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しおりを挟むお弁当の蓋を開けたものの、手を付ける気が起きず、ぱくりとサンドウィッチを頬張るエイミーをぼんやり見ていた。そんな私の様子に気付いたエイミーが、しょんぼりと眉尻と尻尾を下げた。
「ララ、やっぱり見ちゃった?」
「う、うん……。ごめんね、エイミーに気を遣わせて。」
そんなことない、と首を振るエイミーの顔を見ていたら、騒がしかった私の心も落ち着いてきた。私は、気を紛らわせるように、明るい声を出して話題を変えた。
「ねぇ。エイミーは卒業後どうするか決まった?」
私の言葉に、エイミーは肩を落として首を振った。
「あと一か月で卒業だって言うのに、何にも決まっていないのって私とララくらいじゃない?流石に不安になってきたわ。」
お父様ったらちゃんと考えているのかしら、と口を尖らせるエイミーに私は大きく頷いた。
私たちの国では、女性が働ける場所は少ない。一般的に、女子生徒は学園を卒業したらすぐ婚約者と結婚する。卒業前に籍を入れることも多い。婚約者がいないのなんて、この学年では私とエイミーだけじゃないだろうか。ブリトニーのように、優秀であれば就職先を見つけることも可能だが、成績が平凡な私にはそんな芸当とても出来ない。
「ララはまだいいわよ。語学が得意だし、いざとなれば就職できるわ。私は全く勉強できないから、お嫁に行くしかないのに。」
「そんな、私なんて就職できないわよ。」
「そうかなぁ?翻訳とか、出来そうじゃない?」
「うーん……。もし出来たら嬉しいけれど……。」
昔から、語学の勉強は大好きだった。幼い頃から、私に語学の家庭教師を付けてくれていた両親は、決して安くはない外国語の絵本を豊富に揃えてくれていた。大きくなり、それは小説や実用書に変わった。私がお金の心配をするようになると、「ララが好きなことができたら、それでいいんだよ。お金の心配なんかしないで。」と両親は口を揃えて言った。
「私、今日、お父様にもう一度話してみるわ。どこでもいいから縁談は無いのかって。」
「エイミー……。」
「ララは?」
「私……、私は、出来るなら語学の仕事がしたい。」
「ララ……。」
「エイミー、私も今夜お父様と話してみる。」
ラファエルと一緒にいられないのなら、他の誰かと一緒になりたくはない。一人でいたい。
そんな心の叫びが、彼に届いてしまえばいい。届かないなら、この早すぎる鼓動なんて、止まってしまえばいい。
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