【完結】真面目系眼鏡女子は、軽薄騎士の求愛から逃げ出したい。

たまこ

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「貴女って人は、ウィリアム様のことになると駄目ね。」



 カレンは、一連の経緯をケリーへ白状すると、心底呆れられてしまった。




「・・・ごめんなさい。だけど、どうしてケリーは、その、私が・・・ウィリアムのこと好きだって気付いていたの?」



 学生時代から、ケリーにはウィリアムの愚痴を聞いてもらっていた。その度に大嫌い、と悪態をついていたのに。自分自身でも気付いていない気持ちにケリーが気付いていたことが不思議だった。





「当たり前じゃない。」


 
 ケリーはまた呆れたように言った。





「貴女、いつもウィリアム様の話ばかりだったでしょう。」





◇◇◇



「カレン!」


 ケリーとお茶をしていたカフェに、ウィリアムが現れた。



「ウィリアム。どうして?」




「大事な婚約者を迎えに来たんだよ。」



 ウィリアムはまたウィンクをして、たまたま近くにいた給仕の女性をときめかせていた。それを見たカレンは面白くないと、顔を顰めた。



「ほら、カレン。帰りなさい。」



「え、ケリーも一緒に。」



 自分だけ先に帰るのは忍びなくて、ケリーを誘うと、ウィリアムが笑って制止した。


「ケリー嬢にも、お迎え来ているよ。」


「そうなの・・・って、え?」


 ウィリアムの後ろから現れたのは、なんとヘンリー王太子だった。こんなカフェに、普通であれば王族の者が現れる訳はない。お忍び姿のヘンリー王太子は愛しさを隠さず、優しくケリーの手を取った。そんな王太子をケリーはうっとりと見つめていた。カフェの個室は、二人だけの空気となっており、カレンは二人の関係性を理解した。



「ほら、行こう。」


 二人でお茶したいみたいだから、とウィリアムに促され、カレンはそそくさとカフェを出た。



◇◇◇



「知らなかったのは私だけなのね。」


 帰りの馬車の中、カレンは不貞腐れていた。


「俺は王太子付きだから知っていただけだよ。」


 ウィリアムは頭を撫でて、カレンを宥めた。カレンも分かってはいるのだ。王族との婚姻なんて、貴族間のそれ以上に制約があるはずだと。だが、やはり自分だけ仲間はずれのようで寂しかった。



「俺が、ケリー嬢にカレンのことを聞きに行けたのも殿下のお陰なんだ。」


「え・・・。」


 つまり、ウィリアムとカレンのあれこれを、ヘンリー王太子にはまるっと知られている、ということだ。カレンは恥ずかしさから顔を赤らめた。



「照れているカレン、可愛い。」


 ウィリアムはカレンの眼鏡を取り上げたが、それは幼い頃の意地悪とは違う。顔中に口づけを落とされ、カレンは顔を熱くさせた。馬車の中は二人きりとはいえ、外でこんなことをしていると思うと背徳感に苛まれた。最近のウィリアムはブレーキが利きにくい。



「ちょっ・・・ウィリアム!」



 カレンの抗議を受け、ウィリアムは漸く止めてくれたが、代わりにきつく抱き寄せられた。


「はぁ~早く結婚したいな。他の男に取られたくない。」


「それは・・・。」


 私も、とカレンは小声で呟いた。先程のカフェでも、給仕がウィリアムに見惚れていた。他に取られる恐怖はカレンだって感じている。カレンのそんな想いをウィリアムは喜んで受け取った。



「カレン、好きだよ。」

 笑顔で告げられたウィリアムの思いに、カレンは頷き、小さく同じ言葉を返した。ウィリアムはそれだけで、幸福感に包まれていた。




〈おしまい〉



 読んでいただきありがとうございます!!
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みんなの感想(1件)

Kita
2023.03.19 Kita

こんな素敵なお話を1時間毎に読めるなんて…最高の週末になりました😍

最初『チャラ男』タグにドキドキでした😱
しかし、それにはきちんとした理由があり、ヒーローが一途で、ヒロインちゃんを深く愛するナイスガイで良かったです❤️

14話の最後、自分の気持ちが分からないカレンちゃんに、ウィリアムが優しく教えてあげるシーンが大好きで…繰り返し読んでます(///ω///)♪

はぁ~💕面白かった❤️
たまこさま、今回も素敵なお話をありがとうございました📖✨

2023.03.20 たまこ

Kitaさま

素敵な感想ありがとうございます!週末のお供になって良かったです♫

初『チャラ男』タグでした😆笑
ヒーローの良い所をたくさん見つけてもらいありがとうございます♪

14話のシーン、自分でも気に入っています🤣Kitaさまにも気に入って貰えて良かったです💕

解除

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