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本当の自分④
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唇から溢れた俺の声はいつもよりちょっぴり掠れていて、完全に発情し切った獣みたいだと、他人事みたいに感じた。
こんなにもがっついている俺はやっぱり、童貞だからと呆れられていないだろうか?
少しだけ心配になり、そっと様子を窺った。
すると彼女は蕩けそうな視線を俺に向け、華奢な腕を伸ばして、必死にすがり付くみたいに抱き付いた。
「咲良さん......咲良さんも、気持ち良い?」
その答えを知りながらガツガツと、荒々しく獣みたいに腰を振りながら聞いた。
「そんなの見たら、分かるでしょう?
ん......ぁ......っ!」
あぁもう、本当になんて可愛いんだろう?
素直に答えてくれない天の邪鬼な咲良さんの事が、愛しくて堪らなかった。
「うーん......まぁ、確かに。
でもやっぱり、聞きたいじゃないですか」
クスリと笑い、彼女の胸の先端に軽く歯を立てた。
体は小刻みに震え、俺にすがり付く事しか出来なくて。
そんな咲良を見下ろして、汗でしっとりと濡れた前髪を軽く掻き上げた。
「もしかして、逝きそう?」
そっと彼女の、柔らかな頬に触れた。
その時一瞬。......ほんの一瞬、長い前髪に隠れていた俺の目と、視線が合った気がした。
蕩けそうな表情のまま、じっと俺を見つめている彼女。
何かに気付いたのか、眉間に一瞬だけ深いシワが寄せられた。
戸惑ったように揺れる、彼女の瞳。
「ねぇ、仁さん。
あなたの、名字って......」
聞かれた瞬間、嫌な汗が背中を伝った。
だけどこうやって聞かれたという事は、まだ完全にバレたワケではないのだろう。
俺が何者なのか話すべきだろうかとも、一瞬だけ考えた。
しかし臆病で卑怯な俺は、結局ちゃんと説明する事が出来なかった。
抱かれたい男No.1だなんだと言われたところで、結局この様だ。
......ホント、情けない。
小さくフッと息を吐き、答えた。
「田中、です。
仁は、あだ名みたいなもんで。
本当は、田中 仁一郎《じんいちろう》って言います」
でも嘘は、吐いていない。
......こんなのきっと、何の言い訳にもならないと思うけれど。
こんなにもがっついている俺はやっぱり、童貞だからと呆れられていないだろうか?
少しだけ心配になり、そっと様子を窺った。
すると彼女は蕩けそうな視線を俺に向け、華奢な腕を伸ばして、必死にすがり付くみたいに抱き付いた。
「咲良さん......咲良さんも、気持ち良い?」
その答えを知りながらガツガツと、荒々しく獣みたいに腰を振りながら聞いた。
「そんなの見たら、分かるでしょう?
ん......ぁ......っ!」
あぁもう、本当になんて可愛いんだろう?
素直に答えてくれない天の邪鬼な咲良さんの事が、愛しくて堪らなかった。
「うーん......まぁ、確かに。
でもやっぱり、聞きたいじゃないですか」
クスリと笑い、彼女の胸の先端に軽く歯を立てた。
体は小刻みに震え、俺にすがり付く事しか出来なくて。
そんな咲良を見下ろして、汗でしっとりと濡れた前髪を軽く掻き上げた。
「もしかして、逝きそう?」
そっと彼女の、柔らかな頬に触れた。
その時一瞬。......ほんの一瞬、長い前髪に隠れていた俺の目と、視線が合った気がした。
蕩けそうな表情のまま、じっと俺を見つめている彼女。
何かに気付いたのか、眉間に一瞬だけ深いシワが寄せられた。
戸惑ったように揺れる、彼女の瞳。
「ねぇ、仁さん。
あなたの、名字って......」
聞かれた瞬間、嫌な汗が背中を伝った。
だけどこうやって聞かれたという事は、まだ完全にバレたワケではないのだろう。
俺が何者なのか話すべきだろうかとも、一瞬だけ考えた。
しかし臆病で卑怯な俺は、結局ちゃんと説明する事が出来なかった。
抱かれたい男No.1だなんだと言われたところで、結局この様だ。
......ホント、情けない。
小さくフッと息を吐き、答えた。
「田中、です。
仁は、あだ名みたいなもんで。
本当は、田中 仁一郎《じんいちろう》って言います」
でも嘘は、吐いていない。
......こんなのきっと、何の言い訳にもならないと思うけれど。
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