【完結】拗らせ王子と意地悪な婚約者

たまこ

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「アメリア様、殿下にお詫びを要求しては如何でしょう」

「そうですね。殿下には散々不安にさせられたのですから。お嬢様、高価な宝石を頼みましょう」

 ルパートの提案にミリーは前のめりで答えた。アメリアが答えに困って、レイナルドの方を窺うように見ると「……あまり高いものは無理だぞ」と窘めるように言った。


「でしたら……」

 アメリアがレイナルドの耳元で願いを囁く。アメリアの願いを聞いた瞬間、レイナルドは顔を真っ赤にして怒り始めた。


「な……っ、お、お前、破廉恥だぞ!」

「そうですか?シルヴィアは婚約者ともっと進んでいるようですが」

 シルヴィアとは、アメリアの友人の侯爵令嬢だ。少々……いやかなりませた所のある彼女を思い出しレイナルドは溜め息を吐いた。


「……駄目ですか?」

「う……っ」

 アメリアに悲しそうに問われれば、レイナルドは駄目とは言えなかった。ルパートとミリーへ外すように伝え、二人っきりとなった東屋でレイナルドはアメリアを引き寄せた。



『抱き締めて欲しいのです』

 いつかどこかに行ってしまうくせに。レイナルドではない他の男の所に行ってしまうくせに。随分と酷なことを願う婚約者にレイナルドは腹が立って仕方がない。


 抱き締めた彼女は柔らかく壊れ物のように思えた。ふわりと香る、甘い香りに落ち着かなくなりレイナルドは余計苛立った。



「きょ、今日だけだからな!」

 レイナルドが厳しくそう言ったのに、胸の中にいるアメリアはくすくす笑うだけだ。

「な……っ」

「レイ様、今日だけでは嫌です」

「今日だけだと言ってるだろ!」

 アメリアは首を振った。また甘い香りが広がり、レイナルドを惑わせる。


「私、きっとまたおねだりしますわ」

「……っ」

「何度でもおねだりします」

「お前は……」

「ふふっ、意地悪ですか?」

「ふん」


 あなたの温かさを、香りを、熱を、知ってしまったら、もう後戻りはできない。あなたに触れることを知ってしまったら、今日だけで良いなんてとても思えなかった。何度でも触れたいと願ったのは、どちらが先だったのだろう。

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