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番外編2:セクハラの行方②
しおりを挟む「ルーカス様!」
東屋で待つルーカスへセリーヌは意を決して声を掛けた。いつもであれば忙しい合間を縫って二人で過ごす貴重なお茶の時間だが、今日のセリーヌは怒っているのだ。足早にルーカスに近付き、しかめっ面で彼を見つめた。
「どうしたんだい、愛しい人」
「う……」
怒っているセリーヌに反して、ルーカスの甘ったるい声と視線を送ってくる。すぐ戦意喪失しそうになるがセリーヌは必死で首を振り「大事な話がありますの」とつっけんどんに伝えた。
「なあに?」
「……っ、これではお話しできません!」
優しく引き寄せられ、あっという間に膝に乗せられてしまっている。恥ずかしさと腹立たしさで顔を赤らめながらすり抜けようとするが離してはくれない。
「セリーヌといられる貴重な時間なんだ。セリーヌに癒されたい」
「うぅ」
視界の隅でジェイミーが人払いしている様子が見える。セリーヌがルーカスと二人っきりになれる時間は限られているのだ。こうやって言い争いをしている間にその時間が終わってしまえば意味がない。セリーヌは諦めて膝に乗せられたまま口を開いた。
「お話ししたいのは、以前のルーカス様のエスコートについてですわ」
「ああ、僕がわざとセリーヌのお尻に触っていたやつね」
「……っ!やっぱりわざとだったんですね!酷いです!」
「セリーヌ、今頃気付いたの?」
ルーカスにくすくすと笑われ、既にいっぱいいっぱいだったセリーヌの心はもう限界だった。強引に身体を捩じり、ルーカスの腕から抜け出し背を向けてそのまま足を進めた……がすぐまた腕を引かれ、抱き寄せられてしまう。
「待った。揶揄ってごめん」
「……酷いです。ルーカス様の言葉を鵜吞みにしている私を見て笑っていたんでしょう」
「違う、そんなこと思ってない」
「じゃあ、どうしてあんなことしたんですか!」
ルーカスの胸の中から顔を上げキッと睨み付けるセリーヌの瞳には涙が浮かんでいる。ルーカスは「あー」とか「うー」とか言葉にならない声を発しながら頭を掻き、その後で観念したように話し始めた。
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