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しおりを挟む窓から入る日差しの眩しさからシャルロットは目を覚ました。
「……?」
寝起きのぼんやりとした頭の中で、伯爵家の自室とは違う景色の理由を考える。そしてふと横を見ると、昨日から夫となった幼馴染の顔があった。
「おはよう、シャル」
「……っ!」
一気に顔に熱が集まり、シーツの中へと潜り込んだ。頭の上からフィリップの笑い声が降りかかる。恥ずかしくて、胸が苦しくて、だけどよくよく考えてみれば初夜という大事な夜にほんの少し夫に迫られたくらいで気が遠くなりそのまま眠り込んでしまったことを思い出し顔の熱は引いていった。
「……ごめんなさい」
「シャル?」
「……わたくし、その、眠ってしまったわ」
「ああ」
フィリップはくすくすと笑い、シーツの上からシャルロットの頭を優しく撫でた。
「いや、僕が悪いよ。あんなに遅い時間になったのも、君にあんなに酒を飲ませてしまったのも僕のせいだし」
シーツの外から「本当にごめんね」と謝罪が聞こえる。だが初夜に自身の務めを果たせなかった罪悪感でいっぱいになり、シャルロットはぐっと口許を引き結んだ。
「でも……」
「それに」
ばさりとシーツを捲られシャルロットは目を丸くした。フィリップが顔をぐいと近付ける。シャルロットは自分の頬が一気に染まっていくのが分かった。
「これくらいで顔を真っ赤にしてるんだ。シャルにはまだ早いんじゃないかな」
「なっ……!」
シャルロットが口をぱくぱくさせているとフィリップは可笑しそうに笑い声を上げた。
「もうっ!馬鹿にして」
「馬鹿になんてしてない。可愛いなぁって思ってるだけ」
フィリップの言葉にシャルロットは何も言い返せない。フィリップはシャルロットを抱き寄せ、優しく彼女の背を撫でた。
「ゆっくり夫婦になろう」
「フィル」
「僕のせいで婚約期間も楽しめなかっただろう。二人で出掛けたいし、話したり、お茶を飲んだりして、二人で過ごしたいんだ」
「……っ、ええ」
シャルロットは胸がいっぱいになって目を潤ませながら頷いた。フィリップは照れ臭そうに笑みを溢すと、少し拗ねた口調で続けた。
「もっと早くシャルロットに気持ちを伝えれば良かった。時間を無駄にした」
シャルロットと過ごせたであろう日々を思い、フィリップは嘆息した。だが、シャルロットは彼のシャツの裾をくいと掴んだ。
「シャル?」
「べ、別に今からでも遅くないでしょう……」
それに、とシャルロットは言葉を切った。またフィリップの胸にぐりぐりと頭を押し付ける。
「……無駄な時間じゃないもの」
聞き取れないほどの小声でぼそぼそとそう呟く。それを聞いたフィリップは小さく笑い「そうだな」と頷いた。
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