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それからのこと。
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しおりを挟む「サチ、よかったねぇ。」
私の腫れぼったい目元を、ペロペロと毛繕いしながら、テトが今日何度目かの同じ言葉を口にした。
「騒いじゃって、ほんとごめんね。」
「ううん。それだけうれしかったんでしょう。」
テトはにこにこと笑った。私とアッコは、あれから感動の再会……とは言い難いな、パニックの再会を果たした。私はアッコがもう死んでしまったと思っていたし、アッコも私は元の世界にいるだろうとしか思っていなかった。それが何故か、猫になって、『ねこダリ』の世界に入り込んでいた。思いがけない再会に私もアッコも大号泣で抱き合っていた。
私の方が、先にこちらの世界に来ていた理由はよく分からないけれど、「もしかしたら、アッコちゃんは命の淵に立たされて、しばらく死後の世界を彷徨っていたのかもね?」とロバート様が仮説を立てていた。確かに、アッコのあの怪我を考えれば、その仮説は納得できる。
死後の世界、という言葉に、マーネ殿下は怖い顔をしてアッコを抱きしめていて「もう恥ずかしいから止めて!」とアッコがいくら叫んでも、暴れても、マーネ殿下は離さなかった。
『戦国大名に恋してる』のグッズは、こちらに来た時に握りしめていたらしい。流石アッコだ、と笑ってしまった。
「大事な友人が見つかったんだ。驚くのが当然だ。」
「ふふふ。サチ、あのね、ジルはずっとサチのともだちをさがしてたんだよ。」
「え?」
テトの言葉に、ジルはきまり悪そうにそっぽを向いた。
「サチをみつけた、やまのところに、もしかしたらひょっこりでてくるかもしれない、ってしょっちゅうあそこにいってたんだ。」
「……もし、何か手がかりがあれば、と思って、だな。」
歯切れ悪く言葉を続けるジルに、私は思わず飛びついた。
「ぼく、おじゃまむし?」
「ううん、テトもおいで!」
嬉しそうに、ぴょこん、と私とジルに飛びつくテト。ジルとテトをぎゅうぎゅうに抱きしめて私は幸せを噛み締めていた。
「もう、心配ないからな。」
マーネ殿下は、大好きなアッコの友人ということで、私の希望する生活を保障すると言ってくれた。私は、ジルとテトとの生活を望み、マーネ殿下は、その生活を保障すると約束してくれた。
「サチは、もともとかぞくだけど、もうかんぺきにかぞくだからね!」
ジルとテトの言葉に、私は大きく頷いた。ずっと、求めていた、家族のいる、暖かな生活がこれからも続いていくのだと、私は胸を震わせた。
〈おしまい〉
途中、お休みしてしまい申し訳ありませんでした。最後までお読みいただきありがとうございました!
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