【完結】先に求めたのは、

たまこ

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 言葉を探しているミゲルへ助け船を出すように伯爵夫人が口を開いた。

「確かにあの噂は良くなかったけど、収束も早かったわ。ミゲル様、どう対処なされたのですか?」

「……恥ずかしい話ですがアーネスト殿下へご助力を仰ぎました。殿下からも対処が遅くなったことを叱られましたが……」

「ふうん、ミゲル様はアーネスト殿下にご助力をいただいた、と」

 伯爵夫人はじろりと夫の方を見つめた。口元は微笑んだままだが、その瞳は冷え冷えをしていた。

「あなた、ミゲル様を非難できる立場ですか?」

「う……だ、だが!」

 夫妻はとうとう喧嘩を始めてしまった。レティはやれやれ、といった調子で隣に座るミゲルの耳元へ口を寄せた。

「お父さまも若い頃、国王陛下からのご尽力もあってお母さまと婚約を結べたようなんです」

「成程」

 つまり、ミゲルとペルジーニ伯爵は似ているとも言える。ミゲルは少々気まずい思いで顔を顰めた。そしてペルジーニ伯爵も同じ思いだっただろう。

「兎に角、婚約は認めますわ」

「お、おい!」

「何ですの?伯爵としての職務を全て私に任せている癖に、こんな時だけ当主気取りでして?」

「なっ……」

「婚約の書類もお持ちでしょう。すぐ書きますわ」

 こうして、伯爵夫人の力添えもありミゲルとレティは婚約を結ぶことができた。項垂れる父の隣にレティは腰掛けた。

「お父さま、心配かけてごめんなさい」

「レティ」

「私も悪かったの。怖くてミゲル様の気持ちを聞こうとしなかった。他の人と婚約するのだと思い込んでいたの」

「ああ」

「だけどね、これからは不安なことがあってもちゃんと話し合うわ。そしてお父さまとお母さまのような夫婦になりたいの」

「……」

「ペルジーニ伯爵。これからは絶対にレティ嬢を悲しませないと誓います。だからどうか婚約を認めていただけませんか?」

「……大切な、本当に大切な娘なんです。もう二度と泣かせないようお願いします」

「お父さま!」

 レティがぎゅっと抱きつき見上げると、父の目には薄っすらと涙が溜まっていることに気付いた。

「幸せになるんだ。それが一番の親孝行だ」

「はい……っ!お父さま、大好きです」

 レティが更に力強く抱きしめると父は少しぎこちなくレティの頭を撫でた。


「ミゲル様、ごめんなさいね。幼い頃のレティはうちの人の後ばかり付いて回ってたものだから。レティには甘いの」

「いえ。伯爵が心配されるのも当然だと思っています」

「ふふ、どうか娘をよろしくお願いしますね」

「もちろんです」

 力強く頷くミゲルへ伯爵夫人は満足そうに微笑んだ。

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