35 / 37
愛しい人②
しおりを挟む
「......そうやっていつも、女性を口説くの?」
それでも信用する事が出来ないのか、吐き捨てるように言われた。
そんな風に思われても、仕方がないのかも知れない。
......本当の俺は、ちゃんとした恋愛すらした事が無いというのに。
力なく左右に小さく首を振り、抱き締めていた力を弱め、彼女を解放した。
「やっぱり俺、そういう風に思われちゃうんですね。
俺はただの田中 仁一郎として、あなたに見て欲しかっただけなのに」
そう言ったその声は、情けないくらい震えていたような気がする。
「女性みたいに、初めての時に何か証拠みたいなものがあれば良かったのかもですが......俺ホントに、初めてだったんですよ?」
その言葉に驚き、彼女は弾かれたように俺の顔を見上げた。
だからちょっと苦笑して、シャツを羽織りながら続けた。
「それに言えなかったのには、もうひとつ理由があります。
だって咲良さん、前に言っていましたよね?
......俺の事、胡散臭いって」
今度はきょとんとした表情で、俺の事を見つめる彼女。
......やっぱりそれも、信じて貰えていなかったという事なんだろうな。
もう自分を偽るのは止め、唇をちょっと尖らせて言った。
「その顔。忘れてるんだ?」
再び彼女を抱き寄せて、すりすりと頬に頬を擦り付けた。
「待ってよ、まったく覚えてない!」
俺から咲良さんは体を離そうとしたけれど、がっちりホールドしているため、びくともしない。
「ホント、酷い人ですよね。
大好きなあなたにあんな風に言われて、俺はショックで夜眠る事も出来なかったって言うのに」
それから俺は、語り始めた。
......咲良さんがアイドル 芹澤 仁を散々扱き下ろし、全然興味ないだの、胡散臭いだのとボロクソに言ったあの夜の事を。
そして俺の話をすべて聞き終えると、彼女は吐き捨てるように言った。
「......それでプライドが傷付けられたから、こんな形で復讐を?」
その発言に驚き、カッと目を見開いた。
一体なんで、そうなるんだよ!?
それでも信用する事が出来ないのか、吐き捨てるように言われた。
そんな風に思われても、仕方がないのかも知れない。
......本当の俺は、ちゃんとした恋愛すらした事が無いというのに。
力なく左右に小さく首を振り、抱き締めていた力を弱め、彼女を解放した。
「やっぱり俺、そういう風に思われちゃうんですね。
俺はただの田中 仁一郎として、あなたに見て欲しかっただけなのに」
そう言ったその声は、情けないくらい震えていたような気がする。
「女性みたいに、初めての時に何か証拠みたいなものがあれば良かったのかもですが......俺ホントに、初めてだったんですよ?」
その言葉に驚き、彼女は弾かれたように俺の顔を見上げた。
だからちょっと苦笑して、シャツを羽織りながら続けた。
「それに言えなかったのには、もうひとつ理由があります。
だって咲良さん、前に言っていましたよね?
......俺の事、胡散臭いって」
今度はきょとんとした表情で、俺の事を見つめる彼女。
......やっぱりそれも、信じて貰えていなかったという事なんだろうな。
もう自分を偽るのは止め、唇をちょっと尖らせて言った。
「その顔。忘れてるんだ?」
再び彼女を抱き寄せて、すりすりと頬に頬を擦り付けた。
「待ってよ、まったく覚えてない!」
俺から咲良さんは体を離そうとしたけれど、がっちりホールドしているため、びくともしない。
「ホント、酷い人ですよね。
大好きなあなたにあんな風に言われて、俺はショックで夜眠る事も出来なかったって言うのに」
それから俺は、語り始めた。
......咲良さんがアイドル 芹澤 仁を散々扱き下ろし、全然興味ないだの、胡散臭いだのとボロクソに言ったあの夜の事を。
そして俺の話をすべて聞き終えると、彼女は吐き捨てるように言った。
「......それでプライドが傷付けられたから、こんな形で復讐を?」
その発言に驚き、カッと目を見開いた。
一体なんで、そうなるんだよ!?
0
あなたにおすすめの小説
数年振りに再会した幼馴染のお兄ちゃんが、お兄ちゃんじゃなくなった日
プリオネ
恋愛
田舎町から上京したこの春、5歳年上の近所の幼馴染「さわ兄」と再会した新社会人の伊織。同じく昔一緒に遊んだ友達の家に遊びに行くため東京から千葉へ2人で移動する事になるが、その道中で今まで意識した事の無かったさわ兄の言動に初めて違和感を覚える。そしてその夜、ハプニングが起きて………。
春にぴったりの、さらっと読める短編ラブストーリー。※Rシーンは無いに等しいです※スマホがまだない時代設定です。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
放課後の保健室
一条凛子
恋愛
はじめまして。
数ある中から、この保健室を見つけてくださって、本当にありがとうございます。
わたくし、ここの主(あるじ)であり、夜間専門のカウンセラー、**一条 凛子(いちじょう りんこ)**と申します。
ここは、昼間の喧騒から逃れてきた、頑張り屋の大人たちのためだけの秘密の聖域(サンクチュアリ)。
あなたが、ようやく重たい鎧を脱いで、ありのままの姿で羽を休めることができる——夜だけ開く、特別な保健室です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる