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プロローグ
私はダレかな?
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自然の豊かな、美しい町に見入っていると、カイツがニャーと鳴いた。
はっと我に返って、慌ててついていく。
なだらかな土を慣らした道の先に、石組みの門と、小さな小屋と、兵士さんの姿が。
そろそろと近づいていくと、優しくにっこり笑いかけられた。
「ようこそシーファルトへ、お嬢さん。ひとりかな? 身分証はある?」
「えっ?」
身分証??
一瞬、頭の中が真っ白になったけど、手が勝手にポシェットの中を探した。
平たいカードが出てくる。
「はい……これでいいですか?」
「拝見しますね。ミルシィ・アーケルドさん、14歳ですね。本月から町に移住と。はい、きちんと許可は来ています。お待ちしておりました。ようこそ、湖畔の町へ」
「よ、よろしくお願いします」
緊張しながら兵士さんに頭を下げ、やっと町に入る。
のどかな風景だった。
土は綺麗に平らにされ、道の端には花壇があり、色とりどりの花が咲く。
ぽつんぽつんと家が建ち、どれもが可愛い西洋風で、煙突がついている。
町の中心地に宿があり、ひとまず部屋を借りて荷物を確認してみた。
「これが身分証……スモモカードみたい。ミルシィ・アーケルド……14歳。住居、シーファルト、ルヤ側西地区17番地?」
私の、名前。こんなだったっけ?
首をひねって名前を眺めていると、猫があくびをしてベッドの上で毛繕いをはじめた。
「慣れなくても、はやく慣れるんだ。その住所にキミの新しい家がある。明日から住める」
「おー、ちゃんと家があるのね……。ん、これはお財布か」
赤いがま口の片手サイズのお財布発見。
開けてみると、丸い金貨と、銀貨、銅貨。
ためしに金貨を一枚取り出して眺めてたら、財布の中身が一枚増えた。
…………あれぇ?
「使うと補充される。金貨一枚は、銀貨10枚分、銅貨100枚分だ」
「ふぇぇ……」
あれ? お財布って、中身増えるっけ……。
とりあえず、ポシェットにしまった。
「ミルシィ・アーケルド。ミルシィ・アーケルド、ミルシィ……」
これが私の新しい名前らしい。
新しい?? あれ?
…………まあ、いっか。
今日から私は、ミルシィね!
可愛い名前だなー。
茶色い小型のトランクを開けてみた。着替えの洋服と、下着と、タオルと、木製のコップ。
ふむふむ?
荷物確認はそこまでにして、ポシェットだけ肩掛けにして、部屋を出る。
何かを煮込んでいるのか、いい匂いが1階から!
宿屋の部屋から食堂に向かう途中で、手を洗う場所があり、鏡があった。
ポカンと鏡を見てしまった。
淡いすみれ色のふわふわの髪と、若芽のような緑色の瞳。健康的な白い肌はツルツルで唇は桃色だ。
どう見ても日本人じゃない、外国人の美少女だった。
──いやダレコレ? 私じゃないじゃない!
そのままでいいって言ったのにー!!
「……サービスしたそうだ」
カイツのつぶやきは、頭を抱えた私には聞こえなかった。
はっと我に返って、慌ててついていく。
なだらかな土を慣らした道の先に、石組みの門と、小さな小屋と、兵士さんの姿が。
そろそろと近づいていくと、優しくにっこり笑いかけられた。
「ようこそシーファルトへ、お嬢さん。ひとりかな? 身分証はある?」
「えっ?」
身分証??
一瞬、頭の中が真っ白になったけど、手が勝手にポシェットの中を探した。
平たいカードが出てくる。
「はい……これでいいですか?」
「拝見しますね。ミルシィ・アーケルドさん、14歳ですね。本月から町に移住と。はい、きちんと許可は来ています。お待ちしておりました。ようこそ、湖畔の町へ」
「よ、よろしくお願いします」
緊張しながら兵士さんに頭を下げ、やっと町に入る。
のどかな風景だった。
土は綺麗に平らにされ、道の端には花壇があり、色とりどりの花が咲く。
ぽつんぽつんと家が建ち、どれもが可愛い西洋風で、煙突がついている。
町の中心地に宿があり、ひとまず部屋を借りて荷物を確認してみた。
「これが身分証……スモモカードみたい。ミルシィ・アーケルド……14歳。住居、シーファルト、ルヤ側西地区17番地?」
私の、名前。こんなだったっけ?
首をひねって名前を眺めていると、猫があくびをしてベッドの上で毛繕いをはじめた。
「慣れなくても、はやく慣れるんだ。その住所にキミの新しい家がある。明日から住める」
「おー、ちゃんと家があるのね……。ん、これはお財布か」
赤いがま口の片手サイズのお財布発見。
開けてみると、丸い金貨と、銀貨、銅貨。
ためしに金貨を一枚取り出して眺めてたら、財布の中身が一枚増えた。
…………あれぇ?
「使うと補充される。金貨一枚は、銀貨10枚分、銅貨100枚分だ」
「ふぇぇ……」
あれ? お財布って、中身増えるっけ……。
とりあえず、ポシェットにしまった。
「ミルシィ・アーケルド。ミルシィ・アーケルド、ミルシィ……」
これが私の新しい名前らしい。
新しい?? あれ?
…………まあ、いっか。
今日から私は、ミルシィね!
可愛い名前だなー。
茶色い小型のトランクを開けてみた。着替えの洋服と、下着と、タオルと、木製のコップ。
ふむふむ?
荷物確認はそこまでにして、ポシェットだけ肩掛けにして、部屋を出る。
何かを煮込んでいるのか、いい匂いが1階から!
宿屋の部屋から食堂に向かう途中で、手を洗う場所があり、鏡があった。
ポカンと鏡を見てしまった。
淡いすみれ色のふわふわの髪と、若芽のような緑色の瞳。健康的な白い肌はツルツルで唇は桃色だ。
どう見ても日本人じゃない、外国人の美少女だった。
──いやダレコレ? 私じゃないじゃない!
そのままでいいって言ったのにー!!
「……サービスしたそうだ」
カイツのつぶやきは、頭を抱えた私には聞こえなかった。
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