やさしい異世界転移

みなと

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第1章 転移!学園!そして……

【0話】 プロローグ

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 冷たくて暗いねずみ色の空の下。

 無数にそびえ立つ岩山地帯で俺は羽織っている黒いコートを風でなびかせ、岩山の頂上から地面を見つめる。

「ユウトさん」

 静寂の中、耳元の無線機から俺を呼びかける女性の声が聞こえてきた。

「もうじき、武装集団がこの辺りを通る頃合いです。
任務成功の報告お待ちしていますね!英雄・ユート!!」

 機嫌良さそうに彼女は語りかけてくる。
 
「わかった、まかせとけー」

 適当な返事を返し、通信機を切り再び静寂の時間が始まる。

「英雄……か」

 彼女の言葉を思い出してボソッと独り言を呟いた。
 あまり気分は良くはなんだけど……

「……っともう来たか」

 遠方から多数の光がこっちへ向かってきた、武装集団のご到着だ。
 どうやら奴等は何台もの車でのお越しのようだ……まったく、前までなかった技術がこうも普通に浸透するなんて。
 この貪欲さは俺も見習うべきなのだろうか。
 
「っとそんな事はさておき……いくかぁー」

 深くため息を一つ吐いて岩山から飛び降りた。

 地面に衝突する寸前で魔法で衝撃を抑え着地をして、車の進行を防ぐように前へと出る。
 
 うーんしまった……このままじゃ車に轢かれてひき肉になっちゃうな。
 それだとみんなに申し訳が立たない、なら止めるべきだな。

「……っせーの!」

 脚を高く振り上げ、思いっきり地面へと叩きつけた。
 その瞬間に大地は裂け、地面は盛り上がり車の進行を止めた。

 車を動かせなくなり、中から男達が現れる。
 全員が全員ニワトリのようなモヒカン頭に肩にトゲトゲの付いたパットを着用しているファッションセンス皆無の集団だ。

「誰だてめぇ!?ぶっ殺すぞ!!」

 剣やら棍棒などといった武器を俺に向け威圧してくる。
 まぁ奴等の戦意を削ぐため、俺は俺の地位でも利用するとしよう。

「俺はパゼーレ魔法騎士団、中隊長のユウト・シンドウだ。
お前達を捕まえに来た、大人しく投降しろ」

 俺は自身の正体を明かす、その言葉を聞いた途端に奴等の顔から血の気が引き顔が真っ青に変わった。

「嘘……だろ!?あの!英雄ユウトか!?」

 明らかに動揺を感じる、人よっては尊敬、人によっては恐れ……まぁどちらかと言えばこちらの方が俺的にはマシである。

「うろたえてんじゃねぇ!!」

 集団が動揺しうろたえていた時、後ろの方から野太い声を出し大男が出てくる。
 この落ち着きよう……どうやら彼がリーダーだろう。

「パゼーレの英雄だぁ?話によれば奴は魔法をまともに使えねぇしそれに片腕がねぇ!!
大勢で攻めて全員であいつを殺すぞ!!」

 カリスマ性でもあるのか彼の言葉に動揺していた男達が落ち着きを取り戻し、こちらをジッと見つめている。
 冷静に統率とか取られると面倒だな……そうだ。

「だとしたらお前らはその程度だって事だな」

「なに……?」

「確かに俺は右腕がねぇし魔法もそこまで使えなくなった……」
「お前らはそんな俺1人で充分だって判断されたんだよ」

 俺は冷静に吐き捨てるようにリーダーの男を煽った。
 あぁ、効いてる効いてる。
 リーダーの男の顔が真っ赤になってらぁ

「テメェら!!今すぐアイツを殺しやがれ!!!」

 そうして奴は感情のままに手下達に突撃命令を下した。
 動揺しながらもリーダーの指示の元男達は俺に向かって走り出す。

 まぁこっちの方がわかりやすい。

「はぁ、面倒だ……」

 ため息を吐く。
 今もそして死後も終わることのない悪人を倒す流れ作業。
 
 どうせ永遠に続くのならいっその事ここで……
 
 ──

 気がつけば俺に向かってきた武装集団の連中はリーダー含めては全員そこら辺に倒れていた。余裕の勝利……って感じだ。
 
 どうやら俺は中途半端な男らしい、結局また1人も殺さずに自分の死なずに終わらせた。

 大切な人達、そしてもうとっくのとうに壊れたはずの信念……どちらも捨てきれていないらしい。

 さて、仕事も終わった事だから帰って報告でもしておこう。どうせすぐに他の騎士団が来てこいつらは捕まるだろう。

 これが今の俺にとっての日常、この日常は多分俺が死んでも死んだ後も変わらない。

 それは仕方ない 仕方がないのだ。
 俺がそう望んでしまったから。
 後悔はある しかし悔いはない そうしてよかったと思っている。
 俺がそうしたから今のこの世界がある。


──何も守れなかった神に問う、存在価値を
  ──夢を諦めた人に問う、人生の意味を
   ──全てを捨てた俺に問う
 俺が人生の……その正解を……


 これから始まる物語は異世界に転移した俺の物語。
 出会い 別れを繰り返して。
 様々な後悔を重ねながら神からの祝福のろいを受けて英・雄・にされてしまうけど、最後には誰かに希望を託す神洞しんどう 優斗ゆうとの物語だ。
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