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新居に慣れよう
こじんまり
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自分の顔じゃない感に打ちひしがれながら、なんとか眠って翌朝。
宿屋で銀貨三枚払い、お財布に三枚補充されるのを見ないフリをして、トランク片手に湖に向かって歩き出す。
さわやかな風が湖から吹き付けてきて、キラキラ光る湖面にうっとりしてしまう。
立ち止まって眺めていると、ぺしんと足首を尻尾で叩かれた。
「早く」
「まだ朝だよー? のんびり行こうよー」
「先に住処を確認したい」
「……はぁい」
猫に急かされる私。おかしいな?
私が猫を飼いたかったのであって、逆は望んでない多分。
湖は楕円形で、おおまかに東西南北と、町へ区画が分かれている。
湖をぐるっと一周する道があるので、歩いていればどこの区画にも行ける。
道の別れる端には、小さな看板?があって、なになに地区のなに通り、と書いてある。
20分くらい歩いて、ようやく西区に入った。
カイツは何も見なくても、白いおヒゲをピクピクさせるだけで、たったか先に行く。
時折、住民らしき人とすれ違う。チラッと視線は飛んできたけど、声はかけられない。
挨拶した方がいいかな? でもまだ、ココがどんな世界か──社会なのか、知らないんだよね。
迷ってる間に、猫が止まった。
1軒の家を見上げてる。
「わ……あ!」
そこには、私の予想以上のお家が建っていた。
ベージュとアイボリー色のレンガ作り。二階建て。屋根はほんわかした赤。
道沿いに木の柵が張り巡らされ、家の壁にはつるバラが。
白い木製のフランス窓。煙突。木製の細いドア。
か、可愛い!
隣には希望通りにパン屋さん!
もう、とってもいい匂いが!
ふらふらとパン屋に向かいかけ、ぺしんとされた。
じとりと下から見上げられ、笑ってごまかす。
「鍵がある」
「はいはい、ポシェットかな? ……これだ」
銀色の鍵があった。
ドキドキしながら、新しい家のドアを開けると──。
こげ茶色の床板が敷かれ、壁はアイボリー色の壁紙にうっすらと小花が散り、真ん中に木製のカウンター。
カウンターの後ろは棚で、横に細いドア。
ぐるっと振り向いて見て見ると、入り口から腰高の棚が続いていて、真ん中のカウンターと繋がっている。
棚は全て空っぽだ。
後は、窓が左右にひとつずつ。天井に古めかしいシャンデリア。
「ほわー……」
広さ的にはワンルームくらい? 天井は高めで、床と同じ木材のようだ。
「換気を」
「はぁい」
カイツに言われ、窓をちょっと開けてみた。
さわやかな風が室内に入ってきた。
「奥に」
カウンター横の細いドアを開けると、こじんまりとしたキッチンが。さらに奥のドアを開けると、裏庭に出た。
「わぁぁ!」
お家の半分くらいだけど、お庭があって、ハーブとかが植えられている。
木の柵が高めで、ちゃんと目線を隠してあるようだ。これなら洗濯物を干せるね!
「二階も確認する」
「はいはいー」
うきうきと二階に上がる。カウンター裏が階段になっている。
二階も同じ作りで、ベッドと小さなテーブル、椅子。タンスもあった。
押し入れのような小部屋があり、裁縫道具と綺麗な布や糸まで!
「わぁぁ! 素敵……」
「気にいったか」
カイツは得意そうに胸をはった。子猫なため、可愛いだけだけど。
「うん! すっごく素敵! ありがとうカイツ! ……様も!」
「感謝して、大事に使え」
「うんうん! 嬉しいなー、なに作ろう!」
綺麗な布や糸から、しばらく目が離せなかった。
だがしかし、生活するにはちょっと日用品が足りない。
ということで、近くの日用品店に買い出しに行き、キッチン用品とお風呂用品をゲット。
いったん荷物を置いてお昼の時間。
見た目は扉付きの普通の棚だけど、中身冷蔵庫がちゃんと我が家にあって助かりました。
……仕様がお財布と一緒でした。
「……サービスらしい」
「えっ? これダメなやつだよね!」
「隠せばいい」
「助かるけど、助かるけどね? ……まさかこのお家ぜんぶ……」
「……壊れたら元に戻る。警備も自動的だぞ。安心して住め」
うん。ちょっと普通じゃなかった。
宿屋で銀貨三枚払い、お財布に三枚補充されるのを見ないフリをして、トランク片手に湖に向かって歩き出す。
さわやかな風が湖から吹き付けてきて、キラキラ光る湖面にうっとりしてしまう。
立ち止まって眺めていると、ぺしんと足首を尻尾で叩かれた。
「早く」
「まだ朝だよー? のんびり行こうよー」
「先に住処を確認したい」
「……はぁい」
猫に急かされる私。おかしいな?
