【完結】拗らせ王子と意地悪な婚約者

たまこ

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「アメリア。アーネスト殿下の話したことは意地悪ではない、正論だ」

「ですが……っ!レイ様はお忙しいから来られなかっただけなのに!あんな言い方、許せません!」

「違うんだ……アメリア、ごめん」

 レイナルドが小さく謝るとアメリアは目をぱちくりとさせた。レイナルドは彼女の頭を乱雑に撫で、溜め息を吐いた。

「本当はもっと早く来られたんだ。だけど……俺みたいな男が婚約者だなんてアメリアが恥ずかしい思いをすると思って」

 思ったよりもずっとすんなりと素直な気持ちが口から洩れた。あんなに大泣きして気持ちを伝えてくれた彼女のおかげかもしれない。

 アーネストが言っていたことは耳が痛いくらい正論だ。隣国デリンラードの王族と交流することは公式な物ではないにしろ公務と同じようなものだ。兄のチャールズもその婚約者のエリザベスも何度もクラーク公爵邸に足を運んでいるのに、第二王子の自分が忙しいから来られない等誰が信じると言うのだろう。

 レイナルドの行動のせいで茶会に参加している国内の貴族たちが自分たちの不仲を疑い、アメリアを蹴落とそうとする者だって現れたかもしれない。それでもアメリアだけはそれを信じてレイナルドを守ろうとしてくれていた。それがレイナルドを堪らなく苦しくさせる。


「レイ様!」

 俯いたレイナルドにアメリアはずいっと近付き、大声でそう呼んだ。

「レイ様は私の自慢の婚約者です!」

「……アメリア」

「レイ様の隣にいられて、とっても幸せです!本当に本当に幸せなんですよ!」

 はぁ、と大きな溜め息を吐いて、レイナルドは婚約者の可愛らしい頬を抓った。

「レイひゃま?」

「……やっぱりお前は意地悪だな」

「む……レイひゃまこそ!」

 頬を抓られたままアメリアが言い返せば、レイナルドは眉を寄せて困ったように笑った。初めて見る彼の不器用な笑顔を見てアメリアは心底嬉しそうに破顔した。

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