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しおりを挟む「レ、レイさま……」
頭が真っ白になり言葉が続かない。ずっと会いたくて堪らなかったのに、会いたくなかったという相反する気持ちがアメリアの中に渦巻いていた。じわりと浮かんだ涙が零れ落ちそうになった時、レイナルドに強く引き寄せられた。
「ひゃ!レ、レイ様!どうして」
「アーネスト殿下、アメリアは連れて行きます」
「ええ、どうしようかなぁ」
レイナルドはアメリアを抱きかかえるとアーネストの返答を気にすることなく踵を返した。
「レイ様……歩けますから、下ろしてください」
「……」
「重たいでしょう?本当に申し訳ないので」
「重たくない。前にもこうやって抱きかかえたことだってある」
「それは幼い頃の話でしょう!……今はもっと重たくなっています。お願いですから下ろしてください」
「……いやだ」
「へ?」
レイナルドが今までこんな風に我儘を言うようなことがあっただろうか。アメリアが目を丸くしていると、レイナルドの執務室へと着いた。アメリアも時折訪れている場所だ。アメリアは漸く下ろしてもらい胸を撫で下ろした。
「レイ様……?」
「……もう泣いてないか?」
レイナルドはアメリアをじっと見つめた。
「頼むから泣かないでくれ」
「え……」
「俺以外の前で泣かないでくれ……一人で泣くのも無しだ」
レイナルドの縋るような言葉を聞いた瞬間、アメリアの瞳からぽろりと涙が溢れた。
「だって……っ、レイさまがいないから……!レイさまが……っ、一人にしたんです!」
「……アメリア」
「レイさまがいないから……、涙を拭いてくれる人もいなくてっ、全部レイさまのせいです……!」
「ああ」
「わ、わたしのっ、レイさまなのに……っ、レイさまの隣はずっとわたし……って、なのに……ずっと一緒にいられるって、思ってたのに……!」
「アメリア、ごめん……傷つけてしまってすまない」
「他の女性を……隣に置くなんてひどいです……っ、わたしの場所、だったのに……レイさまのばか、きらいです……っ」
わんわんと大声で泣くアメリアを見たのは、彼女が六歳の頃以来だ。彼女をこんなにも傷つけて悲しい思いをさせて、レイナルドは張り裂けそうなほど胸が痛いのに、彼女が初めて見せた独占欲が彼を嬉しくさせる。
「アメリア、どうか俺の話を聞いてほしい」
彼女を抱き締め、涙が落ち着いた後レイナルドは語り始めた。
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