私が猫を飼いたかったのであって、逆は望んでない多分。
湖は楕円形で、おおまかに東西南北と、町へ区画が分かれている。
湖をぐるっと一周する道があるので、歩いていればどこの区画にも行ける。
道の別れる端には、小さな看板?があって、なになに地区のなに通り、と書いてある。
20分くらい歩いて、ようやく西区に入った。
カイツは何も見なくても、白いおヒゲをピクピクさせるだけで、たったか先に行く。
時折、住民らしき人とすれ違う。チラッと視線は飛んできたけど、声はかけられない。
挨拶した方がいいかな? でもまだ、ココがどんな世界か──社会なのか、知らないんだよね。
迷ってる間に、猫が止まった。
1軒の家を見上げてる。
「わ……あ!」
そこには、私の予想以上のお家が建っていた。
ベージュとアイボリー色のレンガ作り。二階建て。屋根はほんわかした赤。
道沿いに木の柵が張り巡らされ、家の壁にはつるバラが。
白い木製のフランス窓。煙突。木製の細いドア。
か、可愛い!
隣には希望通りにパン屋さん!
もう、とってもいい匂いが!
ふらふらとパン屋に向かいかけ、ぺしんとされた。
じとりと下から見上げられ、笑ってごまかす。
「鍵がある」
「はいはい、ポシェットかな? ……これだ」
銀色の鍵があった。
ドキドキしながら、新しい家のドアを開けると──。
こげ茶色の床板が敷かれ、壁はアイボリー色の壁紙にうっすらと小花が散り、真ん中に木製のカウンター。
カウンターの後ろは棚で、横に細いドア。
ぐるっと振り向いて見て見ると、入り口から腰高の棚が続いていて、真ん中のカウンターと繋がっている。
棚は全て空っぽだ。
後は、窓が左右にひとつずつ。天井に古めかしいシャンデリア。
「ほわー……」
広さ的にはワンルームくらい? 天井は高めで、床と同じ木材のようだ。
「換気を」
「はぁい」
カイツに言われ、窓をちょっと開けてみた。
さわやかな風が室内に入ってきた。
「奥に」
カウンター横の細いドアを開けると、こじんまりとしたキッチンが。さらに奥のドアを開けると、裏庭に出た。
「わぁぁ!」
お家の半分くらいだけど、お庭があって、ハーブとかが植えられている。
木の柵が高めで、ちゃんと目線を隠してあるようだ。これなら洗濯物を干せるね!
「二階も確認する」
「はいはいー」
うきうきと二階に上がる。カウンター裏が階段になっている。
二階も同じ作りで、ベッドと小さなテーブル、椅子。タンスもあった。
押し入れのような小部屋があり、裁縫道具と綺麗な布や糸まで!
「わぁぁ! 素敵……」
「気にいったか」
カイツは得意そうに胸をはった。子猫なため、可愛いだけだけど。
「うん! すっごく素敵! ありがとうカイツ! ……様も!」
「感謝して、大事に使え」
「うんうん! 嬉しいなー、なに作ろう!」
綺麗な布や糸から、しばらく目が離せなかった。
だがしかし、生活するにはちょっと日用品が足りない。
ということで、近くの日用品店に買い出しに行き、キッチン用品とお風呂用品をゲット。
いったん荷物を置いてお昼の時間。
見た目は扉付きの普通の棚だけど、中身冷蔵庫がちゃんと我が家にあって助かりました。
……仕様がお財布と一緒でした。
「……サービスらしい」
「えっ? これダメなやつだよね!」
「隠せばいい」
「助かるけど、助かるけどね? ……まさかこのお家ぜんぶ……」
「……壊れたら元に戻る。警備も自動的だぞ。安心して住め」
うん。ちょっと普通じゃなかった。
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