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しおりを挟むウィリアムとケリーの密会を目撃した直後、カレンは上司からあまりに顔色が悪いから早退するよう言われてしまった。
自宅に帰り、自室の布団に潜り込むと漸くちゃんと呼吸が出来た。そして改めて、ウィリアムとケリーのことを考えた。
ウィリアムは伯爵家だが、王太子付きの近衛騎士だ。公爵家のケリーとも釣り合いが取れるのでは無いだろうか。
(やっぱり、婚約破棄しよう。)
ウィリアムとカレンの婚約は、家同士で成立しているが、まだ公表されていない。カレンの両親が婚約への不安を抱えていた為、不安が無くなってから公表することになっていた。今ならまだ穏便に婚約破棄出来るだろう。
自分は、もう結婚出来ないだろう。だが職もあるし、生涯独り身でも良い。元々、結婚願望も無かったのだから。
ウィリアムとケリーが結ばれたら、もうケリーとは会えないかもしれない。あんなに嫌だったウィリアムとの飲み会も二度と行かないだろう。カレンは胸が苦しくなり、溢れた涙を乱暴に拭うと布団に潜り込んだ。
◇◇◇
泣き疲れていつの間にか眠ってしまったカレンは、人の気配を感じ、目を覚ました。
てっきり、使用人が出入りしているのだろうと思っていたが、自室にいたのはウィリアムだった。ベッドの隣で腰掛け、心配そうにカレンを覗き込んでいた。
「カレン?」
「…………ウィリアム?どうして?」
「カレンを迎えに行ったら、体調崩して早退したと聞いて、お見舞いに来たんだ。」
優しく笑い、カレンに水を渡してくれる。サイドテーブルには、新しくカスミソウが飾られており、ウィリアムが贈ってくれたもののようだ。
大事にされているように勘違いしてしまいそうになる。ウィリアムが優しく笑い掛ける度に胸が張り裂けそうで苦しい。
「…………カレン、目元が腫れてる。」
ウィリアムが宝物のようにカレンに優しく触れてくる。カレンの瞳には涙が迫り上がり、ぽろりと溢れた。
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