当に国王陛下の子どもなのかしら?」
「あの黒髪と赤い瞳……まるで呪われているみたい」
「また睨まれたわ!何て恐ろしい子どもなの!」
それらの言葉こそ、まさに呪いだった。レイナルドはそれにばかり囚われてしまい、どんどん表情を無くし気力を失っていった。そのうち王子教育も真面目に受けなくなり、彼の評判は悪くなる一方だ。誰の言葉も信じられず、疑ってばかりの子どもになった。
「レイナルド。お父様やお母様、お兄様の他にあなただけを愛してくれる女の子が現れるわ。そしたらうんと大事にしてあげるのよ」
母の言葉は随分と現実離れしているとレイナルドはうんざりしたように聞き流していた。アメリアがレイナルドの婚約者となったのはそれからずっと後のことだった。
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