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Act.6 教団騎士団との戦い

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 ……ゆらゆら、ゆらゆら。
 どこだ? ここ……。
 体は動かせない。いや、体があるのかどうかも分からない。


『……ぇ……、や、やだ……、ディラン、いやだ、ディラン、ディラン、ディラン……!!』


 ……え? クリストファー様の声が聞こえる……?


『……次代様、私は刃向かうつもりのない者を斬るつもりはありません。ですが、あなた様を渡すまいと抵抗するようであれば、話は別です』

『がは……ッ』

『ッ、ママ!』

『次代様、さあ、参りましょう』

『……お前たちには心底失望したよ、人間』


 ……なんだ? このやりとり。
 ……ああ、そういや聞いたことがある。人間は死んでも聴覚が最後に残るって。
 そうか、俺は死んだのか。
 だよな。めっちゃ痛かった覚えがあるもんな。一瞬で通り過ぎていったけど。


『グハッ!?』

『……アッハ、アハハ、アハハハハハハハハハハハハ!!!! ディランを殺した!!! お前が!!! 僕の命よりも大切な!!! ディランを!!! お前だけは許さない!!!! 骨も残らないぐらいに粉々にして殺してやる!!!!』


 ……クリストファー様!? そんな、待ってください。なんでそんなに深く嘆いているんですか……!
 ……ああ、そうか。グルシエスの方々の、自分のサヘンドラへの執着は自分の命よりも重たいんだった。
 ……今すぐ手を伸ばしてクリストファー様を慰めたい。涙を拭ってあげたい。
 俺が、俺が弱かったから……。


『じ、次代様……!!』

『リアン……?』

『これ以上の狼藉は、親木ユグドラシルに代わって僕が許さない』

『で、ですが、次代様……』

『この二人は当代に、ぼくの〝パパ〟と〝ママ〟として選ばれた人間だ。二人を害することは、貴様がユグドラシルに剣を向けたということに他ならない』

『ち、違います、次代様……!』

『違わない。四大精霊も、貴様の顔はとうに覚えている』

『は、』

『よくも四大精霊であるオレらまでもおちょくってくれたなァ? えぇ? 人間よォ』

『っ!?』


 ん? 増えたこの声……、聞き覚えがあるような……。誰だっけ……?
 ゲオルギオス様じゃない……。御館様でもデイヴィッド様でも、ナイレン殿ジャック殿でもないし……。
 こんな威厳のある深い声、一旦聞いたら印象に残りそうなんだけどな。


『ぐわあああああ!!』

『あんな妙ちきりんなモンまで持ち出しやがって。おかげでアレが壊れるまで本気を出すこともこの姿にも戻れなかったじゃねえか……。えぇおい……、このアホンダラがよォ!!』


 ……うわ、推定ダンディボイスさん、めっちゃキレてる……。
 四大精霊……って、<属性エレメント>を司る精霊の頂点じゃん……。リアンが連れ去られそうになってるから怒髪天状態なのかな……。
 ……あれ? クリストファー様? どこに行ったんだ?
 さっきまでめっちゃ魔法の詠唱が聞こえてたのに……!


『……親木様、どうかパパを……、パパをたすけてください……!』

『いいだろう』


 親木様? ……いや、この声、俺たちにリアンを預けた時に話しかけてきた声だ!
 ていうことは、この声の主は……!


『……ぁ……? でぃ……ん……?』

『……だい……ーぶ、ママ。パパはユ……ドラシ……が……けてくれ……――』


 ……ま、待って。待ってくれ。
 俺が死ぬにしろなんにしろ、もう少し、もう少しだけ、様子を聞かせていてくれ!


『……――、らん、……――ィ……ン、…………――る……? ぁ、……あ、――……っ』





 光の氾濫とともに、俺の意識はまた落ちたのだった。




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