【完結】就職氷河期シンデレラ!

たまこ

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第二部

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「……っ」

 言葉を失っているジャックや講師陣を見て「本当にみんなどうしちゃったの?」とエラは首を傾げている。


「……っ、エラさん、今まで一体どこに……」


「ああ、お義姉さまのところに行ってきたの」


「なっ……!」

 講師の一人がやっとの思いで口を開き尋ねた質問に、エラは何でもないことのように答えた。


「そんな……どうして」

 講師たちの疑問は上手く言葉にならない。どうして森を抜けられたのか。どうしてナスタジアの元へ行ったのか。……どこかに行きたかったのなら、どうして相談してくれなかったのか。彼らの動揺と心配の入り混じった顔を見て、流石にエラも「……ごめんなさい」と小さく謝った。


「転移魔法を使ったの。ほら、あの腹の立つ魔法使いも使っていたでしょう」

 腹の立つ魔法使いとは勿論チャーリーと共に現れたあの魔法使いのことだ。


「あの魔法使いも使っていたって……転移魔法はかなりの魔力を必要とするんですよ」

 転移魔法は今のエラはおろか彼女へ指南している講師たちでも難しい魔法だ。訝しげに見つめられ、エラはにっこりと笑った。


「ほら、これを使ったの」


「……魔法石?」


 エラの手に握られていたのは、彼女が魔力を込めた魔法石だ。以前からエラが仕事として請け負い、魔法石に魔力を貯めていたものだ。


「魔法石を握っていたらいつもより強い魔力を使えたの」


「そんな……」


「ふふ、イザード王太子も驚いていたわ」

 エラはちょっぴり得意そうにそう言った。魔法石はあくまで魔法が使えない人が魔道具を使うための物だ。魔力を持つ人間が力を増幅させるために使うなんて想像もしなかったことだ。先程まで会っていたイザードからも「前代未聞だ」と目を丸くされた。

 一方、前世の記憶を持つエラは魔法石を前世の電気などのエネルギーのイメージで捉えていた。沢山あればそれだけ沢山のパワーを発揮できるのではと考え、駄目元でやってみたら上手くいった……という訳だ。



「……ナスタジア様にお会いになりたかったのなら仰ってくれたら良かったんです。無断でどこかに行ってしまったら、反省の色が無いと捉えられてここにいる期間を延ばされてしまうかもしれない」


「そう、それを思い出したの」


「は?」


「”反省の色が見られなければ、ずっとここに閉じ込めたまま”、そう裁判の時に言われたわ。だからね、そう思われたら良いって思ったの」


「どういう……」


「長くここにいたいの……できれば、ずっと」

 病み上がりだった彼女は負担の無いゆるりとしたワンピースを着たままで化粧っ気も無いと言うのに、儚げな笑顔は随分と美しかった。黙ったままのジャックはそんな彼女をぼんやりと見ていた。


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