30 / 55
30
しおりを挟む「アメリア様、殿下にお詫びを要求しては如何でしょう」
「そうですね。殿下には散々不安にさせられたのですから。お嬢様、高価な宝石を頼みましょう」
ルパートの提案にミリーは前のめりで答えた。アメリアが答えに困って、レイナルドの方を窺うように見ると「……あまり高いものは無理だぞ」と窘めるように言った。
「でしたら……」
アメリアがレイナルドの耳元で願いを囁く。アメリアの願いを聞いた瞬間、レイナルドは顔を真っ赤にして怒り始めた。
「な……っ、お、お前、破廉恥だぞ!」
「そうですか?シルヴィアは婚約者ともっと進んでいるようですが」
シルヴィアとは、アメリアの友人の侯爵令嬢だ。少々……いやかなりませた所のある彼女を思い出しレイナルドは溜め息を吐いた。
「……駄目ですか?」
「う……っ」
アメリアに悲しそうに問われれば、レイナルドは駄目とは言えなかった。ルパートとミリーへ外すように伝え、二人っきりとなった東屋でレイナルドはアメリアを引き寄せた。
『抱き締めて欲しいのです』
いつかどこかに行ってしまうくせに。レイナルドではない他の男の所に行ってしまうくせに。随分と酷なことを願う婚約者にレイナルドは腹が立って仕方がない。
抱き締めた彼女は柔らかく壊れ物のように思えた。ふわりと香る、甘い香りに落ち着かなくなりレイナルドは余計苛立った。
「きょ、今日だけだからな!」
レイナルドが厳しくそう言ったのに、胸の中にいるアメリアはくすくす笑うだけだ。
「な……っ」
「レイ様、今日だけでは嫌です」
「今日だけだと言ってるだろ!」
アメリアは首を振った。また甘い香りが広がり、レイナルドを惑わせる。
「私、きっとまたおねだりしますわ」
「……っ」
「何度でもおねだりします」
「お前は……」
「ふふっ、意地悪ですか?」
「ふん」
あなたの温かさを、香りを、熱を、知ってしまったら、もう後戻りはできない。あなたに触れることを知ってしまったら、今日だけで良いなんてとても思えなかった。何度でも触れたいと願ったのは、どちらが先だったのだろう。
83
あなたにおすすめの小説
いつも隣にいる
はなおくら
恋愛
心の感情を出すのが苦手なリチアには、婚約者がいた。婚約者には幼馴染がおり常にリチアの婚約者の後を追う幼馴染の姿を見ても羨ましいとは思えなかった。しかし次第に婚約者の気持ちを聞くうちに変わる自分がいたのだった。
私と貴方の報われない恋
梨丸
恋愛
田舎の男爵家の少女、アーシャには好きな人がいた。
家族同然の幼馴染を好きになってしまったアーシャの恋は報われない……。
主な登場人物
アーシャ 本作の主人公
フェルナン アーシャの初恋
※アーシャ編とフェルナン編の二編を投稿します。
※完結後も番外編を追加するかもしれないです。
11/3 完結いたしました。
11/4HOTランキング入りしました。ありがとうございます。
すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…
アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。
婚約者には役目がある。
例え、私との時間が取れなくても、
例え、一人で夜会に行く事になっても、
例え、貴方が彼女を愛していても、
私は貴方を愛してる。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 女性視点、男性視点があります。
❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。
さよなら 大好きな人
小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。
政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。
彼にふさわしい女性になるために努力するほど。
しかし、アーリアのそんな気持ちは、
ある日、第2王子によって踏み躙られることになる……
※本編は悲恋です。
※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。
※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。
「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚
きぬがやあきら
恋愛
「私に愛まで望むな。褒賞に王子を求めておいて、強欲が過ぎると言っている」
新婚初夜に訪れた寝室で、レオノールはクラウディオ王子に白い結婚を宣言される。
それもそのはず。
2人の間に愛はないーーどころか、この結婚はレオノールが魔王討伐の褒美にと国王に要求したものだった。
でも、王子を望んだレオノールにもそれなりの理由がある。
美しく気高いクラウディオ王子を欲しいと願った気持ちは本物だ。
だからいくら冷遇されようが、嫌がらせを受けようが心は揺るがない。
どこまでも逞しく、軽薄そうでいて賢い。どこか憎めない魅力を持ったオノールに、やがてクラウディオの心は……。
すれ違い、拗れる2人に愛は生まれるのか?
焦ったい恋と陰謀+バトルのラブファンタジー。
【本編完結】笑顔で離縁してください 〜貴方に恋をしてました〜
桜夜
恋愛
「旦那様、私と離縁してください!」
私は今までに見せたことがないような笑顔で旦那様に離縁を申し出た……。
私はアルメニア王国の第三王女でした。私には二人のお姉様がいます。一番目のエリーお姉様は頭脳明晰でお優しく、何をするにも完璧なお姉様でした。二番目のウルルお姉様はとても美しく皆の憧れの的で、ご結婚をされた今では社交界の女性達をまとめております。では三番目の私は……。
王族では国が豊かになると噂される瞳の色を持った平凡な女でした…
そんな私の旦那様は騎士団長をしており女性からも人気のある公爵家の三男の方でした……。
平凡な私が彼の方の隣にいてもいいのでしょうか?
なので離縁させていただけませんか?
旦那様も離縁した方が嬉しいですよね?だって……。
*小説家になろう、カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる