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悪魔の力を借りましょう
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しおりを挟む「テト、サチ、話があるんだ」
ジルが重たい口調で話し始めた。
「サチが頑張ったおかげで魔力コントロールの練習が進んでいる」
あれから一週間。倒れない程度に特訓を続け、殆どの物を浮かせることが出来る様になった。
「基本的な魔力コントロールは大丈夫だと思う。後は応用だが、攻撃魔法は引き続き俺が教える。護身の為のものだ。だが、回復魔法は…」
「ジル、あんまりとくいじゃないもんねぇ。」
「ああ。それに回復魔法を使える者がとても少ないんだ。だから、俺以外の者で講師をお願いしてきた。」
「え、もしかして」
ジルもテトも心底嫌そうに顔を歪めている。
「魔術騎士協会の会長、ロバートだ。」
ロバートは『ねこダリ』の中で隠しキャラだった。王族でありながら、その地位を捨て魔術騎士の仕事に全てを賭けている異質なキャラクター。確か、回復魔法が得意という共通点からヒロインと仲を深めていくルートだ。
「ロバート様は、確か王族じゃなかった?ジルは仲が良いの?」
私の問いに、より嫌そうに表情を歪めるジル。
「あのねぇ、ロバートさまは、ジルのおししょーさまなんだよ」
「師匠?!」
そんな設定は無かった。推しの新しい情報が知れて嬉しくなりニマニマしていると
「サチ?そんなにロバートのこと好きなのか?」
「ちが…」
「じゃあ、何でニヤニヤしているんだ?」
ジルから発せられた冷気に身震いした。
「ジルってば、ぜんぜんおとめごころわかってないね」
テトが呆れたように、私たちの間に入ってくれる。
「乙女心?」
「いまのサチのかお、どうみても、ジルのことしれてうれしい!ってかおだったでしょ?」
「なっ…!」
「ふーん、そういうことか」
言葉を失い、顔を赤くした私を見て、ジルはいそいそと冷気を仕舞い、にっこりと機嫌を直した。
「と、とにかくロバート様に教えてもらうんだね?」
「サチ、ロバートに、様、なんてつけなくていい。あいつは悪魔みたいなものだからな。」
「ジルは、ロバートさまとけんかしてばっかりだからね。まぁ、だいたいロバートさまがわるいけど。」
ジルとテトの、ロバート様への扱いの悪さから『ねこダリ』のストーリーを思い出してくる。そうだ、ロバート様は女癖がとんでもなく悪く、ヒロインを敵視する女子と手を組み、ヒロインを陥れようとする流れがあったはずだ。
そのことを正直に伝えるとジルもテトも大きく頷いていた。
「ロバートさまなら、やりそう~~。サチ、だいじょうぶ!ぼくがまもるからね!」
「ああ、一人でロバート何かの所に行かせたりはしない。安心してほしい」
こうして、二匹の騎士に守られてロバート様に会いに行くことになった。
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