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しおりを挟む「……おい、起きてるんだろう?」
(……ミゲル様?)
「……レティ」
きまり悪そうに呼ばれ、レティはおずおずと布団から顔を出した。彼女の顔を見てミゲルは眉間に皺を寄せ、ベッドサイドに置いてある椅子に腰掛けた。
「ミゲル様?」
「ふん」
レティが名前を呼んでも、ミゲルはなぜここに来たのか説明しようとしない。しばらく黙り込み、レティがどう声を掛けようかオロオロしていると漸く口を開いた。
「……悪かったな」
「へ?」
「お前は望んで来た訳では無かっただろう」
「ち、違います!」
「だが」
ミゲルはレティの顔をじっと見つめた。レティが先程まで泣いていたということはすっかりバレているようだ。レティは慌てて起き上がった。
「ここに来ることは私が決めました」
「……」
「家族と離れて寂しいのも、ミゲル様の食事を作りたい気持ちも私の気持ちなんです」
「……そうか」
ミゲルは小さく呟き頷いた。
「もう寝ろ」
レティがゴソゴソと横になるとミゲルが布団を掛けてくれる。もう退室するのだろうと思ったがミゲルはまた座りレティをじっと見つめた。
「ええっと、ミゲル様?」
「チッ……お前が寝るまでここにいる」
怒ったようにそう言ったミゲルへレティは笑みを零した。
「ミゲル様、何かお話ししてください」
「む」
「眠れないのです」
ミゲルはじっと思案した後、「何を話せば良い?」と尋ねた。
「ミゲル様の好きなお話を聞きたいです」
「好きな話……そうだな」
ミゲルは手を顎に当てたまま、抑揚無く話し始めた。
「およそ三百年前のことだ。当時の国王により、爵位制度が確立されていき今の爵位制度の基礎となった。その頃、王都にほど近い地域一帯を……」
「ミ、ミゲル様……このお話は……?」
「スタマーズ公爵家の歴史だ」
レティの質問に短く答えると、またミゲルの講義は再開した。小難しい話を聞いていると、目が冴えていた筈のレティはあっという間に眠りに落ちていった。
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