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【SS】ハッピーエンドの作り方①
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青空に大きく広がる、入道雲。
あれからさらに月日が流れ、今はもう夏真っ盛り。
そして今日は、君下と俺が紹介した悪役レスラー、野嶋さんの結婚式当日だ。
彼の恐ろしいまでに太くたくましい腕にぶら下がり、満面の笑みを浮かべる天使みたいに愛らしい君下。
それを心底愛しそうに見下ろす、野嶋さんの糸みたいに細い瞳。
……見た目からは分かりづらいが、本当にお似合いのふたりだと思う。
野嶋さんの元を離れ、真っ白なウェディングドレスに身を包んでいるというのに、大晴に向かい大きく手を振り駆け出す彼女。
こんな時ですら大口を空けて笑うこの女は、本当に。
……本当に、強敵だった。
俺が彼女に野嶋さんを、紹介していなかったら。
あるいはもし大晴が俺の働く結婚相談所を、訪れてくれていなかったら。
新郎としてこの女の隣に立っているのは、もしかしたら大晴だったかもしれないと思うとゾッとする。
「本当におめでとう、史織。
お幸せにね」
だけど心から笑ってそう告げる大晴を前に、俺も自然と笑顔になれた。
「おめでとう、君下。
俺のためにもホント、末長くお幸せに」
思わずポロリと、零れ出た本音。
その言葉に、不思議そうに首をかしげる君下。
すると大晴はちょっと慌てた感じで、こっそり俺の足を蹴っ飛ばした。
「おめでとう、史織ちゃん。
でもなんで、遼河までいんの?
お前ら、仲良かったっけ?」
モグモグと、出された食事を頬張りながら知之が聞いた。
おい!……お前またしても、何を余計な事を。
マジで、空気読め!!
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