やさしい異世界転移

みなと

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第5章 ディハンジョン

【188話】 そして中層へ!

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 ディハンジョン内、テント地区で一晩が過ぎ俺達を含めたここにいる全員が昨日と同じようにアーデンのテント前へと集合し前に立つアーデンへと視線を集めた。

「えー話す事は昨日と同じ……といきたかったが、昨日起こった問題を全員にここで共有する」

 アーデンの発言に場がざわつき始める。
 事情を知らない人達は、どうせ昨日と同じくすぐ中層へ!と思っていたのかアーデンの話半分に聞き自分達はすぐ突入する気満々って感じだったのが辺りを見渡して大勢いるのがわかった。

「まず、序層に下層の魔獣が出現した。これは今まで起こらなかった異常である。
序層に出たのならば中層でも出現の可能性がある。明日以降、俺が選抜した奴で下層に潜る事も考えている!
以上だ!進むのであれば心して進め!!」

 アーデンは昨日と同様に開始の合図を出した、けれど訪れたのは集団の各地から聞こえてくる困惑の声、そして誰1人として中層へ行こうともしない空気だ。
 それも仕方ない突如として告げられた下層の魔獣の出現、その情報を受け止め危険を承知で先に進むべきか……それについて悩んでいる様子だった。

 だからこそ……

「みんな、行くぞ」

 俺は隊員に声をかける、事前にみんなからは了承を得ていたみんなは何も話さずに頷いてくれる。
 そうして、俺達へ歩き出す。

「マジかよ……」   「行くのか?」
「あいつらはそもそも中層の魔獣の強さを知らないガキどもだ!」

 周りから聞こえてくる不安や罵倒の声、それでも前へと昨日は最後の方の出撃だった俺達が今日は誰よりも早く動く。

「何言われても気にすんな」

 不安が顔に出たのかユウトが背中を叩き笑って鼓舞する。
 そうだ、隊長である俺が堂々としないでどうする。
 俺はいずれ兄ゼンを超える、遠く険しい道のり……でも俺は1人じゃない!みんながいる!!

「行くぞ!!」

 俺は改めてこの場にいる全員に聞こえるように強く言葉を発する。
 そして強く、前へと踏み出す。
 空気が変わる、どんなふうに変わったかなんてわからないけれどそれでも何かが変わった。

「行くのか?すげぇ」

「あんなガキどもが行くってのに俺達がビビるわけにはいかねぇ」

「ユウトの仲間!さすが!ユウトの仲間!!」

「こりゃ拙者らも続かねば」

 周りからの声が大きく聞こえる、それは先程とは変わってユウトとその仲間への感心や期待の声、知ってる声も聞こえている。
 そうみんなが見てるのはきっとユウトなんだ……

「この先の階段を降った先から中層だ、気をつけて行けよ」

 俺達の歩く先の方にいるアーデンが後ろの階段を指差してアドバイスの言葉をかけてくる。
 そして俺達はその階段に横一列となり並びそのまま降って行くのだった。

 ディハンジョンに入る時のような雑談はない、全員が全員ここから先の危険を理解しているからだ。
 降りてく最中で空気が冷たくなり背筋が凍る、それはここから先の脅威を知らせているようだった。

 内心ドキドキしている俺がいた、でもみんなでこの先乗り超えればきっと……俺やみんなは他の人達から認められる!
 階段の終わりが見えてくる。

「そろそろ着くぞ」

「っ!デイ!!」

 みんなにそう声をかけた瞬間、パートリーが反応する。
 つまりこの先にいる!

「……ふっ、ちょうどいい!俺が行く!!」

「あっデイ!」

 階段を駆け降りる、その先の魔獣を倒す為に。
 全員で戦った方がいいというのはわかっている、けれどこれは俺のわがままだ。

 俺はここで成果をあげなきゃ……

 階段を降りきり見えるは複数の蟲型魔獣、こちらを見てすぐさま戦闘態勢へと移るがその時には既に俺は地面を蹴り上げ人器を高く掲げ宙へと飛び上がっていた。

「くらえっ!!」

 中層攻略開始を告げる轟音が周囲に響き渡った。



 中層のとある地点、そこにも下層の魔獣であるヤリンボーは到達していた。

 だがこの中層にいたのは彼らだけではない、ヤリンボーの甲殻は砕かれ破片が地面に散らかる。
 甲殻のなくなった中身を無数のツタが集まって出来たような腕が掴みそのまま口へと運ばれ捕食される。

 ここにはいるのだった、下層の魔獣よりも強大で邪悪なモノが……
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