【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*

文字の大きさ
76 / 149

危険な男子会④

しおりを挟む
「……!?」

 予想外の彼の行動に、体がビクッと震えた。
 だけど遼河くんは何事も無かったかのような涼しい顔で、さらりと言いやがったのだ。

「うん、ごゆっくりどうぞ。
 俺は大晴と、イチャイチャしながら待ってるから」

 そんな事を言われたものだから、こちらは一気に血の気が引いたというのに。
 ……知之はそれをただの冗談として受け取ったのか、拗ねたように唇を尖らせた。

「何だよ?それ。なんか、ズルい!
 後で俺も、混ぜろよな」

***

「さて、大晴。やっと二人きりに、なれたな?」

 上機嫌で抱き締められ、当たり前みたいにキスをされそうになったから、慌てて彼の体を押し戻した。

「ちょ……駄目だよ、遼河くん!
 家には、知之もいるんだから!」

 すると遼河くんはククッと楽しそうに笑い、しれっと答えた。

「うん、いるな。でも今アイツ、風呂入ってるし。
 ここまで待てた俺を、むしろ褒めてくれてもいいと思うんだけど?」

 そうだった。……この男は、こういうヤツだった。
 でも確かに彼の言うように、知之がいる場ではおとなしくしていてくれただけ、ありがたいと思うべきだろうか?
 
 ……いや、そんな事はない。
 騙されるな、僕!

「ほら、早くしようぜ? 
 じゃないとアイツに、恥ずかしいところを見られる事になるぞ?」

「へ……?恥ずかしい、ところって……。
 待って!いったい、どこまでするつもり!?」

 極力声をおさえての、小声での会話。
 彼はニヤニヤとゲスな笑みを浮かべたまま、立ったまま僕のジーンズのファスナーに手を掛け答えた。

「さぁ?どこまでに、しよっかなぁ……」

 くっ……、サイアクだ!
 だけど抵抗をすればするほど、危険度は上がるだけだろう。

 結局のところ僕には、選択肢なんて無いに等しいワケで。
 涙目になりながら、彼の憎たらしいぐらいに整った顔面を睨み付けた。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

「じゃあ、別れるか」

万年青二三歳
BL
 三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。  期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。  ケンカップル好きへ捧げます。  ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。 挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)

だって、君は210日のポラリス

大庭和香
BL
モテ属性過多男 × モブ要素しかない俺 モテ属性過多の理央は、地味で凡庸な俺を平然と「恋人」と呼ぶ。大学の履修登録も丸かぶりで、いつも一緒。 一方、平凡な小市民の俺は、旅行先で両親が事故死したという連絡を受け、 突然人生の岐路に立たされた。 ――立春から210日、夏休みの終わる頃。 それでも理央は、変わらず俺のそばにいてくれて―― 📌別サイトで読み切りの形で投稿した作品を、連載形式に切り替えて投稿しています。  15,000字程度の予定です。

なぜかピアス男子に溺愛される話

光野凜
BL
夏希はある夜、ピアスバチバチのダウナー系、零と出会うが、翌日クラスに転校してきたのはピアスを外した優しい彼――なんと同一人物だった! 「夏希、俺のこと好きになってよ――」 突然のキスと真剣な告白に、夏希の胸は熱く乱れる。けれど、素直になれない自分に戸惑い、零のギャップに振り回される日々。 ピュア×ギャップにきゅんが止まらない、ドキドキ青春BL!

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

イケメン俳優は万年モブ役者の鬼門です

はねビト
BL
演技力には自信があるけれど、地味な役者の羽月眞也は、2年前に共演して以来、大人気イケメン俳優になった東城湊斗に懐かれていた。 自分にはない『華』のある東城に対するコンプレックスを抱えるものの、どうにも東城からのお願いには弱くて……。 ワンコ系年下イケメン俳優×地味顔モブ俳優の芸能人BL。 外伝完結、続編連載中です。

年下幼馴染アルファの執着〜なかったことにはさせない〜

ひなた翠
BL
一年ぶりの再会。 成長した年下αは、もう"子ども"じゃなかった――。 「海ちゃんから距離を置きたかったのに――」 23歳のΩ・遥は、幼馴染のα・海斗への片思いを諦めるため、一人暮らしを始めた。 モテる海斗が自分なんかを選ぶはずがない。 そう思って逃げ出したのに、ある日突然、18歳になった海斗が「大学のオープンキャンパスに行くから泊めて」と転がり込んできて――。 「俺はずっと好きだったし、離れる気ないけど」 「十八歳になるまで我慢してた」 「なんのためにここから通える大学を探してると思ってるの?」 年下αの、計画的で一途な執着に、逃げ場をなくしていく遥。 夏休み限定の同居は、甘い溺愛の日々――。 年下αの執着は、想像以上に深くて、甘くて、重い。 これは、"なかったこと"にはできない恋だった――。

気づいたらスパダリの部屋で繭になってた話

米山のら
BL
鎌倉で静かにリモート生活を送る俺は、極度のあがり症。 子どものころ高い声をからかわれたトラウマが原因で、人と話すのが苦手だ。 そんな俺が、月に一度の出社日に出会ったのは、仕事も見た目も完璧なのに、なぜか異常に距離が近い謎のスパダリ。 気づけば荷物ごとドナドナされて、たどり着いたのは最上階の部屋。 「おいで」 ……その優しさ、むしろ怖いんですけど!? これは、殻に閉じこもっていた俺が、“繭”という名の執着にじわじわと絡め取られていく話。

処理中です...